箱物と言えば、無駄な公共施設の建設に重点を置く箱物行政なる熟語が思い起こされ良く無いイメージが時として付きまとう。
確かにと頷く。
この省エネ時代“無駄を無くす”って言葉が賞賛される様になり、ようやく行政も何が何でも箱物!なる呪縛からようやく解き放たれた今日この頃である。
しかし、その様なムーブメントに逆行しいまだに箱物に固執している業界が存在する。
そう!音楽産業のことだ。
何十周年記念なる宣伝文句の元、オリジナルだけでなくデモやアウト・テークなどあるものなんでも過去の音源を集めリマスターもしくはリミックスを施し再編集。
それらをCD、レコードやその他のメディアに落とし込み、豪華ブックレットやその他諸々のオマケを付けて箱物として高額にて再発する手口である。
アーティストの集大成!なる甘味な宣伝文句に負けてしまいついつい買ってしまうのだが、実際のところ殆ど聴かない。
全日本箱物愛好会の末席を汚す私の様な中途半端なコレクターは、一旦PCに音源を高音質で取り込んでしまえば、シュリンクを丁重に剥がして箱からわざわざCDを取り出して聴く様な面倒臭い事はしない。
助手:博士!部屋の隅に埃をかぶった分厚い辞書の様なボックス発見しました。
博士:ああ〜 それか。2012年に出たポールの2枚目のソロ・アルバム、Ramの箱物じゃよ。
(オリジナルCD、ボートラCD、オリジナル・モノ・ミックスCDに歌のないオーケストレーションRamの4枚組、更に絶対音感がなく老化現象による聴力低下のオジンには無用の長物なるハイレゾ・ダウンロード・カードも漏れ無くついてくる最強盤)
助手:シュリンクも残っているし、フタを開けると全く新品じゃ無いですか!
(本当新品といっても差し支えないコンディション、コスパ悪すぎ!)
博士:PCに一旦ダウン・ロードするとCDはもう面倒で聴かないし、豪華ブックレットやオマケの封入物は手垢がついたりしない様全く触れておらん。
助手:単に所有欲の為とは言え勿体無いですね〜
博士:本当、面目無い次第じゃ。ワシの子供がそのコレクション引き継いでくれればいいのじゃが、生憎価値の高いものは持ち合わせていないし、そもそもロックに興味が無いみたいじゃからのう〜
ビートルズ? テレビで聞いたことがある様な〜 ストーンズって石屋さん? ディラン?、知らん、って感じじゃからのう。
助手:何年かしたら、断捨離で中古屋で処分ってとこですかね…
博士:ただ中古屋で処分するのも、何だかな〜
以前、何ちゃらオフってとこに、全く聴かないLP何枚かを試しに売りに行ったら何と査定価格が一枚10円。持って帰るのも面倒なので処分し帰ってきたのじゃが、その時のがっくり感がいまだにトラウマとなっておるのじゃ。
まあ有名な中古レコード専門店ならもう少し色を付けてもらえるかもかも知れないが、ここからかなり遠いのじゃ。
助手:それじゃ、もうこれからは高い箱物一切購入しないことですね。
博士:あい分かった! 反省します。
ところで、今年Let It BeとジョージのAll Things Must Passの豪華50周年記念盤発売されるんだっけ?
むむ〜 懲りないオジン。
アンタは箱物でビルでも作っておきなさい!
出来ました〜
夕日に輝く高層ビル、ヘリポートはポールのRam!