メゾソプラノのジョイス・ディドナートさんのマスタークラスの動画を拝見してみました。
彼女のことは、コロナ禍で演奏家が活動できない時に、アーンの「クロリスに」を弾き歌いされている動画を偶然見て、歌もお上手ですがピアノも上手だなと思い聴いていました。それ以前は彼女のことは全く存じませんでした。
その彼女がカーネギーホールのマスタークラスに登場していたので、このクラスになると声楽のレッスンはどのようなことをするのだろうと思い、ちょっと拝見してみました。
英語なのでよくわからないものの、声楽家が何を考えて歌っているかを少し知ることが出来、2人目の生徒さんまで見入ってしまいました。
やはり、レガートのことは声楽の方もとても重要なことのようです。
ムーティのオペラアカデミーでもレガートのことはよく仰っていました。
レガートは、声楽家にとってはピアノより容易なことかと思っていたところが私にはあるので、今回ディドナートさんのレッスンを拝見し、歌も色々と難しいことがあるのだなと思いました。
言葉があるので、子音の中でレガートしなければならないとか(指摘があった所は)、子音を発音するタイミングで生き生きとしたリズムが生まれたりとか、ひとつの子音を強く発音するだけで音色がガラリと変わったりとか。
最初の生徒さんは、長くチェロを弾いていた方のようで、歌詞なしでチェロを弾くように歌ってみてと言われたら、別人のように音楽が生きたものになりました。
音符を歌うのではなく、パフォーマーになっているとディドナートさんも興奮気味。
声もアップやダウンがあるのだということも知りました。
上に向かう声、下におりる声。それも長く伸ばす部分ではなく、私には全く聞こえてこなかった一瞬の音です。
ピアノの人には不可能ですが、例えば4分音符で、その始まり・中間・終わりで演奏できる要素がたくさんあると。
声だからこそピアノよりずっと細やかに表現できる分、大変だなと思いながら、弦楽器、管楽器もそれができるわけで。
ふと、カントロフの演奏が何か他の人と違うと感じるもののひとつがここにある気がしました。ひとつの音が変化する感じがある気がします。彼自身、音を押さえつけず歌のように(声のようにだったか・・)演奏したいと話していたと思います。
ディドナートさんのマスタークラス。音(声)を作り出す、音楽を表現する。ピアノを弾く人にとっても参考になるレッスンだと思います。
それにしても、声楽家は明るい。
ピアニストのレッスンとは先生も生徒も違うなぁ、とそんなことも興味深く拝見しました。