何故なら、レコードのジャケットには、 バンド名もアルバム・タイトルも記載されていない代物だったからである。
クロム・メッキされたジェット戦闘機のような模型を手にしてぼんやりとこちらを眺める素っ裸の少女が映し出されていて、ジャケ裏は草の生えた丘の斜面というそっけないそっけない写真。
当時としてはちょっと刺激のありすぎ、クレームを恐れて別のシンプルなジャケットがつくられた。
アメリカ盤ジャケット、バンド・メンバーのモノクロ写真
これがBLIND FAITH(盲目的信頼)の1969年の作品。
結成したばかりだったので、制作したアルバムには6曲のみ収録、しかもB面は2曲のみで、うち一曲はジンジャー・ベイカーの15分にも及ぶジャム・セッション風の楽曲でタイトルもDO WHAT YOU LIKE(お好きなように)ってB面の穴埋めに使われたような楽曲だった。
どうもやっつけ仕事の感ではあるが、アルバムは全米全英一位を獲得。
何しろ 、バンドを構成しているメンバーそれぞれが前所属バンドですでに名声を博し、無名ではなかったからである。
クリーム解散後、エリック・クラプトンが、活動停止中のトラフィックのスティービー・ウィンウッドと組んで新しいバンドを結成することで意見が一致。
当時クラプトン自身はクリームとは全く別物のグループを作ろうと思っていたが、彼の意図に反し、特別腕の立つドラマーが簡単には見つからないことから、結局クリームのメンバーだったジンジャー・ベイカーを採用、そして、ロック・バンド、ファミリーからリック・グレッチをベーシストに加えて、グループを結成となる。
これでツアーを行うとなると、演奏曲目が足りなくなり結局クリーム時代の曲やトラフィックの楽曲を仕方なしに演奏することになったようだ。
皮肉的な意味も込めてBLIND FAITH(盲目的信頼)と命名したのだが、クラプトンとしては、実際のところクリームの過去の名声によって、ファンから盲目的信頼を受けているように感じ、当初の意図したクリームから目論見から外れたものとなり、グループはツアー終了後解散した。
しかしながら、このアルバムでクラプトンが作った、ゴスペル・タッチのPRESENCE OF THE LOAD(神の存在)は、アメリカ南部のルーツ・ミュージックのような楽曲だったし、ブラインド・フェイスでのリード・ボーカルをスペンサー・デイビス・グループ在籍時代から 英国の天才ボーカリストとして高音部で伸びのあるソウルフルな歌唱で名を馳せたスティービー・ウィンウッドに任せ自身はギター演奏に専念したことから、後日デラニー・アンド・ボニーのサイドマンとして参加したのは自然な成り行きだったのではないかと思う。
個人的には、このアルバム各人の個人的技量により個々の楽曲はよく仕上がっていると思えるものの、やっつけ仕事って感じでやや物足りない。
無名のバンドのデビュー・アルバムだったなら、全米全英1位とはいかなかっただろう。やっぱり過去の実績からの盲目的信頼によって勝ち取った成功とクラプトンは感じていたかも…
助手:商売でもやっぱり信用と実績っていうのがなければ成り立たないですからね〜
博士:その通りじゃ! 我々も早く信用と実績をつけてこのブログを発展させていかねばならんと思っておる。
助手:ちょっとそれは無理な話じゃないかと…
もしクラプトンがこのブログを書いているなら、盲目的な支持は得られるかもしれませんが、現実は無名の博士が結構いいかげんなこと書いてますからね〜
再発のLP買ってみた。ジャケの表の写真がCD比べて迫力がある。中高生だった当時これを購入するため、レコードショップの出かけ、俺はブラインドフェイスのファンだという顔を無理やり作っても、もしレジに若いおねいさんが座っていたらやっぱり躊躇するね〜。ジャケ裏はオリジナル盤と異なり新しく作成したようで、少し興ざめ。 ジャケットにはMADE IN EUと記載されているが、シュリンクの上からMADE IN NETHERLANDのスティッカーが貼ってある。
貿易業を営んでいるとよくMADE IN EUなる表示が見受けられる。EUという表記は当然旧東欧諸国、チェコ、スロバキヤ、ハンガリーやポーランドなんて国も製造地として含まれ、さらにあの財政破綻寸前のギリシャなんかも入ってくる。MADE IN NETHERLANDのスティッカーが貼ってあるのは少し良心的かな。だけどNETHERLAND製だからと言ってクオリティーの高いという保証はないのだが。