そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

5周年

2010-05-16 19:28:51 | Weblog
本日、このブログは開設5周年を迎えました。

細々とではありながらも、ここまで続くとは自分でも吃驚であります。
ブログを始めた頃はまだ生まれていなかったコドモも今や4歳と2歳。
最近はすっかり独り言化していますが、記事数もいつの間にか1000を超え、数が多くなれば検索に引っかかる機会も増えるということか、アクセス数も少しずつ増加傾向にはあります。

最初のころは日記的なことも結構書いてた気がしますが、最近は個人的な日常に係るエントリはすっかり減り、心に留まった新聞やネット記事の備忘メモ(および簡単なツッコミ)と読書録が中心になっています。
こんなブログを公開していることに果たして意味があるのかというのは常に思い悩むところではありますが、「この考え方には価値がある」「もっと多くの人に知ってもらいたい」と感じたものを世に広めるためのお手伝いを、微力ながらすることに多少の意義があるのではないかと思いながら更新を継続している、といった次第です。
140文字制限のないリツイート・ブログとして、今後も続けていこうかと。

開設以来、ブログの副題を「ミもフタもない日常の記録と世間話」としていましたが、「ミもフタもない世間話とメモランダム」に変更することでささやかなリニューアルといたします。
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「先読み!景気循環入門」 嶋中雄二

2010-05-11 22:20:14 | Books
景気循環というと、個人的にはややマユツバものというイメージがありました。
確かに景気は上がったり下がったりする事実は分かるけど、それが物理現象のような正確な規則性をもって美しい波を描くとは俄かに信じ難く、経済って不確定要素に影響されたり、構造的な要因で前提条件が変われば景気の波の周期や幅も変わると考える方が自然なんじゃないかと。

この本を読んでそのイメージは少し改まりました。

景気循環といっても「いざなぎ景気」みたいな比較的短期の波を指すだけではなく、周期が長いものから短いものまで複数の循環サイクルを考慮する必要がある。
 コンドラチェフ・サイクル:50~60年周期の長期波動(社会資本投資サイクル)
 クズネッツ・サイクル:20年周期の長期循環(建設投資サイクル)
 ジュグラー・サイクル:10年周囲の中期循環(設備投資サイクル)
 キッチン・サイクル:3~4年周期の短期循環(在庫投資サイクル)

これらの長短のサイクルを組み合わせて考えると、歴史上様々な現象を説明することができる。
また、狭義の経済現象だけでなく、たとえばコンドラチェフ・サイクルの長期波動を2回分まとまた百年サイクルで、国際政治の覇権サイクル(ポルトガルの時代→オランダの時代→英国の時代×2→米国の時代)が説明できたりもする。

何が循環をもたらしているか、についても多くの説が紹介されています。
在庫や設備投資のサイクルや過剰投資説・過少消費説などの経済学的な説以外にも、太陽黒点説やエルニーニョなどの自然現象に基づくとする説、技術革新や景気心理によるとする説など多様なものがあります。
おそらくすべての説にそれぞれ正当性があり、またどの説によっても単独では循環を説明することができないというのが正しいのでしょう。
多数の複合要因に基づき結果として規則正しいサイクルが現れるのだとしたら、確かに物理現象・自然現象に近いものがあるのかもしれません。
そして、それをすべて解析できたとしたら、未来が読めるようになるかも。
だけど正確に未来が読めるようになったら、それによって現在の経済行動が影響を受けたりして…と考えていくとゲーム理論っぽくなっちゃいますな。

本著は、自分が愛読している日経新聞朝刊の「経済教室」と同じ面にあるコラム「ゼミナール」に、昨年(2009年)はじめに連載されたものをまとめて本にしたものです。
あの面はホントに中身が濃いです。
というか日経も、あの面以外そんなに熟読する価値のあるところないかも…。

先読み! 景気循環入門
嶋中 雄二,三菱UFJ証券景気循環研究所
日本経済新聞出版社
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「チャイナ・アズ・ナンバーワン」 関 志雄

2010-05-06 23:53:18 | Books
GDP規模で日本を逆転し「世界第二の経済大国」たる中国経済。
が、一方で、一人あたりGDPでは日本の十分の一に過ぎず、現在の中国経済の状況は1960年代高度成長期後半の日本経済の状況に対応している面が多いとも言える。
今のペースの経済成長を続け、近い将来米国を抜いてGDP規模世界最大となることが確実と予想される中国経済の現状を、様々な角度からデータを用いて分析した一冊。
著者は、先日日経新聞で日本の英語教育改革を唱えていたことをこのブログで紹介しました。

中国は、後発性のメリットを生かすことによって超長期にわたる経済成長の継続を実現してきた。
その最大の要因は、農村における余剰労働力の存在であり、これを工業部門に移転させることにより、賃金を低水準に維持することによる比較優位を保ちながら低コストによる輸出主導型成長が可能となってきた。
ところがここにきて完全雇用が達成され、労働力余剰は労働力不足に転換する(ルイス転換点の到来)気配を見せ始めている。
…というのが本著の一番のキーポイントかと。

ポスト・ルイス転換点においては、旧来型の労働集約型産業だけでは経済成長を維持することはできず、生産性を高めるとともにサービス産業化やハイテク化、省エネ化を進めることが必須となる。
その過程で、政治や制度の民主化も進めざるを得なくなるだろうし、民主化が進めば平和的な中台統一が実現されることも夢ではない…といささか楽観的に思える将来像が語られています。

その他、印象に残った個所を以下メモ。

・貿易大国としての中国の台頭は、日本をはじめ、経済・産業面で中国と補完関係にある先進諸国にとっては脅威よりもメリットをもたらす。一方でASEANなどの新興工業国は、中国と競合関係にあるので厳しい競争を強いられることとなっている。また、同じ新興国でも一次産品の輸出が中心のインドは、中国とは補完関係にあるためお互いに脅威にはならない。

・どの国においても「自由な資本移動」「独立した金融政策」「固定相場制」という3つの目標を同時にたっせいすることができない、という「国際金融のトリレンマ説」が成立する。中国は、これまで固定相場制を維持しながら、資本移動を制限することで独立した金融政策を維持しようとしてきた。ちなにみ、EUは独立した金融政策を犠牲にして他の2目標を実現しており、日本などは固定相場制を放棄した他2目標を実現している。

・中国の改革開放の成功体験から、現在の日本が学ぶべきことは、改革を成功させるためには旧体制を破壊するよりも新体制を育成することの方が戦略的に有効だということだ。

チャイナ・アズ・ナンバーワン
関 志雄
東洋経済新報社
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徳之島のジレンマ

2010-05-02 15:02:58 | Politcs
徳之島3町長の首相面会は7日 普天間問題、官邸で(共同通信) - goo ニュース

今日の「サンデーフロントライン」で徳之島移転案の特集をやっていました。

先日、鳩山首相が徳之島最大の有力者・徳田虎雄氏を訪問したというニュースがありましたが、徳田氏は首相に対して、島の民意は「反対」で統一されており移転は無理、と伝えたとのことです。
一方で、徳之島にも移転推進派がおり、そのリーダーはかつての徳田氏の右腕で、現在も徳田氏が創立し現在も理事長の座にある医療法人・徳洲会の幹部である人物だとか。
そもそもこの人物が徳之島移転案の発案者であり、その案が民主党議員を通じて鳩山首相の耳に入ったのが発端となったということのようです。

ねじれてるなぁ、と感じます。
基地ができるのは嫌だけど、島の苦しい経済状況を考えると基地受け入れの経済効果という誘惑も見過ごすことはできない、という苦しさ。
基地に頼った経済振興が不健全なのは間違いないと思うけど、仮に島の人たちがそれを望むならばその選択肢もあっていいのかもしれない。
ただし、絶対に必要なのは、関係者が腹を割っての徹底した議論と、意思決定過程の透明化。
それがなければ後世に禍根を残すことになるのは目に見えてる。
「5月末」なんて話ではない。

ところで、徳田虎雄氏は難病に冒され政界を引退しているとのことですが、今回の特集では声を出すこともできず文字パネルを視線で指示して会話する現在の姿も露わになっていました。
島の人たちのインタビューもちょっと紹介されてましたが、徳之島ではいまだに神様のような存在のようです。
当人たちにとってはそれが当たり前なんだろうけど、そういうクローズドな社会じゃ自分は絶対暮らせないなあ。
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