社長!もうすぐクリスマス来ますけど、今年のクリスマス商戦どないしましょ? もう玉ありませんで。
なぬ〜! 一年で一番消費者の財布の紐が緩むんはクリスマスやで〜 玉が無くとも何とか考えろ〜!
社長!それやったらあの手がおます。あれでいきまひょ〜
などと関西訛りの英語で年末販売企画会議が行われたかどうか定かではないのだが….
時は1964年の8月、丁度その前の月に契約上の関係で映画の主題歌を収録したサントラ盤が他社から出たので、それ以外の契約上影響のない曲を集めたアルバム、Something Newが発売されたばかり。

(1976年再発のオレンジ・キャピトル・レーベルのレコードでごわす)
その当時は年間2枚のアルバムを出すのが普通で、しかも必ず歳末商戦を当て込んで11月に新譜のアルバムを出すのが業界のデフォであった。
英盤の編集方針に従わず、アルバムに収める曲数を削減しさらにはアルバム未収録のシングル盤の曲を追加して発売アルバムの数を水増し短期間にアルバムを出し続け大ヒットを連発し成功を収めて来たのだが、1964年の年末は厳しい状況のようだった。
そこで思いついたのが、ラジオ・ドキュメンタリー仕立ての2枚組アルバム、The Beatles'Storyなる物でナレーターがバンドの伝記なるものを淡々と朗読、時折ビートルズ自身やオーケスラによる断片的な演奏が被り、さらにはバンド・メンバーや女性のビートルマニアの興奮したインタビューなどが収録されたマニア必聴かつ至福の約50分を味わえるとの触込み。



これなら、ビートルズの新譜が無くとも制作可能。だけどPRを兼ねたノベリティー要素が濃いこの2枚組レコードをそれなりの価格で売るなんてほんと関西の商人もびっくりのたくましい商魂!
てなことで1964年の11月にリリースされたのだが、何と年明けの1月には何とアルバム・チャート7位となり数週間チャート内に君臨しゴールド・ディスクを獲得! ビートルズ様様、すごいの一言。
字幕がついた映像でもあれば英語が不得手な私なんぞにも鑑賞に耐えうる代物かもしれないが、時折彼らの歌声が鳴り響くも、やっぱり50分に渡って何のことを言ってるのか皆目見当のつかないナレーションやインタビューの声をずっと聞いていても心に響かない。
そのような理由で今までこのレコードは手にしたことがなかったのだが、5−6年前に The U.S. AlbumなるCDのボックスセットを買った時にこのアルバムがもれなくついて来たのを思い出し、本日は肝試しといえば語弊があるが一体どんな内容なのか一度聞いてみようと先ほどCDプレイヤーに載せてみた。

思った通り何の事を言ってるのかチンプンカンプン、聞いているうちについウトウト、何と無く目が冷めるとすでに50分終了で別の意味で至福の時を得られたのではないかと。
もしか寝不足気味なら、就寝前に聴いてみたらいかがですかね?