アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

ベンチプレスの怖さを再確認しなければ

2012年12月15日 | Weblog
 昨今、ベンチプレスも安全面を配慮した器械が出てきております。しかし、今なお本来のものが主流。つまり、左右のウケの上に、バーベルが乗っかっていて、バーベルの下へ仰向けに潜り込んで両手でバーベルの棒部分を掴んで押し上げる。終わったら、ウケへ戻す…。

 千葉県館山市のトレーニングルームで、ベンチプレスでトレーニングをしていた男性が、80キロのバーベルを首に落とした。…10分後に意識を失っている男性が発見された。男性は、病院へ運ばれたが約20時間後に死亡した。

 一人でベンチプレスをするのがいかに危険か!命まで失うわけですから。で、実は、私自身、一人でベンチプレスをしていて…ひどい目に遭ったことがありまして。館山市の事故から当時のことを思い出しましたよ。

 筑波の体育館の片隅に、ベンチプレスが置いてありました。好奇心が洋服を着て歩いているような性格なもので…ついつい、バーベルの下へもぐりこんでしまいました。
 40kg、見事成功。そして60kgに挑戦。なかなか挙がらない。諦めて、バーベルをウケに戻そうとしたとき、惨事が起こりました。右のウケには納まりました。 左は…ウケとバーベルの棒の間に、左手の親指と人差し指の間にある、「水かき状の皮膚」が挟まってしまったのです。引っ張っても、60kgの鉄が重りになっているので抜けない。使えるのは右手一本。右手一本で、60kgを持ち上げて左手を救出することは出来ない。5分ほどもがいたが、ニッチモサッチもいかない。バレーボールをしている人達に助けてもらおうと、「スミマセーン!」と叫んだが、声は体育館の騒音にかき消された。
 「このまま、誰もいなくなったら私はいつ発見させるのだろうか…?」
 新聞の見出しは、「手の水かきをバーベルに捕まえられて身動き出来なくなった男性を救出」「全くドジな奴がいるものだ」など、さんざんに書き立てられるだろうなあ。一族も、「バーベルに捕まった奴の身内」と、嘲笑されるだろうなあ。

 無駄かも知れないが、何度でもチャレンジしよう!60kgの人なら軽々と持ち上げられるのに、60kgのバーベルは動かせない。
 そして、1時間ほど経過。閉館の放送が…。その間に学習したことは、使える右手で左手付近を持ち上げても動かないが、バーベルの右端なら少し浮くということ。早い話が、テコの原理。
 そして、アトラスト!「やったーっ!」左手の救出に成功。人生で嬉しかったことの上位に入りますねコレ。水かき部分は感覚が無く、壊死かと思われました。外見上は変化が見られないので放置しておきました。もっとも、病院へ行くにしても、何科へ行けばいいか分からない。バーベル科などあるはずもなく。水かきの感覚が戻るまでに3年かかりました。

 ベンチプレスは複数人で行うこと…これ鉄則です。体を鍛えるためのベンチプレスで犠牲になってはいけません。