イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

煽っちゃえ 煽っちゃえ

2007-04-15 18:41:48 | アニメ・コミック・ゲーム

もう30年以上前、70年代の初期ですが、のちに時代小説家として不動の地位を築く隆慶一郎さんの、脚本家専業時代の作品で『クラスメート ~高校生ブルース~』という6話の短期連続ドラマがありました。

ベテラン高校教師(故・田村高廣さん)が怪死、彼の大学の教え子で、穴埋め臨時教師としてその高校に赴任した女教師(故・武原英子さん。歌手錦野旦さんの最初の奥さん)が、さまざまな問題を抱える生徒たちと関わりあいながら恩師の死因の謎を解く…という筋立てで、当時から学園もの・教師ものが苦手だった月河も、再放送でしたから夕方4:00頃、走って帰宅し近藤正臣さんや赤塚真人さん、レインボーマン水谷邦久さん、故・沖雅也さんらが詰め襟姿で繰り広げるサスペンスに見入ったものでした。

そんなテイスト再びを微量期待して、『わたしたちの教科書』第1話(4月12日22:00~)を録画視聴。『孤独の賭け ~愛しき人よ~』と同枠なのでこちらは2台めのTVのアンテナ線をパソコンにつなぎ、えらい手間でしたが、どちらか引っ掛かりが残ったほうを2話以降録画続ければいいと思っていました。

引っ掛かりで言えば断然こちらの圧勝です。“笑わせてるつもりが笑われてる”、言わば“天然”な『孤独』に比べると、『わた教』はすべてが計算ずく、狙って狙っての確信犯。

一見平穏な公立中学校に臨時教員として赴任した、熱血教師に憧れるおぼこな新人教師・加地(伊藤淳史さん)の視線で物語は展開しますが、両親を失くし施設から通学する、ピュアだが奇矯な言動の女生徒・明日香(志田未来さん)に、異常に功利的で無愛想な若手女性弁護士(菅野美穂さん)がからみ、先輩・上司教師たちもちょっとずつ、あるいは大幅に、我々一般人が“こうあって欲しいと願う教師像”を逸脱して、ハラにイチモツありげで、ひと言で言うと、物語世界全体が“思わせぶり”

陰で深刻ないじめに遭っていたらしい明日香の学窓からの飛び降り、ホラー小説家気取りの女子生徒が“ポー様”と自称している等、萩尾望都さんの代表作である古典的大河漫画『ポーの一族』シリーズのギムナジウムものエピソード『小鳥の巣』を原案にしているふしもありますが、謎解き、真相探し、犯人当ての興味でこの先も引っ張っていこうとするとあざとくなりそう。菅野さん扮する弁護士が実は明日香の母親だったという仰天のカムアウトで1話終了しましたが、釈然としないこと山積。

母娘?の因縁、明日香を飛び降りに至らしめた校内の隠れた力関係、心理模様などはこれから加地目線で徐々に明らかにされていくのでしょうが、いま実社会でリアルに問題を抱えている公立中学校と教員たちを取り上げているだけに、後味の悪いお話になりそうな予感もします。

しかぁし!このドラマの七難も百難も隠す圧倒的な見どころに遭遇してしまいました。加地の先輩のヘンな教師たちのひとり、数学教師八幡(やはた)役・水嶋ヒロさん。彼のこのドラマへの出演自体は事前情報で知っていましたが、てっきり高校が舞台で、生徒役と思い込んでいました。教師役だったのかぁ。

もうね、すごいよ仮面ライダーカブト』での“天の道を行き、総てを司る男”はこの役のための、偉大なる助走に過ぎなかった(爆)。髪のウェーブをとってボブ風味に、黒縁ダサ風メガネが加わった以外、メイクや衣装で特別突飛な手は加えていないのに、天道時代の様子様子ぶったセリフ回しを、軽ーくユニセックス風味、“キモ座標”にシフトさせただけで一気の変身、いやイメチェン。

ひと組の男子生徒たちの遊び半分に始まって全校をパニックに巻きこんだ乱闘騒動の間じゅう、「やめろー、やめてー」と右往左往、終いには投げ出して座りこむ姿には、全国の『カブト』ウォッチャーが「何で変身しないんだ!」とツッコんだと思いますが、ピチピチのカットソーを着たヒョロヒョロの体躯は、こういう“非力で頼りない理系オタク”にこそぴったりなヴィジュアルだったんだな、と改めて微苦笑。

月河も02年『龍騎』以降、ずいぶん大勢の新人美形ヒーロー俳優さんを見て来ましたが、最近はヒーローといえども昭和のステレオタイプな熱血正義漢でなく、作品によって“変人”“天然”“スノッブ”、あるいは“おバカ”、ヘタしたら“凶暴”など、せっかく多彩な味付けでデビューしてきているのに、ヒーロー卒業後はお子さま&お母さんファンへの気遣いもあるのか、どうしても“カッコいい”の呪縛から自由になれない人が多いのがどうにも不満でした。これからのヒーローOBは、持ち前の恵まれたルックスを逆手にとって、もっと“怪優”路線で役の幅を広げてほしいと思っていた矢先。水嶋さんはその勇気ある尖兵となってくれそうです。

自室はアニメフィギュアに埋まり、プライベートではネット匿名掲示板どっぷりの危ないオタクキャラ設定とあれば、すべてを仕掛けたラスボスとして最終回を迎える可能性もあるかも。いいぞ世界を変えろ。ひたすら水嶋さん目当てで2話以降も観るぞコレ。同僚に佐藤二朗さん、大倉孝二さんなど芸達者の曲者が揃っていますが、出番、多くなりますように。スタッフさんカメラさんお願いしますよ。ヴィジュアル、真木よう子さん級なんだから。

コメント
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