白波五人男の一人、弁天小僧菊之助の台詞に、
「知らざあ言って聞かせやしょう、浜の真砂と五右衛門が歌に残せし盗人の種は尽きねえ七里ヶ浜、・・・」とあるように、世の中に盗人の種は尽きず、強盗や窃盗等の犯罪は相変わらず多いようです。
しかし、近年はそれにも増して多いのがオレオレ詐欺で、先日「出張型詐欺」についてご紹介したところですが、今度は移動販売における物干しざおの購入トラブルという新しい手口の被害が多発しているようです。
報道によれば、「2本で1000円」という呼びかけを信じて注文すると、実際には1本数万円もの高額な支払いを求められるケースが相次いでおり、国民生活センターが注意を呼び掛けています。
同センターでは、物干しざおの移動販売に関する苦情相談が、2014年度は全国で465件発生しており、2008年度の62件から7.5倍に増えているそうです。
相談者の約半数は70歳代以上で、実際に払った金額の平均は4万6715円だそうです。
ある相談事例によると、
埼玉県に住む70代の女性は、5月、「2本で1000円」と言う移動販売車の放送を聞いて3本注文したところ、計12万円を請求されました。
持ち合わせがないため断ったところ、業者に「コンビニのATMで下ろせばいい」などと言われ、ATMまで連れて行かれて全額を払ったそうです。
この他にも、購入を決める前に業者が勝手に新しい竿を切るなどの長さ調整を始めて、「切ったものは返品できない」などと言ったり、勝手に物干し場を点検して土台や支柱の交換までして高額な請求をしたりすると云った手口も目立つようです。
中には90万円もの契約を結ばされた女性もいたということです。
物干し竿の移動販売を巡っては、契約書面が渡されず、業者の名称や所在地も分からないことが多いことから、返金などの解決は難しいのが実情です。
同センターでは、「納得できない価格を提示された場合は、絶対に支払いに応じないで欲しいとして、注意を呼びかけています。
「相談事例から見られる問題点」
1.2本で1000円等と安価な価格で呼びかけながら、正確な販売価格を伝えずに、高額な代金を請求する。
2.契約書面等を交付せず、クーリング・オフの説明もしない。
3.竿を切ったり、消費者を威迫したりして支払わざるを得ないようにする。自宅に現金がなければ金融機関に連れて行くケースもある。
4.業者の所在地が分からないため、業者と交渉することができないケースがほとんどである。
「消費者へのアドバイス」
1.販売価格をはっきり確認し、納得できない場合は、お金を支払わないようにしましょう。
物干しざおを購入する前に、「1 本○○円ですね」、「○○円以上の支払いはありませんよね」と販売価格を確認しましょう。
業者が販売価格を明確に伝えないなどの問題行為がある場合や、勧誘された物干しざおが予想外に高額だった場合には、絶対にその場で契約をせず、お金を支払
わないようにしましょう。
2.断ることが難しい場合には、周囲の人や110番に電話をして助けを求めましょう。
契約をしないと告げているのに業者が契約を求めたり、お金を払えと業者に凄まれて恐怖を感じたりした場合には、近所や警察に助けを求めましょう。
お金が払えないと言っている消費者に対し、業者がお金をおろすように強く言い、車で金融機関に連れて行くケースもありますが、このような業者は悪質であると疑い、
絶対に業者の車に乗らないでください。
車に乗せられてしまった場合には、連れて行かれた金融機関の窓口の人に事情を話して助けを求めましょう。
また、車のナンバーを記録しておき、警察に相談した際に伝えましょう。
3.クーリング・オフできる場合もあります。消費生活センターに相談しましょう。
業者が解約に応じないなどトラブルになったときには、クーリング・オフできる場合もありますので、最寄りの消費生活センターにご相談ください。