アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

匂いは過去を呼び覚ます

2009年02月12日 | Weblog
  ラム肉は臭くない

 雪の匂い、氷柱(つらら)の味、久しぶりでした。子供の頃、「雪には放射能が含まれているから食べないように」と、注意されましたが…よく食べました。氷柱も、アイスキャンディーみたいになめました。汚いだろうって?多少雑菌を入れた方が免疫ができていいんじゃないか?そんなことはないでしょうが。今冬、半世紀ぶりに、雪・氷柱の匂いをかぎ、味見しました。昔と同じ匂いと味。10歳の頃が鮮明に蘇りました。住んでいた家、近所の町並み、一緒に遊んだ友達…

 匂いは、過去のシーンを呼び覚ましてくれます。チャーチルのパクリだろうって?パクるつもりはなかったのですが、たまたま雪の匂いから同じことを考えたということです。チャーチルは、「匂いくらい、過去をはっきり思い出させてくれるものはない」と、ノーベル文学賞となった回顧録に書いています。

 「ニオイ」は、「臭い(悪臭)」「匂い(芳香)」という書き分けが出来ますが、どっちでも問題ないので、不統一な表記ですすめます。

 60年間、様々な匂いを嗅いできています。今の匂いに関わる課題は、「加齢臭」です。しかし、克服しました。加齢臭の発生源を清潔にしておけば大丈夫。朝シャワーが効果的ですが、時間がなければ蒸しタオルでこすっておけばよい。胸骨の所と、肩胛骨の間をゴシゴシと。
 
 「加齢臭」で、過去の一場面が思い出されます。洋服にまで染みこんでいて、24時間加齢臭発散状態という人がおりました。嗅がなくても、文字を見ただけで過去の一シーンが浮かび上がるものです。このことに気づいたので、チャーチルを超えたかもしれません。ノーベル賞に一歩近づきました。
 その人と麻雀をするとき、つらいものがありました。対面(トイメン。自分の正面の位置)でも、臭いは時折ホワ~と漂って来ました。人柄はいい方でした。人間は人柄はもちろん大事ですが、匂いも臭いも要注意。

 「ラム肉は、臭い…」と評価する人がいる。不思議です。私は、ラム肉が臭いと感じたことはありません。「ためして×ッ××」で、実験してくれました。実験の結果…
1 「ラム肉」と被験者に伝えておくと、臭いと答える。
2 「ラム肉」と知らせなければ、臭くないと答える。
 つまり、実際はラム肉は、臭くないことが立証されました。よかったよかった。「ラム肉は臭くない友の会(そんな会あるんかい)会長」としては、大いに溜飲を下げました。

 平成8年に「悪臭防止法の改正」があり、悪臭の発生源に対し、市町村が改善勧告・改善命令を行うことができるようになりました。そこで登場してきたのが、「臭気判定士」。「ウソ臭い」って?ホントホント。国家資格ですよ。 「ラム肉は臭いかどうか、臭気判定士さんお願いします」…こんな人はいませんから、個人の商売としては成立しないでしょう。気象予報士だって、メディアに登場する人は0.0001%未満。あとの人は、資格を持っているというだけ。
 臭気判定士については、この時代に業績を上げている、「空気環境に関わる会社」へ就職するのには当然有利です。五科目の筆記試験があり、合格したら、嗅覚検査。嗅覚検査料は、9,000円。
 臭気判定士試験を統括しているのは、「社団法人 におい・かおり環境協会」…この協会の名前…うさん臭いです。敢えて平仮名にして、「においとかおり」を区別しているあたりに存在感をにおわせていますが。

 「匂い」で書き始めたら、過去のシーンが次々に思い出され、収拾がつかなくなってしまいました。これからは、雪解けの匂いを嗅ぎ、新芽が出る山の匂いを嗅ぎ…過去の場面を見る。楽しみです。