な、な、なんじゃ〜 これは〜!
新譜のマスター・テープを聴いて、リプリーズ・レーベルの幹部が飛び上がったかどうかは定かでは無い。
アメリカでの発売が却下となったMarc Bolan & T.Rexの一味が制作した1975年のニュー・アルバム、Zinc Alloy And The Hidden Riders Of Tomorrowのアメリカでのプレスは却下され、ヨーロッパ、日本その他一部地域のみでの販売となった。

(邦題はズィンク・アロイと朝焼けの仮面ライダー、ズィンク・アロイは亜鉛合金で何と無くアメコミに出てくるような怪人のイメージか? Hidden、隠されたという意で顔が隠されたライダー、すなわち仮面ライダーとなる。Tomorrowは明日を象徴する明け方と考えて朝焼けって言葉が登場。ネット上ではマークが来日した時仮面ライダーの番組を見て思いついたそうな。ホンマかいな〜?)


(Marc Bolan & T.Rexの一味)
1974年David Bowieがアルバム、Diamond Dogsを出した後アメリカ・ツアーを敢行、そこで徐々に芸風がソウルへと転換し、翌年プラスチック・ソウルと呼ばれたアルバム、Young Americanを出して大ヒットを飛ばす。
グラムの終焉を感じ始めたMarcがこれに感化されたかどうかこれまた定かでは無いが、このアルバムのベクトルが同じような方向だと感じた。
かってのヒット・シングル、Telegram Sam、Metal Guruや20th Century Boyなどのグラム特有の怪しい雰囲気の素がパラパラ振りかけられたお馴染みのロック・ナンバーをこのアルバムに期待してはいけない。
ここにはスローからミディアム・テンポの甲高いバック・コーラスに彩られた少々地味な味わいのグラム風ソウル・ナンバーがずらりと。
このノリにハマることが出来るかどうかで、このアルバムの評価が決まる。
ちなみにアメリカでは、レーベルをカサブランカに変更して、このアルバムから3曲そして次作のBolan’s Zip Gunから8曲調達して合併アルバム、Light Of Loveが発売されたとの事。
Bolan:あんさん、商売上手でんな〜
Bowie:なんの、なんの。アメリカ・ツアーでオーティスのR&B、Knock On Woodのカバーをサービスのつもりで演ったら意外に受けてね、ツアー自体も最後あたりは自然にソウル・ツアーに変わって行ったからね。もうホント、ラッキー!
Bolan:こっちなんか、プレス拒否られオマケに必死で作った2枚の新譜1枚に編集しやがって! もうホンマにわやや!
Bowie:ワシが思うに、あんさんグラムのスパイスかけ過ぎたんと違いまっか? ツアーして分かったけど、アメリカではとっくにグラム終わってましたで〜
万人ウケする世界の味の素かけときゃよかったのに... いつでも〜、どこでも〜♪♪ 中略 マイ・ファミリ〜 アジノモト〜♪♪ ってアンディさん歌ってましたで〜
てな会話があったかどうかは定かでは無い。
ロックは各々の感性の問題。誰がなんと言おうと良いと思えばそれでよし。
ただ、商売として考えると流行の波に乗らなければ、全く売れないで終了てなことも。
このアルバムはその後一周回ってようやく評価されたものの、ボランさんはもうおらんかった。

(2014年の再発LP)