イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ベタベタさん、先へお越し

2010-06-13 19:23:22 | 朝ドラマ

先週の『ゲゲゲの女房』vs.貧乏神篇でしたが、唯一「どういうことだったのか」という掬い取りが週中に無くて終わったのが、10日(木)の“しげる(向井理さん)、雨夜の霊園から出られなくなる”の一件。

しげるにしてみれば、夜でも、自転車でも徒歩でも通り抜け慣れている霊園経由の近道。雨が強くなってきたからピッチ上げて行こうと思っただけでしょう。戌井(梶原善さん)の個人経営北西出版から、約束の半額、しかも奥さん・早苗さん(馬渕恵俚可さん)にニラまれながらの小銭の寄せ集めとは言え原稿料は受け取ったし、帰りがけその早苗さんから「さしてってください」と、片腕なのを忘れた純粋過ぎる善意も提供されたばかり。

以前、布美枝(松下奈緒さん)に詳細を伝えずにはるこ(南明奈さん)を俄かアシに、せっかく布美枝さんが少ない食材の中、用意してくれたニラ入りスタミナ鍋を拒否して徹夜→風邪引き発熱、のような、何らかのバチ当たりとか懲らしめられとかいう文脈ではありませんでした。

それゆえ布美枝さんは、「走っても走っても抜け出られなかった」と夫が茫然と振り返る暗闇が、出口なしの貧しさの中であえぐ自分たちの暮らしの象徴のように感じて暗い気持ちになったのでしょう。

おハナシとしては、墓場で雨に降り込められたしげるが“もうダメか、ここで行き倒れるか(←神田から電車賃無しで徒歩の中森さんが、行き倒れかけてやっと辿り着いたエピあり)”と思ったときに、藍子を抱いた布美枝の幻影が現れ「お父ちゃん、こっちですよ、藍子とお帰りを待ってますよ」と呼ぶ声が聞こえて、声の方向に懸命にペダル踏んだら抜け出せた…てなオチにすればきれいですが。

…きれいですがベタベタです。ベタベタベタベタ。古いし。

1週の、8歳少女布美枝(菊池和澄さん)が、輝子叔母ちゃん(有森也実さん)宅からの帰途、林の中で不気味な足音に怯えて動けなくなったとき、少年しげる(川口翔平さん)に出会い「それは“べとべとさん”だから、“べとべとさん、先へお越し”と言えば、もう追いかけられない」と教えて、助けてくれました。結婚後、漫画描きのアシをするようになってから、布美枝がふと「林の中で、べとべとさんに追いかけられた女の子を助けたことは?」と訊いたら、しげるは「そんなことがあったような、なかったような」とおぼろげで、ぴったり一致「あーあのときの!」「そげですよー!」「不思議な縁だなー!運命だなー!」とはなりませんでした。

これとシンメトリーに、墓場暗闇脱出に限らずとも、布美枝から「そげなって困ったときは、こうすればええんですよ」というアドヴァイスがあって、しげるが出口を見つけ出す手がかりになり「お母ちゃんのおかげで助かった」と実感し、「あんた、そう言えば、子供ん頃べとべとさんに追いかけられたと言っとらんかったか?」となれば、うまいこと埋まるのですがね。

 この救済穴埋めは、もうちょっこし先になりそう。いちいちぜんぶきれいに掬い取られて埋められるのもやりすぎかな?という気もしますし。要するにあの墓場超常体験が、夫婦にとってプラスに転じる形で消化されてくれれば、「あれはこれこれ、こういうことだった」という説明とか整合性は、なくてもいいんですけど。

 今日13日は日曜のため、『ゲゲゲ』の放送はありませんでしたが、BS-hiで地デジ化キャンペーンミニドラマ『いちごとせんべい』が。松下さん向井さんによるアナザー夫婦物語。『ゲゲゲ』が40歳過ぎ・30歳過ぎ設定でもあまり老けメイクしていないので、俳優さんの実年齢相応の役になってもさほどの変わりはありませんが、とりあえず、貧乏じゃないみたいなのが、よかったよかった。7月3日にNHK総合でも放送するとのことです。

コメント
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