イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

藍より出でて

2010-01-07 17:09:57 | 昼ドラマ

“いつもの”同枠とは違った雰囲気で期待させた東海テレビ昼帯ドラマ『インディゴの夜』、いまのところは、意外にそろっとしたスタートです。もっとはっちゃけてガンガン来るかと思った。

今作の“主力商品”であるホスト役イケメン俳優諸君は、無国籍風・格闘技系・アキバ系・ユニセックス…と、キャラクターが埋もれないように「打ち合わせ通り、一生懸命演ってます」といういっぱいいっぱい感が拭えず、いまだ全開とはいきませんが、“いつもの”出生の秘密や、身分違いの恋を背負わない、等身大のヒロイン・晶(あきら)を演じる森口瑤子さんが期待を裏切りませんね。

人気ファッション誌の女性編集長として仕事バリバリ、私生活も外資系証券マンと結婚間近で、人生順風満帆、勝ち犬気取りで肩で風切っていたのに、上層部の裏金スキャンダルの巻き添えを食らって突然解雇、恋人は同棲中のマンション家財道具、預貯金一切合財とともに「結婚できなくなった」の電話一本で失踪。傷心のどん底の晶のもとに、かつて同じ出版社で部数競争を繰り広げた元・写真誌編集長・塩谷(六角精児さん)が現れ、婚約者が自分を連帯保証人に3000万もの借金をしていると告げられます。失職中で無収入の晶に、塩谷はホストクラブ店長になって売り上げを上げて返済しろと迫ります。

迫ると言っても、『相棒』鑑識米沢さんでおなじみ六角さんが演じているので、ハードに恫喝するというより、大手搦め手取り混ぜてなんだかんだと身動き取れなくしていく感じ。

時代の先端を行くバリキャリだったはずの晶が、職も預金もなくマンションも住めなくなると、職探しの間だけでも転がり込める女友達の一人もおらず、父親違いの妹(長谷部優さん)にまで「旦那と子供で手いっぱい、お姉ちゃんの面倒まではみられない」とていよく追っ払われてしまう。仕事はでき、女も捨てずお洒落も怠りなく恋人もゲットしたけれど、人間関係力は非常に劣る女性だということがよくわかる。

実年齢43歳の森口さん、3年前の『わるいやつら』でワンシーンだけ画面に登場した上川隆也さんの鬼妻役が忘れられない、落ち着いた迫力のある演技もできる女優さんですが、今作はちゃかちゃか、ぴゃあぴゃあと、ファッションマスコミ業界に合わせて若づくりする癖がついてでもいるのか、それこそアキラかに精神年齢低く、大人の思慮や知性の乏しい“なんちゃって敏腕キャリア”女性をうまく表現しています。

1話での妹との会話からすると、晶の母親は再婚で妹を産み、いまも地元で水商売の店をやっている様子で、妹は解雇を機に実家に帰って母を手伝うよう勧めますが、晶は実家に帰ることよりも、水商売にかなり偏見と抵抗があります。2話では「ホストなんて女に愛嬌を売っておカネを貰う(卑しい)商売」「自分の才能と努力だけで、性差別にもセクハラにも耐えて編集長にまでなったワタシと、アンタたちとでは人生が違う」「ワタシはいつまでもこんなところ(=恥ずかしい賤業であるホストクラブ及びその雇われ店長職)になんかいないんだから」と、勝ち組コンプまる出しのイタい啖呵切って、イケメンホスト諸君を呆れさせドン引きさせてしまいました。

彼女の編集者時代のイメージシーンを見る限り、手がけていた雑誌はブランド衣料やグッズ、コスメグルメの広告料に浮かぶ砂上の楼閣みたいな腐れ虚飾メディアらしく、そんなしろものを仕切って花形職業気取りだった彼女に「オンナにアイキョー振りまいておカネ貰ってる」と蔑まれたんでは、ホスト諸君としてはまったく心外でしょう。

“努力して男社会の逆風をはねのけ、勝ち組職業で自立、かつオンナとしても充実”という、いま風に言えば勝間和代コンプレックスにとらわれた、競争&出世中毒のアラフォー女性vs.ワケありだけどそれぞれ自由な夢を抱き、女性を喜ばせるプロの自覚を持って働く若者たち。昼帯の主要客層たる女性視聴者に向けたタイムリーなメッセージ性もじゅうぶんですが、そのへんはあまりあからさまにせず、むしろ“変身なし巨大合体ロボ戦なしの戦隊&巻き込まれ姫”ぐらいの、惜し気ないはっちゃけを見せてほしいですね。日曜朝、テレ朝系スーパーヒーロータイムでの現行戦隊が、去年からああいった感じに低回しているので、“文句なく視聴後スカッとする戦隊”にいま、かなり飢えてますから。

主力のイケメン戦隊…じゃなかった、ホスト役諸君も危なっかしいながら未知の魅力の片鱗は窺えるものの、心配なのは“謎の切れ者マネージャー”憂夜(ゆうや)役の加藤和樹さん、わずか4年足らず前の『仮面ライダーカブト』では、キャラ設定上わざと時代遅れ勘違いな派手派手ファッションで、一種の被りモノ演技でしたが、それでも取り返してお釣りの来る涼しげな美貌だったのに、今作は、こちらも設定上?バサついた髪型のせいもあるのか、目つき顔つきがずいぶん落魄して、眼周りに妙なヒダができ、撮影画質上か肌にも張りがなく荒んだ感じに見える。『カブト』登場当時21歳、現在25歳ですから、容姿がくすむ年頃では到底ありません。昼帯3ヶ月クール作で、毎話登場シーンがある役となると撮影は苛烈をきわめます。体調は大丈夫かしら。

コメント
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