イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

for your SAKE

2009-10-05 15:52:23 | ニュース

最近、大きなニュースの第一報は、TVテロップではなくネットの通信社ページで接することが多くなりましたが、びっくりしましたね、中川昭一元大臣。大手のサイトでなかったら、最初はガセかと思ったでしょう。

先の総選挙で比例代表での救済もなく惨敗、8期も続けた当選が途絶えて浪人された直後だけに、自殺の線も?と当初は思いましたが、5日昼現在の報道では病死、自然死に落ち着きそうですね。不眠に悩み睡眠薬を処方されていたとのこと。若くお元気で自民党の時代を担う候補として嘱望されていた頃から、とかく深酒、酒がらみの失態の噂の絶えない人で、自覚他覚症状以上に健康状態も潜在的に悪化していたのが、落選のショックで一気に出たのかもしれない。

長年の腰痛持ちとも伝えられていますが、肝臓が悲鳴を上げていると、しばしば腰痛、背痛としてあらわれるものです。

このブログ、3回以上来訪して読みかじってくださっている方ならとっくにご了解と思いますが、酒と言えば月河も嫌いなほうではない(どころではない)から、自戒の意味も含めて書きますとですね、日本や欧米のような文明資本主義国で、大手有名メーカーが公明正大に製造販売している製品ならば、「嘔吐するまで痛飲して、吐いた直後の空きっ腹にまた激飲」なんて無茶を無限リフレインしない限り、酒単体で、酒“だけ”が原因で、命が危ぶまれるほど健康を損なうことなんかないと思うのです。

資本主義は数量多く、継続的長期間にわたって売れ続け利益を上げ続けることを目指しますから、少数の病的な呑ん兵衛がガバガバ飲んでバタバタ死ぬような酒を造るより、大勢の普通の人が美味しいと感じ、長年適量をたしなんで、人生の晩年まで愛して継続購入してもらえる酒を集中して作るほうがずっと“燃費のいい”商売になるはずです。

問題は酒単体、酒を飲むことそれ自体にあるのではない。適量の範囲内でも毎日毎日飲まないでいられない、適量を超えても、公衆の面前で失態を演じても飲み続けずにはいられないという心理状態、社会的職業的状況こそが健康を損ない、寿命を縮めるのです。

昭一さんが20代の若さで日本興業銀行を辞め議員立候補する契機になったのは、もちろんお父上・中川一郎さんのまさかの自殺でしたが、地元が比較的近かったので、月河の実家父は仕事の関係で二~三度は面識があったようです。1983年(ご本人57歳、昭一さん29歳)にああいう形で亡くなられた後、「オニガワラの様な顔をしているのに、演説とか公的なスピーチ以外はびっくりするほど声がか細く、おだやかに話す人で、テーブルを挟んでの面談だと、オレなんか末席だから、ぐいんと身を乗り出さないと聞き取れないことがあった」「意外に神経の細い、気が弱い人なのかなという気はした、人は見かけで判断してはいかんな」と父が家族に話していた記憶も。

一郎さんの後を襲って政界デビューした昭一さんは、お父さんとはずいぶんイメージの違う白皙のインテリタイプで、慶應大経済→学士入学で東大法→興銀のエリートコースからの参戦、父上の果たせなかった総理総裁への道をまっしぐらに歩まれ実現されるかと思ったら、結局酒が、と言うより酒に走り頼らずにいられない、父譲りの繊弱な気質が致命的に足を引っ張ったか。

落日の自民党次代起死回生を担う政治家として、稀有な財政・農政政策通ぶり、国家観、国際ヴィジョンの優秀さを惜しむ声がマスコミ媒体には目立ちますが、何かっつったら“頭がいい、切れ者である”ことを過大に評価しすぎ、期待を負わせ過ぎる偏った傾向は、政界のみならず本当に国をあやまり、人の人生を狂わせる。頭の良さ、切れ者っぷりオンリーで突破し、どうにかできることって、世の中、実際には驚くほど少ないのです。

昭一さん56歳、一介の銀行マンで終われたかもしれない人生を、本日最初に啜る一杯のグラスの前に、ふと思うことはなかっただろうか。人には学識や知能指数とは別に、“器(うつわ)”“容量”というものがある。中川一郎の長男でさえなかったら、いろんな局面で山のように選択肢があったはず。

狭くて苦痛で、飲まなきゃやってられない人生に耐えたから、死が惜しまれ嘆かれるのか。人間の生は、死よりも皮肉です。ご冥福をお祈りします。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 末広がり | トップ | 踊る踊る踊る! »

コメントを投稿

ニュース」カテゴリの最新記事