代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

普天間移設のことなど

2009年12月14日 | 脱米
 普天間問題について一言。昨日12月13日放映のサンデープロジェクトで、自民党の町村信孝議員が以下のように述べているを耳にしました。私は、田原総一朗氏の顔を見るのがイヤという理由で、すっかりサンプロを見なくなっていたのですが、たまたまテレビをつけた目に入ってしまったのです。

 町村氏が日本に米軍基地の存続が必要な理由として述べていたのは、「冷戦構造が残っているのは東アジアだけ」だからなのだそうです。そう言いながら別の場面では「(日本が強硬な姿勢を貫けば)米国政府内の知日派の影響力はさらに弱くなり、中国重視派の勢力が強くなって、米国は日本よりも中国に接近するようになる」という趣旨のこともおっしゃっておられました。
 「(米中対立の)冷戦構造の残存」という不幸な事態があるが故に、米軍基地の存続はやむなしとしながら、「米中接近」を、さも困ったことのように嫌がるというのは一体どういうロジックなのでしょうか? 米中が仲良く手を取れば在日米軍の存在意義なんてないのですから、「良かった、やぱり辺野古基地はいらないじゃない。メデタシ、メデタシ」で終わりです。日本としては、米中接近をどんどん後押しして東アジアを平和にし、晴れて米軍基地にも出て行ってもらいましょう。それで何の不都合があるのでしょう?

 「北朝鮮があるではないか」と言われるかも知れません。北朝鮮問題は、国家犯罪を行う独裁国家をどうするのかという問題であって、「冷戦」とは次元の異なる問題でしょう。しかし、北朝鮮が怖いから米軍にいてもらわなければ不安で夜も眠れないという方々もおられるようです。では、そうした方々の心配に配慮しまして、私もしばらくは米軍にいてもらうことに同意いたしましょう。でも、北朝鮮問題が片付いたら晴れて在日米軍には全て出て行ってもらうということでよろしいでしょうか?

 町村氏の言うところのアメリカの「知日派」というのは、「恫喝という外交戦術が日本に有効である」というテーゼを共有している人々のことです。「恫喝したら黙る」という日本の姿(=自民党の姿)をよく知るという意味での「知日派」なのです。「知自民派」と呼ぶべきかも知れません。
 そのテーゼが崩れ、恫喝という外交戦術がもはや通用しなくなったと米国に知れ渡れば、「知日派」なるものの影響力は弱まるのです。これは大いに結構なことです。米国も、日本を大人として扱うようになり、もう少しリベラルな思考の人々を外交の矢面に立ててくるでしょう。

 辺野古案を拒絶しても、日米関係が崩れるなんてことはありません。フィリピンは、1991年議会の議決で全米軍基地を撤去させましたが、その後も米国との友好関係を維持しております。アメリカの恫喝に屈せず、民意にのっとって基地を撤去させたフィリピンの姿を、リベラルな米国人はむしろ尊敬の念をもって評価しております。
 1991年、フィリピンと米国が結んでいた米軍基地貸与条約の期限が切れることになっていました。当時のアキノ政権は、米国の恫喝に屈して、米国とのあいだに新基地条約を締結して基地を存続させようとしていました。しかし、基地のない真の独立を求めるフィリピン国民世論は高まり、その声におされてフィリピン上院は「新しい基地条約」の批准を否決してしまうのです。恫喝に屈した政府の従米政策を、民意を受けた議会が押しとどめたという点で、輝かしい民主主義と法治主義の勝利でした。民主主義と法の支配を何よりも大事な価値観として信奉するリベラルな米国人たちが、フィリピン人のこの快挙を評価しこそすれ、それに文句をつけてフィリピンを嫌いになるなどということはあり得ないのです。
 それに対して、日本がここで恫喝に屈すれば、米国人はますます日本を舐めてかかるようになり、リベラル派ではなく恫喝派が攻勢を強め、さらに将来にわたって無理難題を強制してくるのです。私達が尊敬し手を握るべきリベラルな米国人たちも、日本人をバカにして嫌いになってしまうでしょう。ここが踏ん張りどころです。ここで恫喝に屈しては、せっかくの政権交代も元の木阿弥です。

 当初はブッシュに従ってイラク侵略に加担したスペインは、政権交代によって途中でイラクから撤退しました。あれで確かにスペインとブッシュ政権の関係は悪化しましたが、米国は民主的な手続きにのっとって行われた政策変更に文句をつけることはできないのです。また、イラクからの撤退はスペインに不幸をもたらしたでしょうか?
 石油漬けのブッシュ政権からの決別を誓ったサパテロ首相は、イラクの油田利権のオコボレももらえなくなるため、エネルギー安全保障政策もかねて風力発電や太陽熱発電など自然エネルギーの導入策を矢継早に打ち出し、スペインを急速に自然エネルギー大国に変貌させました。そして経済成長率も、ブッシュに追従した前政権よりはるかに高い数値を達成しました。脱米路線は、内需重視の発展を可能にし、新自由主義政策からの決別と社民政策の採用も可能にし、国民に経済成長と社会的安定をもたらしたのです。ブッシュに追従した小泉政権下における格差拡大とは決定的な違いでした。。そしてオバマ政権になって、スペインと米国との関係も以前のように元通りです。


 私は、何故グアム移転ではいけないのか、未だに納得のできる説明を聞いたことがありません。日本政府はグアム移転で押し通すべきかと存じます。米軍がグアムでは困る理由をいくら並べ立てても、「それなら技術的に解決できるでしょう。こちらも協力しますから」と説得していけばよいのです。

 だいたい政権交代があっても、前政権が交わした国と国との約束は必ず守らねばならないというのなら、民主主義を否定することになります。オバマ大統領は、ブッシュ政権時代にポーランドなどと交わしたミサイル防衛システムの配備も見直そうとしていますが、それもいけないことになります。オバマ政権が北米自由貿易協定や韓米自由貿易協定なども見直そうとしていることもすべていけないことになります。日本政府は、そうしたことを述べながら反論していくべきなのです。
 
 オバマ本人、先月の訪日前にNHKのインタビューに答えて、普天間問題に関して「政権が代わったのだから、新政権が従来の政策を再検討するのは当然だ」と述べておりました。もっとも、その後で、「しかし再検討した後に、やはり(辺野古の)現行案がもっともよいと判断するものと確信する」とも述べていましたが・・・・。話の前後の矛盾ぶりには呆れかえります。

 お人好しで八方美人のオバマは、対立する双方に良い顔をしようとするので、時としてとてつもなく一貫性のない政策を打ち出すことになります。最近のアフガン増派もそうでしょう。増派派と撤退派の双方に良い顔をしようとして、いったんは増派するが1年半後には撤退を開始するという、両者の意見を折衷したような計画になります。そんな一貫性のない政策がうまくいくはずがないのです。

 医療保険改革も、市場原理主義派と公的医療保険支持派の双方に良い顔をしようとするので、折衷案は、ますます分かりにくく、複雑怪奇な制度になりつつあります。これがうまく行くとはあまり思えないのです。
 オバマは毅然として「ビンボー人の味方になる」と宣言すべきでしょう。人殺しのアフガン増派のために金を使うのは良いけど、国内の貧困層を救うための公的医療保険の導入に金を使うのはイヤだというような、頭のおかしな金持ち保守派との対決姿勢を明確にし、アフガンから一刻も早く撤退し、その予算で公的医療保険を導入すべきでしょう。

 弱者の側に立つという毅然とした態度をオバマが鮮明にするならば、「これ以上沖縄県民を苦しませることはできない」という立場に同調するはずなのです。
  

 不思議なのは、普天間移設問題に関する世論調査をマスコミが実施しないことです。沖縄県民への世論調査はなされています。『沖縄タイムス』の12月14日の世論調査によれば、県民の63%が「県外あるいは国外に移設を望む」とのことです(この記事)。ところが私の知る限りにおいては、本土での世論調査がないようです。何故でしょう? 「アメリカをこれ以上怒らせてはいけない。現行案で受け入れる以外に選択の余地はない」「沖縄県民の安寧よりも日米安保の方が大事だ」というプロパガンダで国民を洗脳しようとするマスコミにとって、世論調査で不都合なデータが出るのは怖いから、実施しないのでしょうか? 

 ちなみに先月の日米首脳会談の際、私の勤務先の大学の授業の中で首脳会談の内容を扱い、ついでに普天間問題についてアンケートを実施してみました。出席者30人に「辺野古、嘉手納統合、県外、国外」の選択肢の中からどれが良いか選んでもらったところ、以下のような回答分布になりました。ちなみに辺野古の基地建設予定地はジュゴンが生息する貴重な生態系であるという事実関係は伝えた上で、アンケートを実施しました。

   辺野古の現行案       3人(10%)
   嘉手納基地への統合    5人(17%)
   県外移設           2人(7%) 
   国外移設           14人(47%)
   わからない・無回答     6人(20%)

 ちなみに回答者の中に沖縄県民はゼロで、中国人留学生が二人含まれています。
 アンタのような偏向教師に教わっているから学生も偏向したのじゃないのか、と言われてしまえばそれまでなので、あまり参考にはなりませんが。しかし、おそらく本土の一般社会人を対象に世論調査を実施してもこれと大きな差はないように思えます。
 
 もっとも日米首脳会談の後、マスコミによる「辺野古以外にはあり得ない」という恫喝的報道が強まったので、私の授業でも今アンケートを実施すれば辺野古の支持者が増えているかも知れません。護送船団の偏向報道に影響された国民の偏向は、偏向教師による学生の偏向の比ではないくらい効果が高いものと思われます。
  
 ちなみに1991年にフィリピン議会が米軍基地の全面撤去を決めた折、フィリピンの主要な全国紙はほぼ反基地の論調で一貫しておりました。それに比べて、今の日本のマスコミ論調の惨状といったらどうでしょう。「これじゃまるでCIAかペンタゴンの日本利益代表部機関紙じゃないか」と言われても仕方ないものです。   

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12 コメント

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無題 (kamo)
2009-12-16 21:07:44
ああ、やはり駄目ですね。と言うより、高い教育を受けて、社会的にも認められているあなたのような立場の方が、社会一般の問題についてこの程度の見識しか持ち合わせておられないことに大いなる不安を感じます。
 
>日本としては、米中接近をどんどん後押しして東アジアを平和にし、晴れて米軍基地にも出て行ってもらいましょう。それで何の不都合があるのでしょう?


 驚くべき事です。米中接近して東アジアが平和になるのでしょうか。私も中国には、数十回も行きました。忘れ得ぬ友人も多くいます。それでも、あなたほどお気楽に、米中接近を安閑として夢想する気持ちにはとてもなりません。中国は、もう一波乱もふた波乱もある国です。天安門事件以後何が変わっていますか?民衆の心と、政治の心が違う国なのです。
 そして、沖縄です。何故沖縄戦はあったのでしょうか。何故沖縄はアメリカに占領されて変換されることはなかったのでしょうか。何故、今も沖縄に基地が有るのでしょうか。敢えて申し上げますが、その何れもが、そこに沖縄があったからなのです。日米安保も、ここに日本国が有ったからなのです。

>町村氏の言うところのアメリカの「知日派」というのは、「恫喝という外交戦術が日本に有効である」というテーゼを共有している人々のことです。「恫喝したら黙る」という日本の姿(=自民党の姿)をよく知るという意味での「知日派」なのです。「知自民派」と呼ぶべきかも知れません。

 オヤオヤ、何とも卑屈な、と言うより典型的な自虐的な日本人像をお持ちなのですね。此の国が恫喝されているなどと考える政治家は、昔の日本社会党や、その時代の弱小野党を於いてありません。
 別けても、歴代の自民党の政治家は、巧みに、アメリカを利用してきたのです。吉田や、岸、佐藤等の保守本流の政治家達は、アメリカを巧みに利用することによって、此の国を世界中のどんな国よりも豊かで、平和で、安全な国にしてきたのです。卑屈な対米追従外交を臆面もなくしてきたのは寧ろ小泉に代表されるような近年の政治家達なのです。

>辺野古案を拒絶しても、日米関係が崩れるなんてことはありません。フィリピンは、1991年議会の議決で全米軍基地を撤去させましたが、その後も米国との友好関係を維持しております。アメリカの恫喝に屈せず、民意にのっとって基地を撤去させたフィリピンの姿を、リベラルな米国人はむしろ尊敬の念をもって評価しております。

 違います。辺野古を拒絶すれば、それは間違いなく日米関係の崩壊の始まりの一歩です。
 米軍が沖縄を失えば、日本と関わる理由がアメリカにはなくなります。日米安保条約とは、米軍の日本駐留を実現する方策です。日米安保無くせば、米軍は日本に駐留する如何なる根拠も失います。日米安保条約は、単に一方的にアメリカが、何の見返りも無しに日本を守るという片務条約ではありません。
 日米安保条約によって、アメリカは、極東戦略の最重点拠点である沖縄や、日本国内に幾つもの基地を置くことが出来ます。その結果として、日本は、米軍の庇護の下に不十分な軍事力で、或いは、国家の軍事的背景無しに、9条で規定するところの平和国家を維持してくることが出来たのです。そして、軍事費の負担無しで此の国の生産力を世界の何処よりも高めることに成功したのです。
 それこそが、日米安保体制を強かに利用して名を捨てて利を得た此の国の保守本流の政治家の真骨頂であったのです。余談ながら、その政治理念のレベルでは、核密約を詮索するなど稚戯にも等しい戯言なのです。
 沖縄が抜けてしまえば、アメリカの極東戦略は、スカスカのザルになってしまいます。さすれば、日米安保はその意義を失い、日米同盟も意味を失います。
 何故って、アメリカが一方的に日本を守らねばならぬ如何なる道義的論理的必然など元々存在しないからです。日本の生産力や、技術力など幾らでも代替えできます。或いは、それこそアメリカの都合の良いように此の国を利用するだけの関係になってしまうでしょう。フィリピンは、どのみちアメリカには意味のない存在だったのです。だから、撤退しました。それだけのことです。
 沖縄の皆さんの苦労を決して看過するのではありません。沖縄の置かれている厳しい状況を、国民が等しく理解し、その状況を埋め合わせる如何なる方法があるかの知恵を出し合って、その負担を弁済するならばそれもまた一つのあり方です。
 どうですか。ご自分の目で見て、ご自分の心で考えましょうよ。
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メディアに欲しい愛国心 (大和)
2009-12-16 22:56:47
学校現場から、文科省の愚民化政策を暴露したのが、「『おバカ教育』の構造」(阿吽正望 日新報道)ですよ。公僕である文科省官僚は、この知識時代に、子供達に愚民化教育を行い、学校を崩壊させ、20万人の不登校、退学者、60万人の引きこもり、ニートを作りだしたのです。多くの若者を失業者、生活困窮者にしたのは、本来優れた教育で職業獲得を支援すべき文科省です。これは、薬害エイズや薬害肝炎を起こした厚労省官僚の罪を越えます。子供達の人生を困難にし、日本社会の未来を潰した許されない悪行です。
悪徳官僚を退治し教育を変えなければ、多くの不幸が続きます。
民主党政権を支援し政治行政を変えなければならないときに、NHKや民法、報道機関の姿勢は、官僚の手先か、外国政府の工作員かのようです。メディアを操っているのは誰でしょうか。
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kamoさま ()
2009-12-16 23:30:55
>中国は、もう一波乱もふた波乱もある国です。

 いえ、アメリカの方が中国より大きな波乱に見舞われます。その理由は、中国政府が政策運営においてケインズ政策をベースにしているのに対し、アメリカの方はなかなか市場原理主義から抜け出せないからです。
 オバマに期待していましたが、アフガンに増派しているようじゃもう終わりでしょう。財政破綻とドル暴落、そして帝国崩壊はもはや秒読みです。
 そうであるならば日本も、自国の安全を自国で考えるように安全保障政策を大転換せねばならないでしょう。

 私はこのブログを始めた当初から、日本がまず心配すべきなのは、中国の崩壊ではなくアメリカ経済の崩壊なのだと訴え続けてきました。だから中国との連携を強化せねばならないのだと。
 そして、ドル大暴落にはまだ至らないものの、その予想は既に半分まで現実化しております。ドル暴落も時間の問題です。

>吉田や、岸、佐藤等の保守本流の政治家達は、アメリカを巧みに利用することによって、此の国を世界中のどんな国よりも豊かで、平和で、安全な国にしてきたのです。

 対米従属で幸せが確保できたのは、せいぜい鈴木内閣までです。中曽根政権以降、プラザ合意以降というもの、米国から日本への市場原理主義政策の押し付けによって、対米従属路線は日本を不幸にしかしていません。
 
 世代が違うので対米観も異なるのだと思います。アメリカの核の傘の下で日本が幸せだった時代も、確かに過去の一時期あったと思います。
 しかしレーガンの登場以降、米国が市場原理主義を世界に押し付けるようになってから、それは変わったのです。私たちの世代はアメリカの干渉によって日本経済が破壊される局面しか見ておりません。
   
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大和さま ()
2009-12-17 20:49:14
『「おバカ教育」の構造』紹介下さいましてありがとうございました。面白そうな本ですね。私もぜひ読んでみたいと思いました。

>学校を崩壊させ、20万人の不登校、退学者、60万人の引きこもり、ニートを作りだしたのです。

 子どもが不登校になっているのみならず、文科省の締め付けがキツすぎて、先生たちまでうつ状態で不登校になったりしていますね。

 教師を管理しようとしすぎて、教師の創意工夫の余地は少なくなり、ますます教育の荒廃に拍車をかけているように思えます。
 大学も同じで、文科省の締め付けのせいで、処理しなきゃならない書類数が年々増加し、授業準備や研究に割ける時間は減っていきます。しかも文科省の役人は、自分たちがよいことをしていると信じて疑わず黙々と残業をいとわず職務に励んでいるので救われません。文科省の役人が残業せずに5時に帰宅するようになれば、現場の教師たちもさぞかし風通しがよくなって救われることでしょう。

 子どもが世界一の学力を有し、教育大国として知られるフィンランドは、とにかく教師の裁量権が大きくて、少人数教育の環境で、各教師が創意工夫をこらして授業をするようです。教師の裁量権を狭めて締め付け管理しようとする日本の文科省の方針とは全く正反対のやり方です。
 文科省の官僚は、フィンランドに留学した方がよいですね。
返信する
Unknown (kamo)
2009-12-17 21:32:46
関様
面白いブログを見つけたので、張っておきますね。
 http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20091217/1261037733

 私は、戦後の此の国の歴史は、平和憲法、(9条)と、日米安保と、経済発展と繁栄は、セットで機能していたと考えています。此の国が、憲法を改定すれば、日米安保は破棄され自前の軍隊を持つに至るでしょう。そうすれば、軍事費は、あっという間に数倍になります。そして、天真爛漫な平和主義に裏打ちされた偏見のない貿易体制も崩壊するでしょう。
 何故なら、欧米人は、決して黄禍論を忘れては居ないからです。
 日米安保が崩壊すれば、やむを得ず再軍備するようになるでしょう。それでも結果は同じ事です。戦争をするかもしれない日本人への恐怖は抜き去りがたく欧米人の心にはあるのですよ。それは、日本人が負い続けなければならない十字架です。
 アメリカの経済が破綻しても、民主主義は破綻しません。戦争を止めれば、膨大な戦費が浮きますから、アメリカはまだまだ再生可能です。

 でも、中国の事情は違います。
 中国は、未だ民主主義が成立していない国です。此の国に民主主義を根付かせるためには、まだまだ超えなければならない大きな試練があるでしょう。その混乱は、国家の秩序を構築できるかどうかというレベルのものです。その危険が隠されています。

> 対米従属で幸せが確保できたのは、せいぜい鈴木内閣までです。中曽根政権以降、プラザ合意以降というもの、米国から日本への市場原理主義政策の押し付けによって、対米従属路線は日本を不幸にしかしていません。


 おっとと。今、どれだけの対米輸出によって此の国の経済が支えられているかしっかりご検討下さい。「対米従属路線によってもたらされる不幸」などと言うものは全く存在しません。
返信する
kamoさま ()
2009-12-18 01:01:19
 kamoさんが紹介した記事の中にあった日経新聞記者の記事は米比の事実関係をよく勉強していません。
 南沙諸島の石油資源に関していえば、いまはフィリピンと中国で協力しながら共同開発しています。東アジア共同体が構築されれば、南沙諸島は共同管理・共同利用という線で落ち着くでしょう。

 フィリピンが米国に従属していた80年代当時、米国やIMFから強要された市場原理主義改革によってフィリピン経済はどん底のマイナス成長でした。基地撤去を決め、米国と距離を置くようになった90年代、経済成長率は年4%台とずいぶん高まりました。アジア通貨危機の後、またマイナス成長になりましたが・・。この通貨危機も米国の責任でしたっけ。
  
 次いで「対テロ戦争」でフィリピン政府がブッシュ政権に協力するようになってから、またフィリピンは暴力の連鎖が始まってずいぶんと酷いことになりました。私の書いたものですと下記をご覧ください。

http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/5501703c64fa4d04d4569dbe5306ea88

 レーガン政権登場以降の途上国の経験からいえば、対米従属は暴力の連鎖と貧困と格差の拡大を生むだけで、離米が進むと平和と安定を生み出すのです。
 現在のラテンアメリカ諸国の経験がそれを実証しています。ラテンアメリカが80年代にどれだけ酷い状態で、近年米国と距離を置くようになってから、どれだけ経済も回復し、社会も安定したことか・・・。
 
 米国が再び世界から信頼される国になりたいのであれば、ウォール街の横暴を抑え、市場原理主義から決別し、もう世界に原理主義を押しつけないと誓わねばなりません。

>軍事費は、あっという間に数倍になります。

 東アジア共同体ができれば軍事費の拡大は防ぐことができます。

>おっとと。今、どれだけの対米輸出によって此の国の経済が支えられているかしっかりご検討下さい。「対米従属路線によってもたらされる不幸」などと言うものは全く存在しません。
 
 申し訳ございませんが、あまりにも認識不足で全く現実を見ようとしていないと申し上げざるを得ません。
 私が過去に書いたものですと以下のような記事があります。これらを読んで理解した上で納得いかなければ反論して下さい。
 http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/299d9a8454af493795a0d7ef7d52cf20

http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/c5fc354168c317ae92d50ea9dd99c7ca
返信する
読みましたよ (kamo)
2009-12-19 11:01:08
あなたのおすすめのサイトは一読みました。その上で。
>南沙諸島は共同管理・共同利用という線で落ち着くでしょう。

 米軍がなくなったとたんに、領有権を主張して侵入し、共同管理とは、まさに盗っ人猛々しいとはこのことです。その論法が成立するなら、我が国のガス田も南西諸島もあっという間に中国に取り込まれてしまうことでしょうね。経済水域の線引きなど、強国の意図でどうにでもなってしまうのが現実です。
 更に、あなたの発想の根源には、貧しさへの恐怖や、不安が全く感じられない。きっと、豊かな自ぢに生まれ、寒さやひもじさに震えることもなく、生き延びる事への不安も無しに満ち足りて何一つ不自由なく育ったのでしょう。
 あなたの育った時代は、一つの文化が成熟し、爛熟し、退廃へと向かう時代だったのです。だから、豊かである事への嫌悪がありますね。キューバや、フィリピンや、中南米諸国矢、中国が憧れの的になるのです。
 でもそれは間違いです。現代の、平和と安定と繁栄と、安心と幸福を築いたのは、他でもない先進国の科学技術や教育、研究の成果です。
 例えば、キューバでは、新型インフルエンザのワクチンを開発することは出来ません。生活のあらゆる利便を提供する科学技術の成果があるからあなたは安心して生活が出来て、何処にでも自由に移動が出来て、世界中のあらゆる情報を居ながらにして手にすることが出来て、それであなたの生活は支えられているのです。
 生活に密着した医療技術の進歩によって乳児死亡率は低下し、平均寿命は延びました。若者が結核等の病に怯えることもなくなりました。エイズは、放置すれば、人類に膨大な被害を及ぼしたかもしれません。それを押さえ込んだのも先進の医療技術です。その医療技術をさせているのは、生産と消費の循環によって得られる富があるからです。教育もそうです。豊かで安定した収入があるから、子供を学ばせることが出来ます。
 その全ては、化石燃料の上に構築されたまさに現代文明の成果に依るのです。
 残念ながら、経済の拡大再生産無しに、人類の生存を担保する手段はありません。
 あなたを養う学生が居なければ、あなたの生存は確保されません。あなたを養う学生は、両親の豊かな経済活動の結果です。そうやって全ては連鎖しています。
 日本は、自由貿易の恩恵に浴して今日があります。自由貿易に背を向けた米は、世界水準の百分の一の生産性しか有りません。それで、農家は、米作りで生計を立てることは出来なくなっています。関税障壁という保護政策が、生産システムを破壊したのです。
 工業生産が止まった実例をいくつも見てきました。工業が止まると、国のあらゆる場面で取り返しもつかぬほどに混乱が生じます。交通機関は、補修部品がなくなり、建物は、ガラスが割れてもそのままです。医療も崩壊します。食料はとぎれ、あらゆる消費財がなくなります。その現実が世界中の至る所にあります。
 経済が衰退することの恐怖の現実を見て下さい。残念ながら、経済活動を縮減して幸せになる方法はありません。
 生産者は、製品が売れなければ生活が出来ないし、サービス業に従事する者は客が居なければ生活が出来ないし、その客とは即ち生産者であるからです。
 日本の豊かさは、生存のための必須条件なのです。それを支えるのは、自由貿易が前提である外需です。生産者は、売れるものを作るしかないし、その豊かな生産者を客としなければサービス業も、教育も高度医療も存在し得ないのです。
 残念ですが、成長と繁栄を止めることは出来ません。
 
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些事かもしれませんが (S)
2009-12-19 12:14:04
>kamo様
キューバで新型インフルエンザ用ワクチンは生産されていますよ。むしろ新型インフルエンザ対策についてはしっかりできている方ではないでしょうか?そもそもワクチンの生産にはそれほど高い技術は必要有りませんが、キューバが社会主義国だからといって一概に科学が遅れていると考えるのは間違いです。
また、エイズは未だに治療法はありませんし、感染も拡大しています。感染の爆発的な増大を防いでいるのは社会的な取り組みに依るもので、医療技術とは関係ありません。医学は、ただエイズの症状を緩和する事が出来ているに過ぎません。
科学に関して間違った認識をお持ちなのでは?

また、私自身は関様と同年代の分子生物学者ですが、我々の世代の研究者は関様も含めて成人してから貧乏を体験していますよ。経済の停滞がもたらす苦しみも経験しています。我々の世代を苦労知らずと考えるのはあまりに認識不足でしょう。
>関様
本題と離れたちゃちゃを入れてすみませんでした。どうかお気を悪くなさらないで下さい。
返信する
kamoさま ()
2009-12-19 14:44:07
>米軍がなくなったとたんに、領有権を主張して侵入し、共同管理とは、まさに盗っ人猛々しいとはこのことです。

 もしフィリピンが米軍の力を借りて実効支配しようものなら、ベトナムやマレーシア、中国から見ればまさに「盗人猛々しい」ですよ。

 南沙諸島は、フィリピン、中国の他にも、ベトナム、台湾、マレーシア、ブルネイが領有権を主張して係争中です。もともとフィリピン固有の領土であるかのように言う、kamoさんが紹介して下さったサイトの事実認識がすでにじて誤りなのです。

 もともと建国して60年あまりのフィリピンが「固有の領土」と主張することにムリがあるのです。国民国家など成立するはるか以前から、係争中の国々の人々は、国家に縛られずに、南沙の近海で自由に活動していたのです。係争中の国々で共同管理・共同利用するしか解決策はないでしょう。
 かりに米軍の力で、フィリピンが他の諸国を押しのけ、油田開発したとしても利権などすべて米国に持っていかれたでしょう。東アジア共同体のもとで共同開発すれば利益はすべてアジアに落ちるのです。

 Sさんも書いておられますが、私たちとkamoさんの事実認識があまりにもかけ離れており、kamoさんがあまりにも理解力に欠けているため、正直もう議論する気はありません。

>経済が衰退することの恐怖の現実を見て下さい。残念ながら、経済活動を縮減して幸せになる方法はありません。

 私は工業を止めろとも、近代医療をなくせとも経済を衰退させろとも一言も述べておりません。富を公正に分配するために、市場原理主義から脱却せよと言っているだけです。それが経済的繁栄と社会的安定を実現する道だと述べているのです。

 これだけ貧困化、絶望化しつつある日本の現状から目を背け、「豊かだ」と主張されるkamoさんは別の惑星の住人なのでしょうか。あなたの事実認識が決定的に誤っているのです。

 あなたがわけのわからない極論を述べても、私に対する反論にも何もなっていませんし、議論がまったくかみ合わないのです。これ以上は不毛です。やめましょう。   
返信する
Sさま ()
2009-12-19 16:13:30
 コメントありがとうございました。
 AIDSの患者数に関しても、百万人当たりのAIDS患者数は米国の241.2人に対し、キューバは7.3人とのことです。
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/5b036f96e56b3c245e7ed508001e4e53

>エイズは、放置すれば、人類に膨大な被害を及ぼしたかもしれません。それを押さえ込んだのも先進の医療技術です。・・その全ては、化石燃料の上に構築されたまさに現代文明の成果に依るのです。

 「科学技術」が発達し、石油を大量に消費し、医療技術も発達したアメリカが、キューバの感染率の34倍。上のkamoさんの主張がいかに誤っているか分かりますね。
返信する

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