韓国ドラマ、特に戦後~現代ものを見ていると、男性キャラがドス声でガナったり女性人物がキイキイ金切り声で泣きわめいたりする音声と並んで、激昂のあまりテーブルの上にある水でもお茶でも、差し向かいの相手にビシャーぶっかけるシーンは、無い作品が無いくらいお約束のようについて来るのですが、これってドラマだからオーバーに演出しているんじゃなくて、リアルに日常やっている人たちがかの国には存在するらしいのでした。
くだんの大韓航空チョ姉妹のお母さん=オーナー会長夫人も、現場で警備員や庭師、家政婦などに“銅板の様なもの”を投げつけたりしていたとの証言が出ていますね。いやードラマの典型的な“財閥の奥さん”まんまじゃないですか。
ドラマは、退屈な現実をそっくりなぞっていたら面白くないし視聴率も取れないので、大袈裟に、カリカチュアライズして演出されているのだろうということは想像できますが、それにしても母国の視聴者が見て「あるある、ありそう」「財閥一族の奥とか娘ってこんな感じだよね」と日頃抱いているイメージとある程度一致しないと、逆に「嘘っぽい」とそっぽ向かれそうでもあるので、実はかなり現実の、実在人物たちの赤裸々な実態を切り取っているのかもしれません。
問題の一族女性たちが会議室や役員室で社員たちを叱ったとされる録音音声、あの韓国語なのか何語なのかすら判別しがたい(でも放送では翻訳テロップついてました)、ジャングルの野獣の咆哮のような叫び声は、ドラマ中、財閥や大企業一族の設定でなく庶民の女性設定でも、裏切った恋人や、恋敵の女や、亡親の仇の金貸しとかを罵倒する場面でしょっちゅう発していますし、目下の女性から目上に対しても頻々と水をかけます。「怒りや悲しみの激しさを、声量で表現する」「あなたを軽蔑します、大嫌い、死ねばいいのにという意思の表現として水をかける」というのは、ドラマならぬ実生活上の、かの国の伝統文化にあるのでしょうか。
いまBS11放送中(月~金AM10:00~)『明日もスンリ!』なんか、ヒロインのスンリ(最近はアイライン目尻長めの般若メイク、チョン・ソミンさん)と財閥会長夫人の連れ子ジャギョン(ネットでは“偽三田寛子”でおなじみユ・ホリンさん)がほとんど毎回咆哮し合っているし、咆哮の末デスク上のファイルや文房具をぶちまけたり、水かけも一再ならず。ヒロインを一途に守るヒーロー役ホンジュ(イノシシ顔なのにちょいナルシスト設定なソン・ウォングンさん)も、息するようにウソつく隠蔽する出世の亡者ソヌ(“リトルヨン様”でおなじみチェ・フィリップさん)も、女たちに結構かけられてます。
どっちかというと水かけ=女の反乱、ヒステリー、という共通理解があるのかもしれない。
それとも、逆にあれかな、あの国の大企業一族の女性軍、ヒマですることがないからテレビばっかり見ていて、ドラマに毒されて真似しているのかな。ドラマが現実をお手本にしているのか、現実がドラマを追いかけているのか。
昭和40年代、月河が小学生坊主の頃は、親世代、学校の教師世代の大人がダカツの様にテレビを嫌い、敵視していて、「テレビばっかり見てたらバカになるから!」と口癖のように言っていましたし、テレビCMやアニメで覚えたフレーズや歌を口にしようもんなら「バカだからテレビのマネなんかして!」と烈火のごとく怒られたものですが、南北問題の緊張や政治危機をよそに、かの国のセレブ女性はまさに、日本の昭和40年代の小学生坊主レベルに居るのかもしれません。
誰か言ってあげればいいのにね「お嬢さま方、テレビばかりご覧になっておられると、愚か者におなり遊ばしますよ」。
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