昨年の今頃、『金色の翼』放送期間中に“ジョンソンのスキンガード虫除けスプレーのCM「虫除けスプレーってホラ、○○くってぇ(←聴取不能)、こう、むせそうじゃない?」と言うママさんの顔と手つきが、暑い季節に暑苦しさ倍増で非常に不快だ”という意味のことを、かなりチカラ入れてここに書いた記憶がありますが、熱論空しく今年もそっくり同じヴァージョンがオンエアスタート(力抜)。
ネットの片隅でなんぼ吼えてても無駄だっちゅうことがはっきりわかりますな。ジョンソンのホムペ探してメール突撃するかな(閑)。昨日辺りから当地もめっきり真夏日、高湿度、高不快指数だし。
商品名・企業名の好感度アピール「買ってもらいたい」に専心したアイディアと、ひたすらそのために繰り出される数々の映像技術に、「ふーむこう来たか、こう見せればこのアイテムが売れると思ってるんだな、ニヤニヤ」というノリで接するのがおもしろいので、TVCMにはネガティヴではない派なのですが、見てて愉快なCM、「また流れないかな」と思えるCMは実際、最近は少ないです。
ファブリーズの“ナガシマ一家”はその中では楽しく見られるほう。
息子の運動会とかおウチ鉄板焼きとかお好み焼きとか、洗濯物部屋干しとかはたまた町内カラオケ大会優勝とか、身内のシーンばっかりでさっぱり仕事してるトコが出てこない“インテリアのナガシマ”ですが、お父さん(寺島進さん)結構暑い中営業に走り回ってるのね。
ま、今年はCM好きなだけカットして録画保存できるレコーダーがあるしな。録ったコンテンツに気に入らないCMが入ってても、イライラする度合いはぐんと減りました。
コンテンツ本編の『白と黒』第6話は章吾(小林且弥さん)と一葉(大村彩子さん)がやはり単なる幼なじみではなく、2年前の一葉帰郷からしっかり付き合っていたこと、1年前章吾は父親に「大阪の友人の結婚式に出席する」と偽って一葉と沖縄旅行し、そこで“元の幼友達に戻ろう”と告げて恋人関係にピリオドを打ったことが判明。6話かけて、やっと明らかになるほどのことじゃないけどね。その程度のウラは当然あるだろうと、第1話の一葉「おめでとう礼子、心から祝福するわ」で想像はついたし。“プラトニックな許婚者が自分の女友達とワケあり”なんて、昭和のティーンエイジャー向けのアイドルドラマじゃあるまいし、平成も20年の大人向けドラマならメインストーリーではなく、セカンドかサードの副線で取り扱われるレベルの話。サプライズもインパクトもなんにもなし。
依然、話のスケールがコップの中の嵐どころか、お猪口サイズのミクロさ。
今日はむしろ「オレが確かな証拠をつかむまで誰にも言うな」と釘を刺したにもかかわらず、婚約者への不信に耐えかねて章吾を問い詰めてしまった礼子(西原亜希さん)に向ける聖人(佐藤智仁さん)のしらけた表情が良かった。礼子も章吾に一抹の疑いを持っていたから、事故時の一葉の行動について打ち明けなかったのだ(=兄への反感を持つ自分の同志)と思ったのに、“確かな証拠を掴んでやる、味方になると請けあったオレより、結局章吾兄貴を信じたいのか”と失望したことでしょう。
今作の脚本担当・坂上かつえさんには少なからず期待していた(いまもしている)のですが、今日の研究所員たちとのお茶タイムや、聖人の「一葉だって悪いんだぜ、魅力のある女性は、それ自体罪なんだ」などの場面では、“背徳三部作”の金谷祐子さんをつい懐かしく思ってしまった。金谷さんならこんな力の抜けた場面で、得意のお文学な、お箴言な台詞のひとつやふたつ、必ず繰り出してくれたはず。
“この程度のテンションの場面に”とか“この程度の重要度のキャラに”とか、台詞の意味含蓄量と状況とがアンバランスなことも多かったのですが、そのムダな上品さ、ペダンティックなアタマでっかちっぷりが“三部作”の魅力でもあった。
“坂上かつえさんでなければ書けない”と心から思える台詞、今後に期待です。