代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

大河ドラマ「真田丸」と天正壬午の乱

2015年08月12日 | 真田戦記 その深層
平山優著『天正壬午の乱(増補改訂版)』(戎光祥出版、2015年)を読んでみた。これは名著である。膨大な史料を渉猟し、これまでその詳細が明らかでなかった「天正壬午の乱」の全容をはじめて描き出した。その躍動的な筆致は、専門的な歴史書であるにもかからわず、下手な小説よりもはるかに面白い。この平山氏が時代考証を担当するということは大河ドラマもすごく期待できる。 旧武田遺領をめぐって北条・徳川・上杉の三戦国大名と真田昌幸・依田信蕃・小笠原貞慶・保科正直・木曽義昌などなど信濃の国衆が虚虚実実の駆け引きを繰り広上杉・徳川・北条の複雑な三カ国抗争という点では、天正壬午の乱は中国の三国志にも比肩されるが、真田・依田・小笠原・保科以下、信濃の国衆が三大国を翻弄し、国衆が各々勢力を維持・拡大している点など、三国志よりも面白い歴史ドラマとすらいえる。アメリカ、中国、ロシアという大国のはざまにいる日本が進むべき途を考える上でも、天正壬午の乱における信濃国衆の戦略を学ぶ意義は大きい。 . . . 本文を読む