中学生になると寝たふりして布団の中で遅くまで深夜ラジオをよく聴いたものだ。
フォーク・ソングにヤング歌謡、そして私のお目当てはやっぱり洋楽。
AMの放送だったからシングル盤としてリリースされたものが中心にオン・エヤーされ、今のサブスクみたいに何度も繰り返して聴くことが出来ないので、私のような英語のわからぬ一般人は聴いて一発でハートを射止めるような曲でないと、わざわざレコードを買ってみようかって気にはならなかった。
例えばショッキング・ブルーの“悲しき鉄道員”、エルトンのイエス・イッツ・ミー、CCRの“雨を見たかい”などなど結構インパクトがあって日本では売れた。
そしてこのお方達も忘れてはならない。
カナダ出身のバンド、マッシュマッカーンのヒット・シングル、霧の中の二人は1970年のセルフ・タイトルのデビュー・アルバムからカットされた。
ちょっとサイケ調。
オルガンの音色が特徴のアップ・テンポで、更に日本人の琴線に触れる親しみ易いメロディーだったので、英語がわからなくともキメのI Love You Foreverさえ聴き取って頂ければヒット間違いなしって感じの曲だった。
何でもアメリカとカナダ合わせて50万枚売れたこのシングル・レコード、日本だけで同じぐらいの枚数が売れたそうな…
曲のオリジナル・タイトル、As The Years Go By(数年が経って)に対して歌詞に霧の“き”の字も登場しないのに“霧の中の二人”と邦題を付けるレコード会社の対日本人イメージ戦略はお見事。
そして翌年もう一枚のアルバムを残して解散と短命だったけれど、50年経った今でもこの曲を覚えているのも中々のもの。