この前、レッスンで繰り返し何度も弾けない所を練習した生徒さんがいました。
生徒さんが自分でそのようにしていたのですが、それを見て私は「何を考えて弾いてる?何か考えて弾いていることある?」と質問。
「・・・」
何も言いません。
「百回弾いて弾けるってことはあるかもしれないけど、それじゃ効率が悪い」と、私。
ある2つの和音を何度も弾いていたのですが、最初はそこを弾くためにわざわざフレーズの頭に戻って何度も弾いていたので、弾けない所から弾いた方がいい、戻ると忘れるから、と言いました。
そうしたら、今度はそこをひたすら何度も弾いていたので先程の質問をしました。何を考えて弾いているかと。
ピアノの楽譜は音符が多く複雑なので、根性でブルグミュラーくらいまででしたら乗り越えられると思いますが、その先はそれでは無理です。
その生徒さんは、塾の勉強が多く毎日勉強が終わらないと聞いています。
ピアノは練習して来ないことはなく、進度も遅くはないのですが、ソナチネまで進んだらもっと譜読みが速くてもよいはずだと思っても、思ったより時間がかかります。
ずっと勉強が忙しいのだろうと思っておりましたが、レッスンの時のひたすら繰り返して弾いている姿を見て、これは効率の悪いことをしているとやっと気付きました。
逆にずっと、かなり根気強く数をこなしてきたのだと分かりました。
和音とバスの動き、気を付けたい音程を言いましたら、3回ほど弾いてあっさり弾けるようになりました。
私が子供の頃はレッスンは毎週ありました。
新しい曲でも一週間で何とか弾けるようにして行かなくてはなりません。
そうなると、人間は考えるものです。いかに効率よく楽譜を読むか。
どんなパターンか。音型を見る、変化していく音だけ見る、など。
これは音楽理論を知らない小学生でもできます。
「みみをすます 3 」音楽之友社(さくせんかいぎのページ)にもありますが、音符を要約するのです。
今は、レッスン回数が昔より少ないところが多いと思います。
また、生徒さんに合わせて無理なくレッスンを続けてもらえるように選曲します。
私もそのようにしている一人ですが、楽なことから知恵は生まれないという現実。
ピアノは趣味で習っている生徒さんが大多数です。
私も途中まではそうでした。
それでもきちんと曲をもらい、練習できたことは今思うと幸運でした。
音大に行くわけではないので、と言う保護者の方がいらっしゃいますが、多くのピアノの先生は初めから専門的に音楽を学ぼうと思って習い始めたのではないと思います。少なくとも私はそうでした。先生だって子供の頃は趣味だった人が多いと思います。
それでも、ハノン、ツェルニー、バッハ、曲、聴音、コールユーブンゲンは普通に習っていました。同じ門下の人もそうです。全員趣味でした。
それがあったから、音楽の道に進む選択肢も持てたわけです。