久々にテレビのドキュメンタリー観て涙ぽろり。「銀座の鮨の物語」って番組です。名店から庶民派まで、200軒の寿司屋がひしめく銀座で、一流の中の一流を目指す店主の生き様を紹介していました。その中でも昨年世田谷から憧れの銀座に勝負をかけにきたという「あら輝」の店主の“人間力”から放たれる語録が、わたしの心の琴線に響きまくりだったんです。
弟子に言った言葉。「技術は後からついてくる。大事なのは精神だ。やり遂げるという気持ちがいちばんなんだ」
自信を取り戻した弟子の言葉。「一生懸命だけでは一年もたない。万が一将来寿司屋じゃなくても、生きていく上で役に立つ考え方をここで学んでいると思う」
寿司を握りながら「失敗して恥をかくってことが大切。のちの人生に必ず役に立つ」
最後に夢は海外進出という話で「1回しかない人生。夢を見たっていいじゃないか。自分を突き動かしていくものを追い求めることが大事」
誰だって、一見、成功しているように見える人たちだって、みんなみんな葛藤を抱えている。理想と現実の狭間で迷い続けている。迷ったり、立ち止まったりすることは、決して弱い人間だからじゃない。向上心のあらわれだ。迷いながらも、やっぱり自分の決めた道を歩み続けていく、歩み続けることが存在証明のひとつ。つらい。苦しい。もうダメかもしれない。やめてしまおうか。でも……。でも、好きだから。寿司が好きだから。お客さんの喜ぶ顔が見たいから。わたしなら……書くことが好きだから。ライターという職業が好きだから。特に秀でた才能もない不器用なわたしに、たったひとつ神さまが与えてくれたもの。それがこれだと思うから手放せない。絶対に手放さない。すべての原動力は「好き!」ってことだと思う。
自分の譲れないものを守っていくこと。本当に難しい。これまではそのことにとらわれすぎていたように思う。自分をアピールすることで精一杯だった気がする。でもこれからは。他人の譲れないものに対しても寛容でありたい。そういうふうに成長していけたら、わたしの人間力もアップするはずって思いました。いろんなことに思いを馳せながら観たテレビ番組だった。よく本音をあれこれ引き出せたなぁと取材者に対しても尊敬の念を抱きつつ。