1985年久々に発売されたジョン・フォガティのソロ・アルバム、CenterfieldはCCR時代を彷彿させる内容で全米1位の大ヒット作となった。これに気を良くしたジョンはソロになってから最も短いインターバルで翌年にアルバムを出すことになる。
それが1986年の問題作、Eye Of The Zombie。
何を思ったのか、ジャケのアート・ワークにちょっとグロテスクな獣と人間が合体したようなミュータントが登場。
さらにびっくりしたのは1曲目のGoin’Back Home。のっけからシンセによるコーラスが登場し後半にはギターも出てくるインスト・ナンバーでが本人の歌唱は一切なしと言う異例の幕開け。
2曲目のEye Of The Zombieから従来通りの通常運転と思いきや4曲目のKnockin’On Your Doorそして8曲目のSoda Popなんかはモータウン系の軽いサウンドで違和感が…
ドラムスにはJohn Robinsonなる人物がクレジットされているが、打ち込み系のドラムのような演奏はジョンのアルバムにはふさわしくない気がする。
やっぱり前作、CenterfieldのようにR&B、ブルースそしてカントリー・ポップをあの豪快なボーカルで歌いまくるのがジョン・フォガティだと思っている昔からのファンとしては、良い曲もあるがちょっと取っ付きにくいアルバムてな印象。
また、前作に収録されたThe Old Man Down The RoadがCCR時代のRun Through The Jungleと酷似しているとCCR時代のジョンの曲の版権を持つ前所属レーベルのファンタジーから訴えられることに。
そして当時のファンタジー・レーベルの経営陣を憎しみを持って揶揄した前作収録のMr.Greed (ミスター守銭奴、ファンタジーの経営者、Zaentzのこと)とVanz Kant Danz (Zaentzとキャッスル投資銀行のKanterの名前をもじった)なども訴訟の対象となった。
これらの厄介な訴訟問題とEye Of The Zombie自体の売れ行きも芳しくなく、嫌気がさしたのかジョンは音楽活動から一時身を引く事になり、次作Blue Moon Swampが出るのに10年以上待たされる事となった。
その後ジョンのコンサートでもこのアルバムから2009年に出たアルバム、The Blue Ridge Rangers,Rides Againで再録されたChange In The Weatherを除いてはほとんど耳にすることはなかった忘れられたアルバムとなった。