体制維新――大阪都 (文春新書) | |
橋下 徹・堺屋 太一 | |
文藝春秋 |
正直、東京に住んでいると、大阪都構想が実現すると何がよくなるのかピンとこなかったんですけど、これを読んで非常によく理解できた。
主張されていることはごくごくシンプルなんですよね。
中央が号令かけて地方を画一的に統制し、恣意的に分配するやり方はもう時代に合わない。
地域地域で、最適な形を自ら選択できるようにすることで活力を生む。
シンプルかつ真っ当な考え方です。
それと、政治と行政の役割分担について。
政治家はビジョンと方針を示し、行政は実務が回るよう細部を組み上げる。
お互いが衝突する際は、とことん議論を尽くす。
これもまたシンプルかつ真っ当。
そして、組織マネジメントの大切さ。
政治家は政策を示すことより、体制・組織をデザインすることに注力すべし。という慧眼。
なんだか拍子抜けするくらいシンプルで真っ当です。
過激なところなんて全くありません。
「ハシズム」だ「独裁」だ、と批判している人はこれを読んだのでしょうか。
とはいえ、職員基本条例や教育基本条例がシンボリックに取り上げられるのは、橋下氏から「仕掛けている」面もあるように感じます。
その点は”小泉流”な「わかりやすい敵を作る」手法の踏襲に思え、ポピュリスティックに感じられるのも事実ですが。
主張がシンプルな分、同じ内容が繰り返されて、読み物としてはやや冗長。
それと、「第三の敗戦」「下り坂」など堺屋氏の時代認識は的を外しているような気が。