今年の最後を締めるアルバムとして、ビートルズの最終作LET IT BEでも聴いてみようかと。
アルバム・ジャケットには、メンバーの集合写真は無くバンドが解散されることが象徴されたデザインである各人のポート・レイトが使用された。但し米盤や日本盤は、ある時期までゲート・ホールド式のジャケットを採用し、インナーにはLET IT BEの映画作成時のグループの集合写真を含んだスナップで構成されていた。
メンバー四人の分裂状態を表していたのは、LET IT BEの制作の一つ前のオリジナル・アルバム、THE BEATLES(ホワイトアルバム)で、これまた各人のポート・レートをアルバム・ジャケットに採用した。
この時期から各人が個別に曲の骨格をレコーディングした後、必要ならば他のメンバーの演奏やボーカルをダビングし肉付けする方式で曲を制作することが多くなることで、共同作業が少なくなりグループ解散への方向に進むことになったと思われる。
露骨な個人的制作形態が解散イメージにつながらないようにするため、四人のセッションを映像化することが企画されたれたのだが、グループの一体感を出すつもりが反対にメンバー間のギクシャクぶりを余計に映し出たのと、楽曲の出来がビートルズの作品としてはイマイチだったことから、お蔵入りになった。
名誉挽回のため制作された次作ABBEY ROADは、LET IT BEより先に世に出たのだが、実質的には最後にレコーディングされたアルバムであると一般的には称される.
しかしながら、69年にゲット・バック・セッションに登場したもののアルバム収録は見合わせられた、ジョージ作のI ME MINEをLET IT BEに収録するため、この曲の再レコーディングがABBEY ROAD発売後の1970年1月ジョージ・マーチンのプロデュースの下、ジョン抜きで行われたようだ。
アンソロジー3に収録された音源はその時のもので、曲の冒頭で、ジョージが⎡DAVE DEE GROUP(当時イギリスで有名だったポップ・バンド)のリーダー、DAVE DEEはすでにバンドから脱退したが、残りのメンバーは、良い仕事を続けるためEMI NO.2スタジオにやって来る。⎦などとジョンが不参加だったことを他のバンドで比喩したジョークを披露している。
後にフィル・スペクターによるLET IT BEを再プロデュースで、かってレコーディングされた各曲のテープは切り貼りされ、またブラスとストリングスがダビングされ完成した。
I ME MINEも同様に、同じ箇所を繰り返す編集により1分ほど曲の長さが延長され、4月1日にストリングスをダビングすることによって翌日最終のミックス・ダウンが完了した。
ジョージはフィル・スペクターの再プロデュースの作業に立ち会っていたみたいだが、他のメンバーとジョージ・マーチンはその場に居なかったというなんともさびしい幕切れであった。
それでは皆さま、良いお年を!
The Beatles - I Me Mine (Anthology 3 [Disc 2])