息子の定期演奏会

2001年11月05日 | 家族

今日は、グリークラブの定期演奏会だ。
5時なったらすぐに会社を出ようと考えていたが、
なんだかんだで15分を過ぎてしまった。
会社を出るときケータイを見たら、
女房からのメールが入ってた。
「Uから。前の席はやめてよね。
 真剣に歌わなくなるからね。
 去年もすごくいやだったんだからねという事です」
なにいってんだ、と思った。
(去年の11/22に書いた「Uの涙」という九想話を見たら、
 前から5列目に私は坐っていたらしい。
 よく覚えていない)

あまり通りたくない裏道を飛ばす。
いったん家に帰り、傘を持って家を出る。
新所沢駅を6時1分の電車で出る。
定演の場所は、
東京の王子にある「北とぴあ さくらホール」。
会場に着いたのが、7時10分だった。
入るとロビーに沢山の人がいた。休憩時間だった。
会場に入り見渡すと、後ろの左端に女房がいた。
今朝まで女房は「Uの見える前のほうに坐るんだ」
とうれしそうにいっていたのに、
息子に遠慮してあんなところにいる、と思うと、
女房がかわいそうになった。
しかし、わが息子ながら情けない。親が近くで見ていたら、
真剣にうたえないなんて、人間がちいさい。
(さすがは、おれの子どもだ)

第3ステージが始まった。ドボルザークの歌曲集だった。
いつ聴いても、あのハーモニーに圧倒される。
そのハーモニーの発生源に息子がいる。
何想ってうたっているのか。
ファイナルステージは、男声合唱組曲「雨」だった。
伊藤整、大木惇夫、尾形亀之介、八木重吉、
4人の詩に多田武彦というひとが曲をつけた、
とプログラムには書いてあった。
それぞれ、日本的な情緒のあるいい歌だった。
アンコールは3曲やった。
最後の曲は、皆川達夫の指揮であの曲だ。
R大のグリークラブの定演の終わりは
いつもこの曲だ。
ああ…、名前が出てこない。
息子がいたら訊けるのに、
おそらく今夜は徹夜で打ち上げだろう。
♪ また逢う日まァでーえー
  また逢う日まァでー
とうたう曲です。
私は聴きながら、涙がにじんできた。
狭い小さなことを、思い悩んで嘆いている自分が、
情けない人間だと思い知らせる歌声だった。

会場を出た女房と私は、コーヒーを飲んだ。
私としては、このいい気分をアルコールで、
もっと上昇させたいところだが、
酒の飲めない女房では、それが出来ない。
これがいつも悲しい。
女房が「前半もよかったよ」という。
そうなんだ。去年も聴けなかった。
皆川達夫が指揮するミサ曲を聴きたかったのだ。
来年は、会社を休んで行こう。
息子の最後の定演だもの。

 

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息子の定期演奏会

2001年11月05日 | 家族

今日は、グリークラブの定期演奏会だ。
5時なったらすぐに会社を出ようと考えていたが、
なんだかんだで15分を過ぎてしまった。
会社を出るときケータイを見たら、
女房からのメールが入ってた。
「Uから。前の席はやめてよね。
 真剣に歌わなくなるからね。
 去年もすごくいやだったんだからねという事です」
なにいってんだ、と思った。
(去年の11/22に書いた「Uの涙」という九想話を見たら、
 前から5列目に私は坐っていたらしい。
 よく覚えていない)

あまり通りたくない裏道を飛ばす。
いったん家に帰り、傘を持って家を出る。
新所沢駅を6時1分の電車で出る。
定演の場所は、
東京の王子にある「北とぴあ さくらホール」。
会場に着いたのが、7時10分だった。
入るとロビーに沢山の人がいた。休憩時間だった。
会場に入り見渡すと、後ろの左端に女房がいた。
今朝まで女房は「Uの見える前のほうに坐るんだ」
とうれしそうにいっていたのに、
息子に遠慮してあんなところにいる、と思うと、
女房がかわいそうになった。
しかし、わが息子ながら情けない。親が近くで見ていたら、
真剣にうたえないなんて、人間がちいさい。
(さすがは、おれの子どもだ)

第3ステージが始まった。ドボルザークの歌曲集だった。
いつ聴いても、あのハーモニーに圧倒される。
そのハーモニーの発生源に息子がいる。
何想ってうたっているのか。
ファイナルステージは、男声合唱組曲「雨」だった。
伊藤整、大木惇夫、尾形亀之介、八木重吉、
4人の詩に多田武彦というひとが曲をつけた、
とプログラムには書いてあった。
それぞれ、日本的な情緒のあるいい歌だった。
アンコールは3曲やった。
最後の曲は、皆川達夫の指揮であの曲だ。
R大のグリークラブの定演の終わりは
いつもこの曲だ。
ああ…、名前が出てこない。
息子がいたら訊けるのに、
おそらく今夜は徹夜で打ち上げだろう。
♪ また逢う日まァでーえー
  また逢う日まァでー
とうたう曲です。
私は聴きながら、涙がにじんできた。
狭い小さなことを、思い悩んで嘆いている自分が、
情けない人間だと思い知らせる歌声だった。

会場を出た女房と私は、コーヒーを飲んだ。
私としては、このいい気分をアルコールで、
もっと上昇させたいところだが、
酒の飲めない女房では、それが出来ない。
これがいつも悲しい。
女房が「前半もよかったよ」という。
そうなんだ。去年も聴けなかった。
皆川達夫が指揮するミサ曲を聴きたかったのだ。
来年は、会社を休んで行こう。
息子の最後の定演だもの。

 

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