ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

HoME6 : XXII Uncertainties and Projections (3)

2005-08-29 22:42:02 | Tolkien・HoME
(8) トールキンさんが結末を書いたメモの裏には,ビルボが裂け谷でビンゴにさよならを言うシーンが書いてあったそうです。彼が言うには,指輪は破壊された,ここはさよならを言うにはいい場所だ,ビンゴと自分は小さい生物だが,なすべきことを成し遂げた,とても不思議な運命を共有した‥というような事が書いてあります。

クリストファーさんは,トールキンさんがビルボが裂け谷で一生を終えると予測したようだと言っています。

(9) 次はやはり1939年8月の日付で,面白い事が書いてあったそうです。

春まで待つか?すぐ出るべきか?
彼らは山沿いに南へ。後でか早めにか,Red Passで吹雪に遭う。
森で巨人木の鬚と冒険
モリアの坑道。ゴブリンしかいない。
Ondの国。都の包囲。
モルドールの境界に接近する
闇からゴラム,改心のふり? フロドを絞め殺そうとする? しかしゴラムは指輪を持ち,見えない。フロドは自分のを敢えて使わない
7人の黒の乗り手が導く行列
地平線に闇の塔。「目」が彼を探しているような恐ろしい感触
火の山(Fiery Mountain)
塔の破壊による火の山の噴火

さらに鉛筆で小さなメモ「ビンゴ(フロド)は冥王に捕まり尋問されるべきか? そしてサムが救うべきか?」

そして,ゴブリンの記述の先に,「ガンダルフを失う」

ここでは,Redhorn Passの旅,ドワーフ達とモリアの事,石の都が包囲される事,フロドが捕まる事,ガンダルフの事,‥と,どんどん,正式版のプロットが構築されてきていますね。

(10) 木の鬚について
さて,前の章ではガンダルフを捕まえていたりとか,何かと気になる木の鬚ですが,トールキンさんの1939年7月29日の手紙にこんな話になっているそうです。(しかしその話の両端は,「fine ornamental script」で覆われてます→HoME6巻の本をお持ちの方は,P383をご覧下さい!)

フロドは声に気が付いて上を見たけれど,絡んだ枝しか見えません。と,急に寄りかかっていた木が震えたような気がして,飛んで逃げようとするや否や,押されたか,蹴飛ばされたかで前につんのめりました。木の方を見ると,それは彼の方に迫ってきて,てっぺんの方から,ゴロゴロ唸るような笑い声が響いてきました。
「どこにいるんだ?カブト虫君!どこにいるか教えてくれなければ,踏まれても文句は言わせんぞ! それとくすぐるのをやめてくれないか!」
「足が見えないんですけど,どこにいるんですか?」とフロドが言うと「お前はメクラか? ここだ! 私は木の鬚だ! お前は私の庭にいるのだ。」
するとフロドは「庭も見えないんですけど? 庭ってフェンスがあって,花や草が生えているものではないですか?そういうものが見えないのですが」すると,「おお!あるとも! お前は気づかぬうちにフェンスを越えて来たのだ。お前は草の根元を通ってきたから気づかんだけだ!」
実はフロドが木の幹だと思っていたのは,大きな花の茎でした。そして大きな樫の木の幹と思っていたのが,コブコブの足とたくさんの枝分かれしたかかとでした。

そして,この(英文の)下のテングワールには,これは「ホビットの冒険」の続きの「The Lord of the Rings」という話の一部で,フロドがNeldorethという所で見失った友達を捜している時,木の鬚に出会った所を描いている。(この先が問題)彼はフレンドリーな振りをしているが,実は敵の回し者なのだ。

あちゃ~,ホントに,木の鬚は最初,悪役だったんですね。でもなんとなく,サルマンぽいですね? つまりこれは,サルマンの前身の姿なんでしょうか。

Run!Run!Run!