1962年
先に、阪神へ入団が決まっていたブラウン投手(カリフォルニア大出身)は、十四日のお昼すぎ、甲子園に姿をみせた。戸沢社長につれられ、三塁側ベンチで休けい中のナインのもとへ・・・。「ミスターブラウン」とソロムコがとびたし、がっちり握手。日やけした四角ばった顔、身長188㌢、体重90㌔のブラウンとならぶと、ソロムコは小さくみえる。コーチ陣を紹介されたあと、ブラウンは記者会見の場、球場内の喫茶店にむかう。「あれがブラウンか」とスタンドにいた三百人余のファンもブラウンと並行。一塁側選手入り口の方へ歩く。ブラウンの人気、なかなか上々である。「日本の野球は世界的水準にあり、アメリカでも評判だ」と前置きし、ブラウンはゼスチャアもまじえ、よく話した。
ー日本の野球はどれくらい知っていますか?
ブラウン カリフォルニアにも日本のノンプロチームがきたことはあるが、ボクは見ていない。日本にくる前、東映におられた武井やミケンズ(近鉄)などから話を聞いていたし、ドジャースのコーチ、ドローチャーには、日本の野球についておそわった。
ー向こうで練習してきましたか
ブラウン ロサンゼルスは雨が多く、ほとんど練習していない。コンディションの調整はこれからです。(ところが、ブラウンはこのあと左翼ブルペンでピッチングをするさい、梶岡コーチに「二週間ほど前からピッチングをしていた」といっている)
ー武器は何ですか。
ブラウン 速球だ。(きっぱりとした口調で)カーブも投げるが、武器は速球だ。上から投げるのが多いが、ときには横からも投げる。
ー日本の生活について。
ブラウン ロサンゼルスですしも天ぷらも食べた。別に困らないと思う。趣味ですか?ベースボールです。それに最近は日本に関する書物も多く読んだ。両親も日本で野球するのを喜んでいる。コーヒーについている角砂糖を一つ口にほうりこみ、ブラウンは着がえに席を立った20分後・・・ブラウンは出てきた。背番号18のユニホームを実にうまく着こなしている。ラバーコートを脱ぎ、外野のヘイにそってランニング、体操をしたあと、ブルペンにあがった。手首のかえしが鋭く、腕がしなるようにして投げる。「体がやわらかい。外人独特のフォーム」と梶岡コーチ。30球ほど、五分ぐらいの力で投げた。球の回転が不規則で球はスライダーしたり、シュートしたりしたが、球は重く、コントロールもいいようだ。三時間前、練習が終わり、ナインがひきあげたあとも、ブラウンは、グラウンドを走っていた。なかなか、マジメな選手のようである。
阪神が期待する外人ブラウンが先発を承り、初登板したが、ゲーム前から降り続いている雨のためにグラウンドがやわらかく、体重の重い彼には不利な条件のスタートだった。足元がすべるのを気にしてか、スタートからピッチングは荒れもよう。一回4四死球を連発。須藤に左翼線二塁打を打たれて3点をとられるさんざんのできだった。だが球威はかなりある。王をフルカウントからカラ振りの三振にとった。左打者の外角いっぱいに落ちる球、いわゆるシンカーはみごとである。また、同じシンカーで長島を三ゴロに退けたのがせめてもの慰めだ。
先に、阪神へ入団が決まっていたブラウン投手(カリフォルニア大出身)は、十四日のお昼すぎ、甲子園に姿をみせた。戸沢社長につれられ、三塁側ベンチで休けい中のナインのもとへ・・・。「ミスターブラウン」とソロムコがとびたし、がっちり握手。日やけした四角ばった顔、身長188㌢、体重90㌔のブラウンとならぶと、ソロムコは小さくみえる。コーチ陣を紹介されたあと、ブラウンは記者会見の場、球場内の喫茶店にむかう。「あれがブラウンか」とスタンドにいた三百人余のファンもブラウンと並行。一塁側選手入り口の方へ歩く。ブラウンの人気、なかなか上々である。「日本の野球は世界的水準にあり、アメリカでも評判だ」と前置きし、ブラウンはゼスチャアもまじえ、よく話した。
ー日本の野球はどれくらい知っていますか?
ブラウン カリフォルニアにも日本のノンプロチームがきたことはあるが、ボクは見ていない。日本にくる前、東映におられた武井やミケンズ(近鉄)などから話を聞いていたし、ドジャースのコーチ、ドローチャーには、日本の野球についておそわった。
ー向こうで練習してきましたか
ブラウン ロサンゼルスは雨が多く、ほとんど練習していない。コンディションの調整はこれからです。(ところが、ブラウンはこのあと左翼ブルペンでピッチングをするさい、梶岡コーチに「二週間ほど前からピッチングをしていた」といっている)
ー武器は何ですか。
ブラウン 速球だ。(きっぱりとした口調で)カーブも投げるが、武器は速球だ。上から投げるのが多いが、ときには横からも投げる。
ー日本の生活について。
ブラウン ロサンゼルスですしも天ぷらも食べた。別に困らないと思う。趣味ですか?ベースボールです。それに最近は日本に関する書物も多く読んだ。両親も日本で野球するのを喜んでいる。コーヒーについている角砂糖を一つ口にほうりこみ、ブラウンは着がえに席を立った20分後・・・ブラウンは出てきた。背番号18のユニホームを実にうまく着こなしている。ラバーコートを脱ぎ、外野のヘイにそってランニング、体操をしたあと、ブルペンにあがった。手首のかえしが鋭く、腕がしなるようにして投げる。「体がやわらかい。外人独特のフォーム」と梶岡コーチ。30球ほど、五分ぐらいの力で投げた。球の回転が不規則で球はスライダーしたり、シュートしたりしたが、球は重く、コントロールもいいようだ。三時間前、練習が終わり、ナインがひきあげたあとも、ブラウンは、グラウンドを走っていた。なかなか、マジメな選手のようである。
阪神が期待する外人ブラウンが先発を承り、初登板したが、ゲーム前から降り続いている雨のためにグラウンドがやわらかく、体重の重い彼には不利な条件のスタートだった。足元がすべるのを気にしてか、スタートからピッチングは荒れもよう。一回4四死球を連発。須藤に左翼線二塁打を打たれて3点をとられるさんざんのできだった。だが球威はかなりある。王をフルカウントからカラ振りの三振にとった。左打者の外角いっぱいに落ちる球、いわゆるシンカーはみごとである。また、同じシンカーで長島を三ゴロに退けたのがせめてもの慰めだ。
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