10ccのメンバー達は60年代からそれぞれのバンドで活動しながら腕を上げてきた。そして70年代になって意気投合した4人が10ccを結成したが、当時は他のミュージシャンの裏方に回るセッション活動に時間を取られ、自身のバンド活動がおざなりとなっていた。
メンバーの一人、エリック・スチュワートの友人のジョナサン・キングがレコード会社、UK Recordsを設立した事を聞きつけ、新曲のDonnaのテープを送りなんとか契約に漕ぎ着ける事に。
そして1972年にDonnaがシングルとして発売されるとなんとUKチャート2位と人気を博し、翌年セルフ・タイトルのアルバムを出すことに。アルバムからカットされた3枚目のシングル、Rubber Bulletsがチャート1位に輝きアルバムも36位と幸先の良いスタートを切った。
その翌年の1974年にはセカンド・アルバム、Sheet Musicが登場し、これまた全英9位とさらに躍進することに。
ただ弱小レーベルからレコードを出すと、どうしてもマーケティングが弱い。一応販売ルートはイギリスがデッカ、アメリカはロンドン・レコードとストーンズと同じ販売ラインではあったが大手のレーベルが直接管理するバンドではなかったので、後一押しが足りないと10ccのメンバーは考えたのか、彼らは1975年大手のポリドール系のマーキュリー・レーベルに移籍して3作目のアルバム、Original Soundtrackの制作することに。
一方ドル箱の10ccが抜けると売り上げに影響が大きく出たのか翌年にUK Recordsはあえなく解散する羽目に。
その後80年代、10ccの初期2枚のアルバムはマーキュリー・レーベルが再発し、90年代になるとイギリスのキャッスル・コミュニケーションが再発の権利を獲得も、その後廃盤。
ちなみに日本ではオリジナル盤はキング・レコードが出していたが、UK Recordsの解散によってその後は廃盤扱いとなる。2000年代になってテイチクがインペリアル・レコード名義で日本での再発権を獲得するも再発されたのはCDのみ。
このセカンド・アルバム、Sheet Musicを持っていなくて、いつか手に入れようとオリジナル盤の中古を探していたのだがコンディションが良くない割に結構な値付けされているので諦めていたところ、イギリスの再発専門レーベル、ノット・バッド・レコードがジョナサン・キングからの許諾を得て2014年に再発したので衝動的に買ってみた。
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(赤丸に白抜きの宣伝文句が記載されているが、これがシュリンクの上に貼られたスティッカーではなくジャケに直接印刷されていて、ヒプノシスの渾身のデザインをぶち壊し)
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(透けて見える黄色のカラー・レコードはジャケの色合いにマッチしていてNot Badかな?)
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(OKの指サインがNot Badを意味している)
ジャケの仕様が完全にオリジナルに準拠していないのは残念だが、レコードは180グラム重量盤の黄色のカラー・レコードで針を下ろしても新品のレコードだけの特典とでも言えるビチパチ音が全くなくオイラは大満足。
社名通りノット・バッドなレコードだった。