昭和の漫画好きなら誰でも知っている金字塔的雑誌『ガロ』がなぜ劇中『ゼタ』になるのか不思議でしたが(@『ゲゲゲの女房』)、題字の絶妙なデザインのせいで、アレ、表紙の天を手前に、地を向こうにして見ると“ガロ”にも見えるように出来ているんですね。6月29日のOPタイトル明け、卓袱台に載せた創刊号を前にしげる(向井理さん)が布美枝(松下奈緒さん)とともに「いよいよ雑誌に進出だ!」と心機一転する場面、斜め俯瞰から下りていくショットで、一瞬“ガロ”と読めてしまいました。
創刊当時のリアル『ガロ』の表紙・題字がどんなんだったかは残念ながら子供過ぎて、周りにもガロ級の大人な漫画ファンも居なかったため記憶にないのですが、これはドラマの美術さんがワザありですよ。
…それよりも何よりも、イタチ浦木(杉浦太陽さん)に「月刊“ゼニ”!?カネ儲けの本!?」と読みまつがいさせるためのこのタイトルだったかな。
クチを開けば「カネ」「カネ」の物質主義代表イタチ、それにしては結構、銭湯代にも事欠いてニオってたり、競馬オケラで腹すかせてたりで、滅法効率の悪い儲け主義のようですが、最近詩の同人誌を考えているという太一に布美枝「何を作ってるんですか?」イタチ「爆弾か!」しげる「オマエはだまっとれ」の卓袱台シーンや、「はるこさん(南明奈さん)の様子がどうもおかしいんだ、オレの仕事を“もう受けられん、漫画に専念する”と言うんだ」しげる「んーちっともおかしくないがな」など、“生活が貧乏なのは仕方がないが、人間まで貧乏臭くなってはいかん”という、言わば精神主義代表のしげるとの当意即妙かけ合いは、最近ますます面白い。いつ見ても、“カネ、カネ”のイタチのほうが、本物の貧乏のしげるよりも、むしろ貧乏臭いのが愉快ですね。
イタチにしてみれば“カネ儲けに興味がなく、カネがなくてもさっぱりがっついた素振りを見せない、それも夫婦揃って”と、自分と対極なしげるが、ある程度いつも身近な視界にいてくれないと、自分の存在意義を確認できないのかもしれません。
「相変わらず貧乏暮らしだなあ、オマエはカネ儲けの才がないからダメなんだ、その点オレの世渡りのうまさを見ろ」と減らずグチを叩き、虚勢なのに虚勢と自分では気づいてない見栄を張って見せる相手がいないと、イタチならぬウサギみたいに淋しくて死んじゃうのかも。
しかしこれからしげるさん、上昇軌道に乗り貧乏脱出していくのは既定事項。浦木はどうなるのかな。「もっとうまい締切りの逃げ方があるぜ、ついてはコンサルタントとして手数料を」とかなんとか結局つきまとうのかな。「ガツガツ机に向かってガリガリ書いて、肩凝らして、疲れて儲けるなら誰でもできる」「ラクして、遊んで、それでも儲けるのが、オレの様な賢い人間のやり方よ」とか、洗濯の行き届かない安ピカ服着て、ヘラヘラ言いそうだな。
それにしても昨日(6月30日)放送で、こみち書房借地の地主さん・和田洋品店のご主人役で九十九一さんが出てきたのにはびっくりしました。『お笑いスター誕生!』から30余年。顔出しタレントよりも作家さんとしていろんなTV番組に携わっておられるとは仄聞していましたが、NHK朝ドラでお会いするとは。役の関係もあるのか髪型や髪色に年輪が感じられますが、体型風貌はあまり変わられませんね。登場一番「あ!」とすぐわかり、初見ではあえて見ないキャストクレジット巻き戻して確認しました。
そう言えばセットのこみち書房に入るすずらん商店街路地の突き当たりに、“九十九”と藍地に染め抜いた暖簾のお店があったなあ。何屋さんだったかな。ちゃんと映っているカットを探して確認しようか。
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