いいもの見ぃ~つけた!

「いいもの」は探せばいっぱいあります。独断と偏見による個人的「いいもの」情報発信所です。

<経産大臣指定伝統的工芸品> 大阪 大阪浪華錫器

2021-06-28 09:48:20 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「大阪浪華錫器」

 Description / 特徴・産地

 大阪浪華錫器とは?
 大阪浪華錫器(おおさかなにわすずき)は、大阪府大阪市周辺で作られている金工品です。原料の錫はかつて国内で採掘されたものを使用していましたが、現在はタイ・インドネシアなどから輸入しています。
 大阪浪華錫器の特徴は、一点一点職人の手による加工を行うために微妙な違いがあり、金属でありながら人の手のぬくもりを感じられることです。錫は軟らかく機械加工が難しいため、ほとんどの作業を人の手によって行います。
 大阪浪華錫器に使用される錫は非常に安定している金属で、耐久性が高いことも魅力です。また、酒の味をまろやかにするとされ、酒器や花器にも利用されています。
 ビール用のタンブラーの内側には手作業で細かな凹凸がつけられ、持ちのよい泡を発生させるとともに、厚みのある飲み口が滑らかな口当たりを演出します。茶筒などはろくろ挽により正確に削り出されるため、気密性がよく、湿気・酸化を防ぎ茶の保存に適しています。

 History / 歴史
 日本で錫(すず)が使われるようになったのは飛鳥時代のころで、正倉院宝物にも数点保存されています。錫は金・銀に並ぶ貴重品とされ、宮中で使う器や神具としてごく一部で愛用されてきました。江戸時代の初期には、京都を中心とする関西圏で錫加工を生業とする職人がいたことが、『人倫訓蒙図彙(じんりんきんもうずい)』などの文献に記されています。
 大阪の錫器製造の始まりは、1679年(延宝7年)『難波雀』に「錫引き、堺い筋」とその記録があり、江戸中期には流通のよい上方で生産されていたことが確認できます。
 江戸中期以降国内最大の生産地となり最盛期(大正の終わり~昭和の初期)には、50件近くの工房と300人を超える職人がいたといわれています。
 第二次世界大戦の勃発とともに多くの職人が招集されたり、材料の入手が困難になったりと生産が厳しい時代もありましたが、1983年(昭和58年)3月には当時の通産大臣山中貞則から「大阪浪華錫器」として伝統的工芸品に指定されました。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/osakananiwasuzuki/ より

 物静かな輝きから感じられる錫器の魅力
 父親の錫の仕事場を見て育った伝統工芸士今井達昌さん。彼は幼い頃から錫を身近に感じて育った。プリンの空き缶に、拾ってきた錫の破片を入れてコンロで溶かしてみる。冷たい床に落ちるとだんだんと固まっていく。それが今井さんが作った錫製品第1号の「おはじき」であった。

 
 歴史ある錫も戦時下では・・・
 錫器の歴史は非常に古く、エジプトではBC1500年頃のものが出土し、中国では三国志の中にも現れている。日本に伝えられたのは1300年前。遣唐使、遣隋使によってもたらされたともいわれるが、一説によると栄西禅師により、中国からお茶とともに錫製の茶壺(当時は薬壺)が伝えられたとされている。かつて使用するのは、上流貴族に限られていたが、江戸時代より、一般的に用いられるようになった。大阪では戦前まで錫器の生産が盛んで多くの製造所があったが、軍事物資として提供したため、廃業に追い込まれたところが多かった。そんな中、錫器の技術保存のために組合を設立し、優れた職人を集めて生産を続けた。今井さんの祖父もそんな職人の一人だった。


 生活様式の変化とともにかわっていく錫食器
 伝統の品は、その製品が生まれた時代に適した形態で作られている。しかし時代がたつにつれ、生活様式は変化していく。「盃一つとっても、お膳で暮らしていた時代は、平たく上からつまみ上げる形態が便利でした。しかし現代、テーブルで食事をするようになると横からつかむ縦長の形態のほうが使い勝手が良いのです。そんな風に時代とともに変化させて、使う方のニーズに合わせていかなければなりません。伝統工芸だからといって昔からの形態のまま止まっていてはいけないのです。その時代に合う新しいものを積みあげていく、そしてを繰り返してつないでいくことが、伝統を受け継ぎ伝えていくこととなるのです。」


 錫器の効能
 錫の食器・茶器・酒器は中に入れる物の風味を増すといわれ、昔から毒素を消して腫物を予防する効能があると賞されている。また、密封性が高いので茶筒などに使っても中のお茶葉の香りを長く保つという。「実験していただければ分かるのですが、錫製のお茶筒を水に浸けても中に水が入りません。また、一つずつ本体と蓋を調整しながら手作りしているので、他の組合せでははまらないんです。」対の物でなければぴったりと合わさらないとは、まるでハマグリあわせのようだ。「錫器は錆びないので手入れは簡単なんですよ。時々、手垢などの汚れを洗剤などで洗い、水で流して柔らかい布で拭き取るだけです。」意外にも簡単に優美な光沢を保ち続けられるのだ。


 女性の興味を引きつける新製品
 「色々な形で伝統工芸品を残していきたいんです。だから新しい物の一つとして、ペンダントトップを伝統工芸の手法でつくってみました。」と今井さん。さすがにこれからの錫器産業の伝動力となるべく、若い後継者の発想だ。これには多くの女性が足を止めてくれると言う。このような物で伝統産業にふれるのも身近で良いかもしれない。「伝統ばかりに固執しないで、新しい世界を開拓していってくれることは、この業界としてはとても頼もしいことですよ。伝統として古い物も大切ですが、留まっていてはいけないんです」と大阪浪速錫器組合理事で、伝統工芸士会会長の杉本さんも語る。
 「私達には、先人が残してくれている技術があります。たとえば、それは先人が10年かかって生み出し技術だとすると、私達は受け継ぐだけなので5年ですみます。だから残りの5年間は次の者に何かを残すために動きたいと思うのです。」

*https://kougeihin.jp/craft/0711/ より


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 昨日の藤井二冠-6/26 | トップ | <漢字検定> 1級 四字熟語... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済産業大臣指定伝統的工芸品」カテゴリの最新記事