合理的なのに愚かな戦略 | |
ルディー和子 | |
日本実業出版社 |
顧客志向、ブランディング、プライシング、など、マーケティングの教科書に載っているようなセオリーを、表面的に鵜呑みにせず本質を考えてみよう、というのが趣旨。
あまり論理的に説明するテイストではなく、著者独自の考え方というよりドラッカーやポーターなど著名な経営学者の教えを引用し組み合わせながら辛口に日本企業の経営戦略を切り刻んでいく、どちらかというとエッセイに近いような印象である。
いろいろと面白いことが書いてあるのだが、日本企業・日本人のコミュニケーションの下手さ、というかコミュニケーションをサボる悪癖を指摘したあたりは的を射ていると感じた。
自社が提供する製品・サービスの価値を伝えることができない、或いは伝えることをサボっているがため、安易に低価格化で競争に勝とうとする企業。
自社のブランド価値を直接消費者に訴えることができない、或いは訴えることをサボっているがため、大量のTVCM投入や系列小売店・代理店向けの営業に注力してしまう企業。
なんだか耳が痛い。
しがらみ=インセンティブ構造(どのようにすれば他人が思うように動いてくれるかが解るからこそ、自分も他人の期待に合わせた言動をとってしまう)という捉え方も興味深い(これも著者オリジナルのアイデアではなく紹介だけど)。