『カーネーション』も着陸態勢が見えてきたことだし、そろそろ視聴エネルギーを他の連続モノに割く余裕も出てきました。
んで、NHK総合で日曜23:00~放送中の『イ・サン』をDVDで、先取り一気見してしまった(疲)。
だってじれったいんだもの。全77話、先週38話放送でやっと全体の半分きましたが、世孫さま=サンvs.老論(のろん)派の構図、一進一退でまーーーー決着つかないのなんの。世孫さまったら、読んで字の如く皇太孫=お世継ぎなのに、多勢に無勢にもほどがある。完全な、ウラオモテないお味方って、宮廷中に五本の指で足りるほどしかいないじゃん。一気逆転の痛快な手って無いもんなのかなあ。まだらボケ英祖さま死にそうでなかなか死なないしさ。
『トンイ(同伊)』のトンイが産んだ子だから、カラダ丈夫なんだろうな英祖さま。やはり庶民の、雑草のたくましい血が入っていますからね。
まぁ韓国の連続ドラマの場合、週2話ずつの放送だそうで、付き合って同じペースで見てりゃそうでもないのでしょうが、DVD全話リリース完了してからアタマから一気見なんてやりますと、ある局面では「完全に話数もたせ態勢に入ったな」、最終話ふたつ前ぐらいでは「急ぎ撤収モードだな」とまるわかりになります。この『イ・サン』は、月河のにらんだところ、かなり、人工的に引き延ばしましたな。逆に言えば好評で、もっと長く見たいという声が多かったのでしょうけど。進展がね、あからさまに出し惜しみ、進ませ惜しみ、解決惜しみでじりじりしか行かないのね。陰謀一掃しようとすれば頓挫、処刑し倒すかと思えば手加減、そんじゃ市場改革、機構改革いってみるかと鉾先かえればまたまた邪魔。
じりじりはさせられましたが、ソンヨンのサンへの思いが、まぁ、かなってよかった。最後は悲しかったけれど。子供の頃から思い続けてきた男性の子を産むというのは女性にとって何ものにも代え難い幸せではありますが、相手が王さまですから、互いに思いを遂げるには宮中に入って側室にならねばならないというのが荷が重かったか。せめて子供が元気に育ってくれれば報われたでしょうに。元気に育っても、お世継ぎ=世子(せじゃ)になれないと、これまた宮中では居場所が無く、つねに邪魔者扱いされるわけです。万難排して世子に指名されたとしても、何かっつったら謀反人呼ばわりや、ヘタすりゃ毒殺暗殺、もっとヘタすりゃ米櫃に閉じ込められたりなんかする恐怖におびえて暮らさなければならないので、実にもう気の休まらない話。
とりあえず、宮中入り儀式(←正室=王妃ではないので、婚儀ではないと思います)での、ビスケットみたいなまんまる頬紅さしたソンヨンに、ウィンクする王さまのシーンが差最高でした。あれアドリブかしら。地上波放送はだいぶ先になりますが録ったら永久保存版にしときましょう。『チェオクの剣』ではいまいち、いま二、いま三…(中略)…いま八十六ぐらいだったイ・ソジン(李瑞鎮)さんが超ベリーキュート。晩年(と言っても正祖イ・サン、没年でも48歳ぐらいだったらしいですが)の紐ツル老眼鏡も、“メガネ男子クラシック版”って感じでイケてましたぞ。
賢臣ホン・グギョンの栄光と転落のくだりは、サブストーリーとしてかなり長い話数かけたわりには生煮えの感。もうひとりの野心家チョン・フギョムとの対照、抜きつ抜かれつをもう少し引っ張ってもよかった気もしますが、あちらが早めに、敵陣の中でもわりと潔く刑に服してしまいましたからね。
実妹・元嬪(うぉんびん)が王さまの側室となり自分は外戚に…という構図が見えてきてから、このグギョンという人物はどうとらえていいのかぼやけてしまった。“頭脳明晰、先見力あるがゆえに、権力と言う名の魔力に取り込まれて道を誤って行く”悲劇を描きたかったのかもしれませんが。色白でヌボーッと長身で、いい人顔のハン・サンジン(韓尚進)さんが、“悲劇を招くほどに切れ者”には見えなかったってこともある。終盤登場のおっちょこアイディアマン、チョン・ヤギョンとボケつっこみのコンビにしたらもっとおもしろかったのに。でも両人とも実在人物で、ヤギョンが側近に取りたてられたのは実際、グギョン亡き後のことらしいですしね。史実を変えるわけにもいかなかったのか。
初期は画員志望のソンヨンを生意気出しゃばり視してちょっと意地悪だった図画署のタク・チスさんが、春画上等のイ・チョンさんとともに、元・御真画師のウムダム様に師事してからというもの、地すべり的にキャラ変わってやわらかーくなってきたのも見ものでした。なんだ、ソンヨンのこと好きだったんじゃん。早く言えよ。勝ち目ないけど。ライバルが王さまだけど。
老論派=貞純大妃派との最後の一戦で、護衛隊一の腕利きソ・ジャンボさんが、えッ?昇進逸したのを恨んで王さまを裏切りミン・ジュシクに転んだ?と見せかけて実は?のくだりは短い時間だったけど結構ドキドキしました。韓国時代劇、出てない作品を探すほうが難しいんじゃないかってぐらい顔を出しては抜群の演武を披露してくれるソ・ボムシク(徐範植)さんはやっぱり長編のどこかで必ず見せ場がありますね。いつも“武道に長けた重鎮”という渋いムードで登場しますがイ・ソジンさんより3歳上なだけなのね。
イさんとソさんは昨年同国で放送された、百済時代舞台のドラマ『階伯(ケベク)』でも共演されています。3月から順にDVDリリースされるようなので、一度はいってみませんと。
何だか韓国連続ドラマって登山のようで、一作完走してひとしきり感動の波が去るとドッと疲れて、もー山なんか登るもんか!と思うんだけど、しばらく遠ざかると、またむらむらと挑戦してみたくなる。それも、高いほど、険しいほどそそられるという。困った境地になってきました。
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