文化庁が行っている国語に関する世論調査からご紹介します。
平成20年の調査の中で、次のような例文をあげて「時を分かたず」の意味を聞いたところ下記のような結果だったそうです。
例文:「事件の後には,時を分かたず,厳重な警備が行われた」
この例文の「時を分かたず」の本来の意味はどれだと思いますか?
(ア)すぐに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66.8%
(イ)いつも ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14.1%
(ア)と(イ)の両方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.7%
(ア),(イ)とは全く別の意味 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.7%
分からない ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14.7%
「時を分かたず」の本来の意味は(イ)の「いつも」ですが、この世論調査では、7割近くの人が「すぐに」という誤った意味で理解しており、正しい意味である「いつも」と回答した人は僅か1割強でした。
「分かたず」を広辞苑で調べると、「分かず」に同じとし、「分かず」は、区別をせず。区別なく。「昼夜をー」と説明しています。
「時を分かたず」を、“時を分けることなく”と考えると、時と時の間に空白がないイメージになってしまいますが、「分かたず」は「区別がない」という意味であることを理解しておけば、誤った使い方をしないようになるということです。
「時を分かたず」は日常ではあまり使うことのない表現だと思いますが、本来の意味は、時を区別しないということで「いつも」と言うことです。
誤用しないよう、気をつけたいですね。