林芙美子といえば「放浪記」、「放浪記」といえば森光子なわけですが、個人的には成瀬巳喜男が監督し、昨年末に亡くなった高峰秀子が主演した1962年版の映画が印象深いです。
そして、原作:林芙美子、監督:成瀬巳喜男、主演:高峰秀子とくれば、名作「浮雲」(1955年)。
南方での従軍体験、不倫、という共通するモチーフから、この小説「ナニカアル」は映画「浮雲」を否が応でも連想させる。
しかも、映画「浮雲」の脚本を書いた水木洋子が実名で登場したりもしてますね。
かつて読んだ「残虐記」ほどの複雑さではないにしろ、小説内小説、小説内手記という形式で物語を成立させていく構成力には感心させられるし、実在の人物をこれだけ登場させて戦争の時代の息苦しさを生々しく表現する説得力は、巻末の参考文献リストのボリュームから見てとれる綿密な取材の成果に違いないと思います。
特に南方で主人公に従卒として付きまとう「野口」という軍人の不気味さ、厭らしさの描写は、女流作家(林芙美子に憑依した桐野夏生)の本領といったところでしょう。
そして、原作:林芙美子、監督:成瀬巳喜男、主演:高峰秀子とくれば、名作「浮雲」(1955年)。
南方での従軍体験、不倫、という共通するモチーフから、この小説「ナニカアル」は映画「浮雲」を否が応でも連想させる。
しかも、映画「浮雲」の脚本を書いた水木洋子が実名で登場したりもしてますね。
かつて読んだ「残虐記」ほどの複雑さではないにしろ、小説内小説、小説内手記という形式で物語を成立させていく構成力には感心させられるし、実在の人物をこれだけ登場させて戦争の時代の息苦しさを生々しく表現する説得力は、巻末の参考文献リストのボリュームから見てとれる綿密な取材の成果に違いないと思います。
特に南方で主人公に従卒として付きまとう「野口」という軍人の不気味さ、厭らしさの描写は、女流作家(林芙美子に憑依した桐野夏生)の本領といったところでしょう。
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