昨日エントリーした差別的反中反韓論についての記事に対し、key-beeさんから解決策として「中国や韓国の政府が、国民の不満のガス抜きに『反日』を掲げるのを止めれば、割とあっさり風化するのではないでしょうか」とのご意見をいただきました。それに対する私のコメントを新しいエントリーといたします(一部加筆修正)。
Key-beeさま
お久しぶりです。コメントありがとうございました。
先方に「反日」を止めてもらうためには、こちらもどうしても「靖国」を止めないと・・・。
こちらが止めれば向こうも止めると思います。でも、ウヨクは「靖国は内政問題だ。外交取引の材料にするな」と叫びます。そう叫ぶ人たちがいちばん外交問題にしたがっているように思えます。
私は以前から、「外交問題としてではなく、日本人の良識に基づいて内政問題として首相の参拝は止めさせなければならない」と主張してきました。(この記事参照)。
こんなゴタゴタ騒ぎの政争の具にされて、私の祖父を含めた戦没者たちは、本当に迷惑だろうと思います。戦没者たちに本当に失礼なはなしだと思うのです。
胡錦濤は明らかに反江沢民です。内心では、いつでも「反日」を止めたいでしょう。でも、胡錦濤が靖国で日本に譲歩してしまうと、保守派の攻撃を受けて彼の首が飛びます。私たちも、胡錦濤さんのそういう苦しい胸中を思いやってあげるべきだと思います。
江沢民は、日本の右派の方々が主張するように、政治的には締め付けを強めながら、経済は野放図に自由化していくという政策を取り、途方もなく貧富の格差を拡大させてしまいました。まさに「依存症の独り言」さんの言うように「上部構造と下部構造の矛盾」を拡大させてきたのです。この体制は続いてはならないと、私も思います。
中国にいま必要なのは「政治的には民主主義、経済的には社会主義(所得再分配による格差是正という意味での)」だと思います。そして、この間の胡錦濤や温家宝の政治というのは、明らかにその道を模索してきているのです。
私の知人には、中国に八つある民主党派の一つの致公党の方がいます。彼らは、「胡錦濤政権になってから、共産党に政策提言できる機会が増えた」と大変に喜んでいます。全国政治協商会議(共産党と他の民主党派の政策協議の場)は大変に活発になっていて、致公党も農業問題などで格差を是正するための政策立案に忙しく奔走しています。
共産党以外の民主党派の活動の幅がこのように拡大していけば、いずれは一党独裁体制を「崩壊」というカタストロフィックな終わらせ方ではなく、ソフトに変革させることが可能になるでしょう。そして隣国である日本にとっては「崩壊」よりも「ソフトに変わってもらう」ことの方が、明らかに望ましいはずです。何故、日本の右派は「崩壊」を望むのでしょうか? 彼らは、人が死ぬこと、社会が混乱することが好きなのでしょうか?
そもそも中国で保守派が巻き返したのは、中曽根元首相が1985年に靖国を公式参拝したのがきっかけでした。このとき、親日派だった胡耀邦総書記は、中曽根首相との友情を重視して批判しなかったのです。中国の保守派は、それを格好の口実として胡耀邦批判を始め、ついには失脚させることに成功したのです。それが全ての不幸の始まりでした。
日本の右派は、中国は85年になって突然に批判し始めたと批判します。「靖国」は改革派の胡耀邦を失脚させるための中国国内の政争の具になってしまったから、85年に火がついたのは当然でしょう。
胡耀邦の失脚がなかったら、天安門事件もあり得ませんでした。天安門事件はそもそも胡耀邦の死去に伴い、胡耀邦を慕う学生たちが天安門に集まって発生したものでした。胡耀邦の失脚がなければ、その後の保守派の巻き返しも、反日愛国教育の実施もあり得ませんでした。中国は今頃、もっと民主的な国になっていたはずなのです。中曽根首相の軽はずみな行動が、その後の全ての不幸の始まりだったのです。
日本の右派は内心、中国に「反日」の旗を降ろしてもらうのが迷惑なのでしょう。中国が「反日」を強めれば強めるほど、それを口実として、右派の日本政治への影響力の拡大、ひいては乗っ取りが可能になるからです。だからわざわざ靖国参拝で中国を挑発し、中国をさらに硬化させるように追いやっているのです。胡錦濤が懸命に日中関係改善のためのシグナルを送っても、それを意図的に無視し、「騙されるな」と叫ぶのです。こんな愚かな態度があるでしょうか。彼らは明らかに、中国に「反日」の旗を降ろしてもらうのが迷惑だから、そのような態度を取るのです。
中国の保守派や軍部も同じ理屈で、日本の首相に靖国参拝を止めて欲しくないのです。だって中国の軍部は、「日本の右傾化」を口実として、さらなる軍事予算の拡大を要求し、政治的影響力も強めることができるのですから。
この愚かなタカ派ゲームを一刻も早く止めさせねばなりません。
Key-beeさま
お久しぶりです。コメントありがとうございました。
先方に「反日」を止めてもらうためには、こちらもどうしても「靖国」を止めないと・・・。
こちらが止めれば向こうも止めると思います。でも、ウヨクは「靖国は内政問題だ。外交取引の材料にするな」と叫びます。そう叫ぶ人たちがいちばん外交問題にしたがっているように思えます。
私は以前から、「外交問題としてではなく、日本人の良識に基づいて内政問題として首相の参拝は止めさせなければならない」と主張してきました。(この記事参照)。
こんなゴタゴタ騒ぎの政争の具にされて、私の祖父を含めた戦没者たちは、本当に迷惑だろうと思います。戦没者たちに本当に失礼なはなしだと思うのです。
胡錦濤は明らかに反江沢民です。内心では、いつでも「反日」を止めたいでしょう。でも、胡錦濤が靖国で日本に譲歩してしまうと、保守派の攻撃を受けて彼の首が飛びます。私たちも、胡錦濤さんのそういう苦しい胸中を思いやってあげるべきだと思います。
江沢民は、日本の右派の方々が主張するように、政治的には締め付けを強めながら、経済は野放図に自由化していくという政策を取り、途方もなく貧富の格差を拡大させてしまいました。まさに「依存症の独り言」さんの言うように「上部構造と下部構造の矛盾」を拡大させてきたのです。この体制は続いてはならないと、私も思います。
中国にいま必要なのは「政治的には民主主義、経済的には社会主義(所得再分配による格差是正という意味での)」だと思います。そして、この間の胡錦濤や温家宝の政治というのは、明らかにその道を模索してきているのです。
私の知人には、中国に八つある民主党派の一つの致公党の方がいます。彼らは、「胡錦濤政権になってから、共産党に政策提言できる機会が増えた」と大変に喜んでいます。全国政治協商会議(共産党と他の民主党派の政策協議の場)は大変に活発になっていて、致公党も農業問題などで格差を是正するための政策立案に忙しく奔走しています。
共産党以外の民主党派の活動の幅がこのように拡大していけば、いずれは一党独裁体制を「崩壊」というカタストロフィックな終わらせ方ではなく、ソフトに変革させることが可能になるでしょう。そして隣国である日本にとっては「崩壊」よりも「ソフトに変わってもらう」ことの方が、明らかに望ましいはずです。何故、日本の右派は「崩壊」を望むのでしょうか? 彼らは、人が死ぬこと、社会が混乱することが好きなのでしょうか?
そもそも中国で保守派が巻き返したのは、中曽根元首相が1985年に靖国を公式参拝したのがきっかけでした。このとき、親日派だった胡耀邦総書記は、中曽根首相との友情を重視して批判しなかったのです。中国の保守派は、それを格好の口実として胡耀邦批判を始め、ついには失脚させることに成功したのです。それが全ての不幸の始まりでした。
日本の右派は、中国は85年になって突然に批判し始めたと批判します。「靖国」は改革派の胡耀邦を失脚させるための中国国内の政争の具になってしまったから、85年に火がついたのは当然でしょう。
胡耀邦の失脚がなかったら、天安門事件もあり得ませんでした。天安門事件はそもそも胡耀邦の死去に伴い、胡耀邦を慕う学生たちが天安門に集まって発生したものでした。胡耀邦の失脚がなければ、その後の保守派の巻き返しも、反日愛国教育の実施もあり得ませんでした。中国は今頃、もっと民主的な国になっていたはずなのです。中曽根首相の軽はずみな行動が、その後の全ての不幸の始まりだったのです。
日本の右派は内心、中国に「反日」の旗を降ろしてもらうのが迷惑なのでしょう。中国が「反日」を強めれば強めるほど、それを口実として、右派の日本政治への影響力の拡大、ひいては乗っ取りが可能になるからです。だからわざわざ靖国参拝で中国を挑発し、中国をさらに硬化させるように追いやっているのです。胡錦濤が懸命に日中関係改善のためのシグナルを送っても、それを意図的に無視し、「騙されるな」と叫ぶのです。こんな愚かな態度があるでしょうか。彼らは明らかに、中国に「反日」の旗を降ろしてもらうのが迷惑だから、そのような態度を取るのです。
中国の保守派や軍部も同じ理屈で、日本の首相に靖国参拝を止めて欲しくないのです。だって中国の軍部は、「日本の右傾化」を口実として、さらなる軍事予算の拡大を要求し、政治的影響力も強めることができるのですから。
この愚かなタカ派ゲームを一刻も早く止めさせねばなりません。
要するにお互い様のようなものです。
しかしながら中国は変わろうとしていることは事実でしょう。
あなたの言はれるように、その変化が中国にとってもっとも失うものが少なく、得るものが大きい変化を望むのが「人情」というものです。
アメリカが稲穂が垂れるような行動をすればいいのに逆をやるから「寝た子を起こす」ことになりはしないかと危惧します。いまや日米軍事同盟の巨大なテクノロジ-軍事力は外部から見る限り想像を絶する脅威に写るはずです。
小泉はそれがわかっていない。
アメリカの軍事的実績に日本のテクノロジ-が吸収される事態が他国にどう写るのかということ。
>外部から見る限り想像を絶する脅威に写るはずです。
同感です。日本の軍事費の方が、まだ中国よりよっぽど大きいのですから。
自国を国際的な視野の中で、相対化して考えることのできない人間、まさに「己の欲せざるところ人に施すなかれ」という精神の欠如した人間に、首相になって欲しくありません。
しかしどう力んでも、日本の軍事力などアメリカの備蓄あっての事。子供のオモチャにも当たりません。継戦能力など無いのです。
中韓両国ともその位は察していますから、現在の馬鹿げた路線が続けば、困難は有っても日本との協調の追求はあきらめ、氾ユーラシアの方向を意識するだろうと思います。
愚行で浪費する時間はそうは無い、そのように考えています。
個人で出来ることは少ないですが、頑張りましょう。
一連の記述は事実誤認です。
何年も前の記事に大変失礼とは存じますが言挙げ致します。
その後、「参拝の動きを黙認した」として中国国内で胡耀邦批判が高まりました。中曽根元首相は後日談として、友人の胡耀邦総書記を守るという配慮もあって翌86年には参拝を中止したとされています。(『正論』平成13年9月号、中曽根康弘「私が靖国神社公式参拝を断念した理由」)