昨日(22日)は高齢組家族が早朝からソワソワしているので、さてはアレが今日だったかと思い保険かけて録画予約。亀ちゃん卒業で話題の『相棒season7 “還流~密室の昏迷~”』。
……………このタイトル。純文学か。
せっかくなので、深夜ひとり再生して完視聴。いつものOPタイトル曲が、メロディはそのまま妙な英語詞の女声ヴォーカルになっているのがまずは若干気になりますね。プレシーズンからのファンの間では好悪分かれそう。
なんとなく、昔『北の国から』のあのOP曲♪あ~あ~あああああ~~ に「さだまさしが歌詞をつけたヴァージョンで紅白で歌うらしい」と聞いたときの呆れ脱力感を思い出しました。結局実現したんですかねアレ。さだまさしが嫌いなことにかけては日本で5本の指に入ると自負している月河、もちろん未聴ですが。
この新シーズン放送開始の番宣をかねて、当地では先月から日中に4・5シーズン辺りを再放送していて、15:00~16:00頃在宅の日はときどきお相伴視聴することがあるのですが、ウチの高齢組近辺の年代に『相棒』シリーズが人気な理由の一端はなんとなくわかった気がするんです。
ほら、右京さん(水谷豊さん)って、“辻褄の合わないこと、矛盾することを発見察知する天才”でしょ?
昨日の初回SPを例にとれば、ホテル廊下の防犯カメラ映像を見て「エレベーターから下りて部屋に向かうときは右肩にかけていたショルダーバッグを、部屋から出てきたときは左に掛けている、人間、この種のバッグを掛ける肩はいつもどちらか決まっていることが多い」「長時間掛けるときは疲れないよう途中で掛け替えることもあるが、入室するときはフロントでチェックインしたばかり、出て来たときは出て来たばかりで、途中で掛け替えたとは考えにくい」「従って入って行った人物と出てきた人物は別人の可能性が高い」ということを、懇切丁寧にセリフで説明してくれるんですね。事件謎解きモノを視聴するにあたっては、これは、特に中高年にはフレンドリーです。
ウチのメンバーの視聴態度や感想の持ち方を見るにつけても、“スピーディーにささっと提示して間髪入れず次の事象に行く”“映像ワンカットや台詞の一節で暗示して想像・推察させる”といった叙述法では、高齢者は速攻大半脱落します。
しかも相棒・亀ちゃん(寺脇康文さん)は正反対に“こだわらない性質”ですから、「まぁそうは限らない場合もありますけどね」「その時たまたまそうしてた、ってこともあるんじゃないですか?」等と、“人間は結構、大雑把で行き当たりばったりである”“首尾一貫した言動を取ると決まったわけじゃない”という思想に立脚した意見を差し挟む。そこで右京さんが「いや、人間は、火急のときは火急なりに、計画的な行動なら計画の段階で、知らず知らず規則性のある行動を選択してしまう動物なのですよ」みたいな反証を、これまた懇切丁寧に展開してくれる。
亀山が「そうでもないでしょう」と言うからこそ、右京さんは「いやそうなのです、なぜならばウンヌンカンヌンかくかくしかじか」と述べる機会に恵まれる。
“こだわり性”な右京さんと、“こだわらない性”の亀ちゃんが何回かやりとりを重ねるうち、自然と劇中に起きた事象の因果関係や、ストーリーの主眼が明確に印象づけられてくる。
広く大勢の人に理解させ認知させ共感させるための最大の武器ではあるけれど、ドラマからはスマートさを削いでしまいがちな“事細かな説明性”と“くどいくらいの繰り返し”を、右京&亀のキャラ造型の絶妙さでスマートにおさめてしまった。シーズン7を数え劇場版もヒット、来春はスピンオフ篇も公開予定という成功の勝因はここにあると思います。
初回SP本編のほうは、『女優・杏子』の天才肌劇団主宰・空(くう)さん、『緋の十字架』の大河内兄が懐かしい四方堂亘さんが久しぶりに惜しみなく善い人そうな役…と思ったら速攻殺されちゃいましたね。亀山との高校同期会シーンで「特攻服着て単車乗り回してた」という亀ちゃんの台詞があったので、回想ワンカット来ないかな、来たら録画永久保存版にしよう!と深夜ひとり色めき立ったのですが、さすがになかった(凹)。四方堂さんの特攻服姿、見たかったんだけど。
亀の天敵・捜一伊丹(川原和久さん)が計算ずくでキレて小笠原(西岡徳馬さん)に負傷させるくだりが良かったですね。「負傷させた状態で(任意聴取だから)“帰る”と言われたら取調室での暴行が公けになってしまう、だったら逮捕状出して逮捕拘留にしたほうがいい」と内村刑事部長(片桐竜次さん)にまんまと言わせてしまった。“長いものには巻かれろ”主義の組織人間伊丹、“上の使い方も下次第”を覚えたようで「おぬし、腕を上げたな」。
「(小笠原を)引っ張ってきたのは、特命ですから…(内村「だから何だ」)…確度が高いかと(同「バカモノー!!」)」の中園参事(小野了さん)、「居るならしゃべる、しゃべんないんなら帰るー(半泣)!!」の捜一ヤング・芹沢くん(山中崇史さん)もますますいい味。旧シリーズの再放送はここのところちょくちょく見て、やっと世界観像がつながって来たところへ、久しぶりの新作なので、何やら旧友に再会するみたい。
何だかんだで、いまウチ中で月河がいちばん『相棒』シンパシーかもしれません。
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