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子供連れ去り事件

2012年10月24日 | ブラジル雑記
2011年7月、バイア州の田舎の貧しい家から、5人の子供がすべて連れ去られるという出来事がありました。

サルバドールを州都に持つバイア州、内陸部はセルトンと呼ばれる、乾燥地帯が続きます。
この地方は、一年のうちにほんの何ヶ月かしか雨が降らず、農業をするにも牧畜をするにも、厳しい条件のところです。

このセルトン地方のある小さな村で母親が5人の子供と暮らしていました。
父親と母親はすでに別れていましたが、父親は5人の子供の養育費と母親の生活費をきちんと負担し、母親は5人の子供たちの世話に専念することができていました。
母親は末っ子の女の子を出産したばかりだったので、父親が毎日4人の息子達の学校の送り迎えをし、学校で父母会などがあるときには、二人で必ずそろって出かけていっていたということです。
父親はほかの人の畑の大変な仕事を請け負って、休み無く働き、子供たちと母親の生活費を稼いでいました。

そんなある日、この家族の生活が一変しました。

最初に連れ去られたのは、生後2ヶ月の末っ子の女の子。
二人の警官と裁判所の書記官が「裁判所の命令だ」と言って、赤ちゃんを連れて行きました。
母親は「すぐに子供は戻ってくる」ものと考えていたそうです。

その2週間後に今度は4人の男の子達が連れて行かれました。
このとき、7歳の長男は「お母さん、僕を隠してよ。行きたくないよ。」と逃げようとしましたが、警官に捕まって連れて行かれました。
村の中は騒然としましたが、警官が「妨害すると逮捕するぞ。」と人々を遠ざけたそうです。

父親はその後、街の「Censelho Tutelar(児童保護施設)」に行き、何とか子供たちの行方を突き止め、子供たちを取り戻そうとしましたが、逆に職員とトラブルになり、警察に捕まってしまいました。
父親の保釈金5000レアイス(約25万円)を払うために、家族は祖父母の家を売りました。
現在、祖父母は家を買った人の善意で、そのままそこで暮らしていられるそうですが…

このことがきっかけとなり、州の「児童少年保護局」が新たに調査を始め、今回の問題が世間に知られるようになったということです。

裁判所の説明よると、子供たちを連れ去った理由として、「この家族は貧乏で、小さな子供たちにろくに食べ物も与えていない。学校にも通わせずに、毎日働かせている。」という密告があり、そのために子供たちを「救い出した」とか。
この「密告」は事実とまったく異なり、近所の人たちも、子供たちが通っていた学校の先生達も、父親は本当に良く働き、決して子供や母親を飢えさせるようなことはしなかった、母親は、5人の子供たちの服を洗濯したり、子供たちの食事を作ったりして、よく世話をしており、子供達はいつもこざっぱりとした格好で、元気いっぱいな素直な子供たちだったと言っているということです。

この「事件」を番組として取り上げたテレビ局の調査によると、この「養子事件」には一人の女性がかかわっているということが明らかになってきました。
この女性が目をつけた家庭の子供たちについて、女性とつながっていると思われる裁判官が「養子縁組のための命令書」を作成、その「命令書」をもって警官と裁判所の書記官が子供たちを取り上げに行くという筋書きです。

テレビ局は5人の子供たちの行方を捜しましたが、5人の子供たちを「養子」にしたという家族とは、すべて接触ができませんでした。
ブラジルでは、「子供の売買」が大きな社会問題として存在します。
「児童少年保護局」と裁判所は、この事件を「不正養子縁組事件」とし、密告をした女性と「命令書」を出した裁判官を「捜査中」だということです。
5人の子供たちが、せめて養父母のもとで幸せに暮らしていれば良いのですが…

また、この事件が明らかになって以来、この地方で同じ「密告女性」と見られる女性に言葉巧みに誘われ子供を養子に出してしまった人、また女性の誘いを断ると今回のように「裁判所命令」により子供を「連れ去られて」しまった人が何人もいることがわかりました。

今後、この子供たちが親元に帰れるのかどうか、とても気になります。


コメント (8)
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