メゾソプラノのディドナートさんのマスタークラス3日目。最終日のレッスンです。
オペラのレッスンは面白いものだと思い拝見しました。
役柄の人物をどう設定するかで、歌い方、音色が変わり、それをスッとやってのける生徒さんたち。
ピアノ演奏ではここまでガラリとキャラクターを変えて同じ曲を演奏することはないので、同じ音楽でも別の世界を見させてもらった感じです。
チェリストでもあるノルウェーの女性受講生のイマジネーションの豊かさは拝見していて楽しく、感心しました。
様々な設定を振って、彼女の力を舞台関係の人に知ってもらう意図もあると思いますが、楽しいやり取りです。
最初に歌った女性は、完璧を求め自分を追い詰めていた生徒さんです。前回のレッスンでは歌のレッスンはひとつもせず、そのことについて話されていました。
今回の彼女は、心なしかリラックスし音楽を楽しんでいる様子。ドラマティックな声をしています。彼女の変化に泣けてきました。
完璧へのこだわりに対処する方法を学ばないと、それはあなたの敵になる。あなたが完璧になったとしても、そこに私たちが入るスペースはない。自分を受け入れ、脳、身体、呼吸を柔らかくすることが出来れば全てがはるかに良いコンディションになり、あなたにチャンスが与えられる。完璧に自由であることを目指しなさい。そこは呼吸が自由に流れる場所、感情が自由に流れる場所、今まで学んできたことに固執しない場所です。
心が声に直結している声楽家ならではのお話。ディドナートさんならではのお話なのかもしれませんが、感動的な3日間のマスタークラスでした。