代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

河川技術者を更生させる最後のチャンス? 学術会議の議論いよいよ大詰め

2011年05月01日 | 治水と緑のダム
 八ッ場ダム建設の根拠となっている利根川の洪水流量計算のウソが明らかになったことから、日本学術会議で計算モデルの再検討をしていることはかねてより本ブログでも紹介してきました。次回は5月11日の14時から開かれるそうです。いよいよ計算結果も出てくるのではないかと予想されます。皆様ご注目を。詳細は下記ページ。  http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/ . . . 本文を読む

【日本学術会議への提出資料】基本高水の再計算にあたっていくつかの要望事項

2011年04月08日 | 治水と緑のダム
 3月29日に行われた、日本学術会議の河川流出モデル・基本高水評価検討等分科会(第4回)の配布資料が下記サイトにアップされています。大熊孝先生(河川工学)、藤部文昭先生(気象学)の報告資料と共に私の資料もアップされていますので、興味のある方はご参照ください。 http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/doboku/takamizu/haifusiry . . . 本文を読む

公正な第三者機関への期待 ー日本学術会議の基本高水再検証をめぐって 

2011年03月30日 | 治水と緑のダム
独立した公正な第三者機関による検証が可能か否かが、全体主義か民主主義かを分かつ一つの試金石といえるでしょう。原子力安全委員会も、原子力安全・保安院も、全体主義に組み込まれた翼賛機構の一つにすぎなかったのです。  現在行われている、事業者である国交省から独立した第三者による基本高水検証の場は、少なくとも、私のような立場の人間すらも呼ばれたのですから、公正に検証しようとしている方向性はうかがえます。日本学術会議が、本来のチェック機能を果たせるかどうか、今後も見守っていきたいと思います。 . . . 本文を読む

国交省が握り潰した地質学者のパブコメより

2011年02月25日 | 治水と緑のダム
 前回の記事のコメント欄で、利根川上流の第四紀火山岩層を専門に研究する知人の地質学者から以下のコメントをいただきました。新しいエントリーとしてアップさせていただきます。国交省のやることの凄さ(いろいろな意味で)がよく分かります。  国交省のやることはまさに「兵は詭道なり」の孫子の兵法を地でいくものです。ウソによる攪乱、資料捏造、証拠書類の隠滅、謀略による大臣追い落とし・・・・まさにやりたい放題。 . . . 本文を読む

ウソの上にウソを積み重ねる国交省官僚たち

2011年02月23日 | 治水と緑のダム
 先週(2月15日)、河野太郎議員がブログに投稿された「くそったれ大臣」という記事が話題になっている。八ッ場ダム建設の根拠となる利根川の基本高水22000トン/秒に関して、河野議員が提出した「第四紀火山岩層の影響に関する質問主意書」に対して、国土交通省は「調査に時間を要するため、お答えするのは困難である」という実質ゼロ回答をしてきたという内容だ。  政治主導を掲げる政権の大臣だったら当然、「では . . . 本文を読む

馬淵国交大臣を変えてはならない

2011年01月08日 | 治水と緑のダム
 菅首相が、馬淵国交大臣の交代の調整に入った。この間の私のブログを読んでいる方はわかって下さっていると思いますが、ダム問題に関して馬淵大臣のやっていることは基本的に正しいのです。(スピードが遅く、措置が不徹底な部分はありますが・・・)。  ゆえに、河川官僚(とくに関東地方整備局)にとっては、ただちに変わって欲しい大臣だったのです。今頃、河川官僚たちは馬淵さんを追い出せて「してやったり」とほくそえ . . . 本文を読む

八ッ場ダムから八ッ場コモンズへ

2010年12月17日 | 治水と緑のダム
 八ッ場ダム計画に関して、展望のない「ダム観光」プランに代わる魅力的な観光開発プランが必要である。私は以前から、この地に「戦国村」を整備し、ロケ地としても活用する「時代劇版のハリウッド」にすべきと提起してきた。いま一度、そのプランを再論したい。  ダム計画によって既に300ha以上の広大な面積の「国有地」が出現している。この国有地は、ダムができれば湖底に沈む。しかしダムができなければ、「国有=み . . . 本文を読む

国交省、他の河川もウソだらけ

2010年11月24日 | 治水と緑のダム
 目下、国交省は、利根川以外の基本高水を見直すことに必死に抵抗している。政権のスローガンよろしく、河川局という組織にとっての「最小不幸化」を目指しているのだろう。しかし河川官僚にとっての「最小不幸」は、国民にとって「最大不幸」となる。  他の河川も、利根川と同じように森林保水力は軽視され、不当なパラメータで計算されている。ダムの「費用対効果」云々の再検証に入る前に、全ての河川で基本高水の虚偽を洗 . . . 本文を読む

国交省への要望 -基本高水の再検証に必要なこと

2010年11月13日 | 治水と緑のダム
 情報が非公開だと「どうせごまかしてもバレないだろう」という甘えが発生する。国交省が「22000先にありき」で、その数値を維持するため、飽和雨量の値をごまかしてきたのは、情報を隠すことに慣れっこになって甘えが生じていた結果であろう。  今回の「基本高水事件」を契機に、多くの人々が再認識したことは、「情報公開がいかに大事か」ということであった。実際、飽和雨量のパラメータ問題が浮上したのは、八ツ場ダム住民訴訟の原告側が粘り強く情報公開を求めてきた結果であり、それがなければ飽和雨量が48mmで過少であることも誰も知らなかった。さらに、その飽和雨量の値が過少と報道したのは東京新聞であったが、東京新聞が報道しなければ、裁判に関係のない一般の人々は、そうした事実関係がある事も知る由もなかったのだ。  今回の事件は図らずも、情報公開法を改正の動きに弾みをつける結果になったといえる。行政は、国民の税金を使わせていただく以上、その財政支出の根拠になったすべての情報を公開せねばならない。市民の検証にさらすことをおろそかにすれば、いかなる財政支出も納税者の同意を得ることは、今後ますます難しいであろうことを認識せねばならない。 . . . 本文を読む

国交省による貯留関数法を用いた洪水流量過大計算のテクニック

2010年10月31日 | 治水と緑のダム
 以下の三点を論じたいと思います。第一に河川工学における「飽和雨量」の定義のおかしさ。第二に貯留関数法という流出解析モデルがいかに自然の現実から乖離しているか。第三になぜ貯留関数法で洪水流量の計算値を過大に算出することが可能になるのか。  「何やら難しそうだ」と思って敬遠しないで下さい。貯留関数法というモデルの欠陥を恣意的に利用することにより、国交省は国民を騙し、八ツ場ダム建設を決めました。総額4600億円の事業です。全く必要のない事業のために、赤ん坊からお年寄りまで、国民一人当たり4600円の支出を強いたのです。国交省は、審議会で偽証をし、疑問を呈した委員を騙し、4600億円もの血税を詐取したのです。国民一人一人が、こうしたトリックに騙されぬよう十分な懐疑精神を持たねばなりません。でなければ、彼らはそれに付け込んで、さらに私たちを騙そうとするでしょう。 . . . 本文を読む

「引き伸ばしの誤謬」の解説

2010年10月12日 | 治水と緑のダム
<前回の記事の続きです>  10月12日の馬淵大臣の国会答弁で得られた数値の重要性はもう一点あります。  S33年とS34年では森林保水力はほぼ変わらないにも関わらず、33年が飽和雨量31.77で34年が65と2倍にもなっていることです。これはすごく重要な問題です。  以前の記事(この記事)で、私は、「国交省の誤謬は二つある」と論じました。一つは、これまで論じてきたように森林の生長による保水力の . . . 本文を読む

【速報】国交省が飽和雨量48㎜の虚構をついに認める

2010年10月12日 | 治水と緑のダム
 私どもの計算結果は「森林が荒れていた時期は飽和雨量は48㎜でも、森林が生長した今日では100㎜以上にしないと当てはまらない」というものでした。国交省は、「48㎜で計算して22000立米。これは近年の森林状況でも妥当である」と主張してきました。  本日の衆議院予算委員会で国交省は、戦後から時間が経つ後年ほど、飽和雨量が増大している事実を認めました。同省はいまだ、飽和雨量の増大が森林の生長によるものだという因果関係までは認めていませんが、ここまでくればそれを認めざるを得なくなるでしょう。  半ばまで、私どもの主張の正さを認めてしまったことになります。こうなれば「48mmモデルで計算して22000立米」という主張も続けられなくなります。少なくとも飽和雨量は125㎜以上で再計算して、基本高水を改訂せねばならないことになるからです . . . 本文を読む

官僚に取り込まれた民主党政権を自民党の河野議員が痛烈に批判

2010年10月03日 | 治水と緑のダム
 前回の記事で、八ツ場ダム建設の根拠となる基本高水計算に関して、前原誠司前国交大臣が「開示すべき」と語ったデータを、官僚が反対して非公開のまま開き直っているという事実を書きました。    10月2日の「東京新聞」の特報面によれば、馬淵澄夫国交省は、前原発言を撤回し、一転して「情報非公開」を決めたとのことです。  東京新聞は、前原発言と馬淵発言を次のように比較しています。 ***「東京新聞」10 . . . 本文を読む

国交省による捏造事件: 解説の解説

2010年10月01日 | 治水と緑のダム
 5回に渡って、国交省が、治水面の八ツ場ダム建設の根拠である利根川の基本高水を過大な値にするため、資料を捏造していたという問題の解説記事を書きました。私の周囲からは、「まだ難しい。分かりにくい」といった指摘を受けました。そこで「解説の解説」を書きます。  まさの様、Kimera様、松田様、ブログなどで紹介して下さってありがとうございました。松田さんが紹介しておられた十勝川の基本高水は、利根川に輪 . . . 本文を読む

八ツ場ダム建設: 国交省による審議会資料捏造事件 最終回

2010年09月19日 | 治水と緑のダム
 最後に、捏造した当事者の方々にお願いがあります。勇気をもって、内部告発して下さい。国交省は、トカゲの尻尾切りのごとく、あなた方のみに罪をかぶせ、組織的打撃を最小限にしようとする可能性が大です。  この捏造事件は、「八ツ場建設を推進するため、22,000モデルに正当性を与える資料を作成せよ」とする河川局全体の圧力の中で発生したに違いありません。これは河川局の組織的体質の問題です。組織として責任を取るべきであって、あなた方のみが罪をかぶる必要はないのです。  トカゲの尻尾切りで事件を終わらせてはいけません。勇気をもって、河川局の組織の問題として、内部からこれを告発すべきなのです。 . . . 本文を読む