昼ドラにせよ再放送ドラマにせよ、昼間のTVを留守録しておいて3日分ぐらいまとめて夜観ると、CMはほとんど化粧品と洗剤と保険(爆)。あと地元パチンコ屋チェーン。日本にはほかに産業が無いのか、と思うくらい。
いまの日本が如何に“現在の手持ち”に執着している国かということがここにも如実に表れています。
昼間の1:00~4:00前のTVはほとんど主婦か夜勤の人しか見ませんから、化粧品も「流行りのメイクで旬のアイドル顔になっていっちょイテコマそう」という主旨ではなくてひたすらシミ、くすみ、たるみ、毛穴など“加齢の悪影響を最小限に食い止める対策”。
保険に至っては、「入院したら自己負担月○万円」「通院でも○千円」「ご主人だけじゃない、奥さんが入院しても、食事の支度子供の世話どうしますか」とたたみかけるように脅し、「働き盛りのうちに保険料は払い終わったほうがいいって」「健康だったら保険料もったいない?大丈夫、10年健康なら無事故ボーナス○万円」」「万一のときはお葬式の費用も負担、ユニークでしょ」と駄目を押す。コレぜんぶ「アンタの将来は病気に収入減、負担増大で真っ暗暗。いまがいちばん安泰で恵まれてるんだから、カネ出せるうちに出して、真っ暗になったときのせめてもの灯りを買っときな」という洗脳。
昔も保険会社のCMはありましたが、♪ニッセイのおばちゃん今日もまた~ などごく牧歌的なもので(アレもいま考えると別の小ずるさ、気持ち悪さがありましたが)、こんなに具体的に画面に数字出して「幾ら要るんだから幾ら払っとけ」みたいな暗澹たる気分にさせるものではなかった。外資系が規制緩和で参入して来てから様相が一変したのですが、期せずしてその頃から、日本も、日本人の思考回路も一変したようです。
特に「お子さんが大学まで進学すると必要な養育費は1人○千万円」「クマったわー」なんてCMは、本気で少子化対策を考えるなら放送差し止めにしたほうがいいと思います。アレ見た人の大半が真っ先に思うことは「おっしゃ、んならいっちょ学資保険入ったろか」ではなく「そんなにかかるなら当分、いや一生、子供はこれ以上作らないぞ」のはず。
…まぁ、CMは気分悪かったら早送りにすればいいだけの話ですが、期待大だった『麗わしき鬼』(フジ系月~金、13:30~)、2週めで早くも録画継続が微妙になってきました。
面白いか/面白くないかで言ったら、この枠の前作、前々作辺りと比べると確実に面白いのですが、何て言うか、“面白くするためのストーリー上・演出上の仕掛け”、つまり“手段”が、“目的”になり代わっちゃってるような塩梅なんだな。
ホモヌード写真の部屋、大人ゲイの女装(かつ30代の俳優さんが設定18歳の若づくり)、四六時中赤ん坊ぎゃーぎゃー泣いてる中でのDV三昧、レイプに撲殺、倒れたらアイロンコードで首絞め、終いは死体の傍で中年女優同士の熱い抱擁…と、昭和の庶民生活感溢れる貧乏くさいセットの中でなまなましい場面がこれでもかと続くだけではなく、「おっぱい」「オシッコ」「(分娩中の産婦に)(赤ん坊の)アタマが見えてますからね、次イキんで」「キミがオーケーなら2人で泊まらないか」など白い歯を出してためらいの気配もなくさわやかに口にするヒロイン相手役、昨日放送分では相手役の前妻と父親が、5年の婚姻中子供ができなかったことについて「ワタシは卵巣も卵管も子宮内膜も正常なんです」「セックスの機会がなかったんじゃないのか」とでかい声で言い争うなど、“ドラマを面白くするために刺戟の強い場面やセリフを入れ込んでる”のか、“刺戟の強さこそがドラマの唯一最大の面白み”と思うべきなのか、もはやよくわからない状態。
人間、静穏な中にポッとひとつ刺戟を受けると、さほどの強度でなくてもビックリしますが、相当強い刺戟でも間断なく続くと感覚が麻痺してしまって、しまいには刺戟をいくら強くしても反応しなくなってしまう。このドラマ観てると、超音速機の離着陸繰り返すそばでクサヤの干物焼きながら行者ニンニク入り激辛カレー大盛りを食べて足裏マッサージ受けデザートはノニジュース、みたいなもので、どの刺戟がどんな刺戟で、どれくらい強いのか、いま自分が刺戟を感じてるのか感じてないのかさえ判然としなくなってきます。
回想数秒のお姫様抱っこひとつ、マジか罠かヤケクソかわからん寸止めキスひとつで、すわ!?と胸ときめいていた『美しい罠』と同枠なのが嘘のよう。中島丈博先生のオリジナル脚本ですから男×女の絡みに色気が希薄なのはある程度当然ですが、これだけびっしり隙間なく刺戟また刺戟のつるべ打ちでは、もう合間にどんなラブシーン見せられても、萌えもカスリもしないでしょう。
OPタイトルクレジットの映像からしてそう。多感そうな制服女生徒たちのスチール写真だけで十分胸騒がせる気配なんだからそこで踏み止まっとけばいいのに、カットバックで新生児2人のスチール、ビー玉、闇バックに火花、グラスから溢れる赤い酒と水色の水、サイコロ、トランプ、カラーサンド(色付き砂)、最後は月影に舞う羽…と、色鮮やか、うつろい易げ、危なげなヴィジュアルなら何でも出しとけみたいな盛り沢山さ。
この枠ですでに数々の実績を出している中島さんの登板でもあり、製作陣も「ウチの(枠の)客の嗜好はわかってるから、序盤からバンバン狙って当てに行くぜ」って姿勢のよう。狙いは間違ってはいないと思うんですが、“ちょっとやそっとの刺戟では感じない客”をどんどん増やして、製作陣、自分らで自分らの首ギューギュー絞めて寿命縮めてるの、気づいてるのかなぁ。
そうは言っても、“熱血学園もの”“さわやかトキメキ青春もの”、あるいは“ほがらかしんみりホームドラマ”が昔からまったく受け付けず、“コメディ風味のロマンチックラブストーリー”もケツがこそばゆく、さりとて“○○殺人事件”“誰某の事件簿”のたぐいもうんざりだ…という月河のようなヘチャムクレた視聴者が、それでもとにかく面白いドラマ観てぇー!!何かねーのかよ!!と思ったら結局先般の『華麗なる一族』や『ハゲタカ』、『復讐するは我にあり』のたぐい(どんなタグイだ)、さもなければ昼ドラに活路を求めるしかないわけです。
来週TBS系『暖流』が同時間枠でスタートする(こちらはMBS毎日放送の制作ですが、放送一週間を切ったというのにいまだ公式サイトすらない脱力な製作姿勢)ので、当分は両睨み両天秤。しかし“帰宅しても巻き戻して観るのが楽しみなドラマが一本もない”冬の時代が久々に到来するのかもしれません。
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