代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

改憲派も護憲派も共闘して法治主義を守ろう

2014年02月21日 | 政治経済(日本)
 本日(2月21日)の東京新聞は、元内閣法制局長官の阪田雅裕氏の講演を大きく報道している。阪田元法制局長官は、安倍首相による独断的な解釈改憲の動きに対して「大変不当だ。法治国家の大原則に違反する……法治国家では、法律が時代遅れになれば改正する。なぜ憲法だけ解釈変更していいのか。そんなことが許されるなら立法府はいらない……改憲派、護憲派立場を超えて、共闘していかなければいけない」などと述べたという。

 すばらしい発言だと思う。集団的自衛権をめぐっていま生じている事態は、改憲だ護憲だという論争が吹き飛ぶ次元の、驚天動地の事態である。日本が法治主義を放棄して、首相が勝手に憲法の解釈も変更できる人治主義の国になろうということだ。

 日本の右派は、「中国は法治主義の国ではなく前近代的な人治主義の国」などとお決まりの事を言って中国を批判してきたものだった。法律と無関係に、毛沢東が「右」といえば右に倣い、「左」といえば左に倣うという意味である。しかし毛沢東・小平のころまではそうだったかも知れないが、最近の中国は法治主義のタテマエを十分に整備してきている。
 
 安倍首相のやろうとしていることは、日本が法治主義であることを放棄して、毛沢東的な人治主義に回帰しようということである。安倍政権の暴挙を許して、どうやって中国の批判などできるのだ?? あまりにも無知蒙昧というべきである。

 現行憲法の条文のまま本当に集団的自衛権を認めるという解釈が可能だと考えるのであれば、もはや諸外国からは「日本語という言語は論理的な構成、論理的な思考の組み立てが不可能な言語らしい」と評価されることになろう。日本人が日本語で表現するすべての事柄も信頼されなくなる事態を招く。

 石原慎太郎元都知事が「フランス語は数も数えられない」と言ったが、日本語はその比ではない非論理的な言語というレッテルを貼られるだろう。

 大事の前には小事を捨てよう。自民党の中の改憲論者でも「法治主義を守れ」と訴える人々は増えている。まずは独裁者の横暴を廃し、法治主義を守ることが何よりも優先されよう。改憲・護憲論争はその後にゆっくりやろう。それほどの異常事態である。


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3 コメント

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自民党の法治主義者たちはどうした? (たんさいぼう影の会長)
2014-02-21 22:25:36
自民党には旧民主党系の、強力な護憲主義者(ただし安保容認)がいて、人治主義的、超法規的に動こうとする右派を抑えていたはずなのですが、もはや影響力を失っているのでしょうか?
山本太郎が天皇に手紙を渡そうとしたときに、多くの閣僚が「不敬」などと見当違いのことを言っていたのに対して、谷垣禎一だけは「天皇の政治利用だ」という、憲法に則った正しい批判をしていました。しかし彼もネトウヨどもに「売国奴」呼ばわりされる始末。もはや影響力をもちえないのでしょうか?
閣僚が暴走すれば、党内の批判勢力がこれを抑えてバランスをとってきたのが、自民党という知恵。もはや自民党に知恵は残っていないのか?
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自民党OBは怒っていますね ()
2014-02-23 21:15:20
たんさいぼう影の会長さま

 野中広務さんとか古賀誠さんとか河野洋平さんとか良識ある自民党OBの方々は怒っていますね。
 現役議員の奮起にも期待したいと思います。
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Unknown (12434)
2014-02-25 17:39:01
改憲派の小林節教授と護憲派の伊藤真氏は、立憲主義については完全に意気投合してますしね。
護憲派と改憲派が協力してそれに反対する動きは少しづつ広まってきているでしょう。
そのお陰か、国民の多くはそれの解釈変更には反対しているようですし。
もうなんていいますか、憲法改正がめんどくさいから解釈を変更したいだけですね。ちっとも公平ではない。96条の改正もそうですが。
だいたい内閣が変わったらまた解釈が変更されないという保証はどこにもありません。安倍総理の無責任さにも程がありますよ。

安倍さん自身は「憲法には国家を縛る役割もある」という見解を持ってるようですが、けっきょくそれを形骸化させようとしていますね。
そういえば、「憲法には国の姿形を書くものでもある」とかもいってましたね。そういう理屈は最終的に、政府を統制する立憲主義の機能停止に繋がると思っていましたが、今でさえそんな有り様がなら、実際そうなってもあまりおかしくないですね。
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