新幹線を利用した「上京型オレオレ詐欺」の被害が増加している中、今度は出張先と偽って地方に呼び出す新たな手口の「出張型詐欺」被害が増加しているようです。
この詐欺はオレオレ詐欺の一つで、被害者を東京や広島等の土地勘のない所へ連れ出すと云う新たな手口です。
先日、広島まで連れ出されて500万円の被害に遭った70代の女性のケースを某局が特集していたのでご紹介します。
冒頭のインタビューに応じたこの女性は、「自分が騙されるなんて絶対にないと思っていた」と言っていましたが、騙されたその事例は次のようでした。
「事例」
今年5月、息子を名乗る男から突然電話がかかって来ました。
電話では、息子と名乗る男は凄く痛そうな咳をしていて、「○○だけど」と息子の名前を言って、「会社の金で株を買ってしまった。ばれたら首になるので500万円貸して欲しい」と頼まれ、タンス預金から500万円貸すことを決めたそうです。
当初、自宅近くの駅で待ち合わせていましたが、駅につくと姫路駅まで移動するよう指示されました。
姫路駅について15分して再び電話があり、今度は新幹線に乗って自分の出張先の広島まで来て欲しいと云う、思いもよらぬ指示でした。
女性が語る電話のやり取りは次のようでした。
男:「広島まで来てくれんか?」 これに対し、
女性:「何を言ってるの、乗り方も知らないし、新幹線のお金もない」 と言うと、
男:「頼むわ―。姫路の駅で降りる、と上司に言ったら、お前は何を考えとるのや。今から会議が広島で始まるのに、頼むわ―」 って言うんです。
女性:「そんなの行かれへ~ん」 と言ったそうです。
女性は一人で広島へ行ったことはありませんでしたけれど、息子が困っていると思い、広島へ向かいました。
女性は土地勘のない場所で、ホームに降り立った時、不安を感じたと言います。
女性:「広島に着いたよー」と電話した。右も左も降りた瞬間から何処を見ても分かりません。
「分からへんのにどうしてこんなところに来させるのか。」「帰りの電車賃もあらへんのやでー」と言ったら、
男:「分かっている」と言っていました。
広島についた後も男から次々に指示されたそうです。
男:「タクシーに乗ってビルに来て欲しい」「バス停を探して」
女性は500万円を抱えたまま、言われるがままに行動するしかありませんでした。
漸く現金の受け渡し場所に到着しましたが、現れたのは息子の知人を名乗る男でした。
女性は息子が来なかったことに違和感を感じましたが、早く広島から離れたいと云う思いから、500万円を渡してしまいました。
女性:「冷静ではなかったです」「とにかく着いて、とにかく順番を追って、着いてと言う感じです」「こんなところに何時間もいられない」「とにかく早くあの人に渡して、早く帰る
ことばかり考えて、私自信がそこまで行ったのが不思議でなりませんでした」と話していました。
兵庫県内でこのような出張型詐欺は昨年は1件だけだったものが、今年は既に14件発生しており、警察では詐欺グル―プの新たな手口と見て警戒を強めているそうです。
「警察からの呼びかけ」
警察では、「すぐにお金が必要だ」「捕まってしまう」「会社を首になる」等の言葉で被害者を焦らせ、遠方の知らない場所に誘導することで、判断力を低下させ、誰にも相談しづらい環境を作ってしまうので被害に遭ってしまいます。
電話でお金の話が出れば一人だけで判断しないで、家族、知人、警察などに必ず相談することを心掛けてほしいと呼びかけています。
「犯人がよく使うキーワード」
・誰にも言わないで
・風邪をひいた
・電話番号が変わった
・名義を貸してほしい
・このままでは逮捕されてしまう
更に、
・還付金がある
・ATMに行って
・レターパック・宅配便・、ユーパックで現金を送って欲しい
・必ずもうかる
・ロト6の当選番号を教える
「注意」
このようなキーワードた出たら、まずは詐欺ではないかと疑ってください。
そしてそれを防ぐためにも次のことをお願いします。
・知らない番号や非通知の電話には出ない。
・留守番電話に設定し、内容が確認できるまで電話に応答しない。
・一人で判断せず、家族や知人、警察に必ず相談してください。