おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

言葉から来るリズム感

2022年11月10日 | 書籍紹介

少し前に読んだ「日本人とリズム感」


そこに書いてあった、日本語は冠詞がないのでアウフタクトのリズム感がない。それで、呼吸をせずにいきなり拍の頭を目掛けて突っ込む、という話。

それから、言葉の音と音の間の粘着的なつながりがない、という話。


とても納得。

生徒さんたちの演奏を聞いていると、それがとても多いです。
もちろん私もそうです。

音と音の間の意識は持っているつもりでしたが、もっと強くそれを意識すると音楽の呼吸、フレーズの持つエネルギーの流れがはっきりと実感できます。


日本人の特性であろう、ひとつひとつ音を捉えてしまう癖。

次がどんな音の動きであるかによって、その音をどう弾くかが決まって来ると思いますが、それは練習によって曲の流れがわかれば体も動いてくると思って来ました。しかし、暗譜もし、長い期間弾いているにもかかわらず、呼吸と動きが循環していない様子を見ると、日本語から来る感覚というものを考えてしまいます。


音の前のほんの少しの呼吸と、音と音の間に着眼するだけで演奏がガラリと変わる可能性があります。

実際に、70代の大人の生徒さんがそうでした。
この生徒さんは結構難しい曲も弾いてきました。さらに、アメリカに住んでいらしたことがあるので英語が話せます。

冠詞があることによるリズム感と、音と音の間の発音が外国語は変化していくのでは、という話をし、その頃を思い出して!とやってみましたら、私があれこれ口を挟まなくとも演奏が変わりました。


小学生でも英会話を習っている生徒さんは少なくありません。
外国語がピアノレッスンで活かせるかもしれません。


気付かせてあげるだけで、変われることがまだまだあるものだと思いました。

私もやっているつもりで足りていませんでした。

思いがけなく出会った本のお陰で、またピアノを弾く楽しみができました。


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作曲家を知ろう!カプースチン

2022年11月05日 | 作曲家を知ろうシリーズ

11月に生徒さんに聴いてもらう作曲家は、カプースチン。

誰も知らないことを承知の上でカプースチンを選択しました。


実は昨年の11月にと作ってあったのですが、このシリーズを始めていきなりこんな全く知らない人は抵抗があるかもしれないと思い、1年待ちました。

9月にガーシュウィンを聞いてもらっていたので、多少の免疫ができているかなと思います。


カプースチンは2020年まで生きていらしたので、生徒さんたちにとっては初めての同時代の作曲家です。

ガーシュウィンのような軽やかさはないので、生徒さんたちがどう聴くか、楽しみであり不安であり・・です。

カプースチン | Composer Sakkyokuka

Composer Sakkyokuka

 



先月のサン=サーンスは、全く知らない作曲家と皆言っておりましたが、曲を聴いてみたら「知っている」でした。

動物の謝肉祭は大好評でした。
ほとんどの生徒さんが聴いたことがあったのが、やはり「白鳥」

生徒さんの好みがどこかに偏ることもなく、ライオンの行進や化石、水族館など生徒さんによって気に入った曲が色々とありました。
コメント (2)
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エマール 鳥のカタログ2022/11/3

2022年11月03日 | コンサート情報

オペラシティでエマールのリサイタルを聴いてきました。

プログラムはメシアンの「鳥のカタログ」


15:00開演、終演は18:20頃でした。

第1~3巻までで60分
20分休憩
第4巻30分
20分休憩
第5~7巻60分

全曲通すと2時間半。

エマールの音と音楽に最初から最後まで惹き込まれた時間でした。
「鳥のカタログ」全曲を聴く機会はこの機会を逃したらないと思い、エマールの演奏ならば是非とも聴きたい、と思い聴きに行きました。

何年か前に、ラ・フォルネ・オ・ジャポンでエマールが鳥のカタログから抜粋で演奏されたことがあります。

そのコンサートの時間帯に合わせた選曲でした。
何を演奏されたか全く覚えておりませんが、今日聴いていていくつか聴き覚えのある曲があったので、おそらくそれだろうと思いつつ、全くの気のせいかも‥と思いながら聴いておりました。

きっと何度聴いても、曲を聴いて「これはイソヒヨドリ」とか「モリフクロウ」とわかることは私には起こりえない自信があります。

覚えられるような曲ではないです・・


エマールの音、心地よく美しかったです。
音が外に解き放たれていました。

エマールの力量の凄さをたっぷり味わって来ました。
彼の演奏だからこの曲を2時間半聴き続けられたと思います。

調律もきっとたいへん神経を使ったのでは、と思いました。
あれだけコントロールされたタッチと音色を紡ぎ出すエマールなので、それが活きるものにしなければいけないわけで・・

それから譜めくりの方、お上手でした。
譜めくりに感心することは中々ないのですが、お上手でした。

第10曲コシジロイソヒヨドリ
奇岩に埋め尽くされたムレーズ圏谷の5月。その対照的な光のもとに現れる奇岩の形視と、それを彩る鳥の歌が音にされた曲。
奇岩をメシアンはどう表現するのだろうと聴いておりました。解説を読んで想像してから聴くと面白いかもしれません。
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日本人とリズム感

2022年11月02日 | 書籍紹介

「日本人とリズム感(樋口桂子著)」という本があります。

著者は音楽家ではありません。文学と美学を学んだ方のようです。
言葉にお詳しい様子。美術にもお詳しいです。

そのような方がなぜリズムのことを‥、と思いましたら、ご本人が大人になってからチェロを習い、その時の出来事がきっかけになったと。


あとがきにそのことが書かれておりました。
あとがきが一番面白っかった、と言っては失礼ですが、これは楽器を教えている先生方は必ず経験されているだろうと思い、そういう意味でたいへんリアルなお話でした。

大人になってから何となく習い始めたチェロ。
それなりに順調に進んでいたレッスンである時突然先生が、「あなたはリズム感が悪い、悪い、悪すぎる」と。

ここまでならもう少し穏やかな言い方で言うこはあるなと思いましたが、その先生はさらに「あなたの音を聞いていると腹が立つ」と。

先生の言葉はどんどんエスカレートしていったらしく、それ以来、1本の開放弦を先生の数える拍に合わせプープーと弾くだけの地獄のレッスンが始まったと。

先生の様子が他にも本には書かれています・・

著者の方は、「弾く前にすべき準備のリズムがなく、最初の拍をめがけて突進していくように弾いているらしい」けれど、本人にはその自覚がないとあります。

弾く前に瞬間的に息を止めてしまうようで、その度に先生は怒り狂うと。

身体の動作全体から見直すことを学ばなければならず、歳を重ねてからでは脳の経路全体を改造して行くのは、想像以上の気力と体力が必要と。

その内レッスンから脚が遠のいてしまったが、リズムへの興味はむしろ広がり何か書けるのでは、と思ったそうです。


この光景、ここまでではなくともあると思います。

著者の方が次のように上手くまとめられています。
「弾く前の準備の呼吸は、それから始まる音楽の全てをつくっていくものなので、それを大切にしなければ、全てが無駄である・・中略・・循環するリズムを感じさせるものでなければならない。・・中略・・プツンプツンと切れてしまうのではない、粘りを持った音の連続しかチェロから出してはならないし、そういう音しか正しいリズムと音楽をつくってくれない」


まさに‼
そしてピアノも同様です。

今日も小学生のレッスンで、以前から何度言っても弾き始めの呼吸なしでいきなり弾き始める生徒さんがいるのですが、”ピアノは手首が口”と何度言ったか・・

せっかく手首で呼吸したと思っても必ず一度止めて、結局呼吸なし状態に戻して弾き始めます。

謎の動き・・

その生徒さんにとっては、呼吸はただの作業で音楽に結び付くものではないのだと思います。


この本を読んでいたので、日本人の特性だ、と思ったら腹も立ちませんでした。
私自身も自分で気付いていないことがあると思います。今日は自分のことは思いっきり高い棚に上げさせて頂きます。


日本の武術を思い浮かべると、息を殺し、気配を殺し隙を突く。
忍者も字のごとく、忍びの者。

さぁ、行きますぞ、などどわかってしまってはいけないわけです。

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