香が散る

本を読むのが大好き、少し前からノロノロですが走るのも好き
そんな、代わり映えのしない、でも大切な日々を書き綴っています

柚子の花咲く

2013-11-01 22:13:26 | 本のこと
葉室麟さんの『柚子の花咲く』

 江戸時代中期、瀬戸内海に注ぐ日江川の河岸で、
 一人の武士の遺骸が見つかった。
 男は村塾の教師・梶与五郎。
 身分のへだてなく愛情を注ぐ梶は、
 教え子たちから厚く慕われていた。
 ところが、死んだ途端に悪評がたった。
 少年時代、与五郎から薫陶を受けた
 若き藩士・筒井恭平は、その噂を
 信じることができない。
 かつて学業の劣る塾生だった恭平を、
 与五郎は諦めずに何度も諭してくれた。
 「桃栗三年、柿八年、柚子は九年で花が咲く」が
 与五郎の口癖。柚子のように遅咲きの恭平にとって、
 時をかけて人が育つのを温かく見守る与五郎は、
 年の離れた兄のような存在だったのだ。
 恩師の汚名をそそぐため、恭平は与五郎が殺された
 隣藩へ決死の潜入を試みる。探るうちに、
 与五郎の噂の真実、共に学んだ仲間たちの想いが明らかになっていく……。
 恩師が掴み取った人生の意義とは何だったのか、
 そして恭平自身が選びとった生き方とは――。
 魂を揺さぶる感動の長篇時代小説。


葉室麟さんの時代小説は、時代風景がわかりやすく
すんなりと、その時代に入って物語を経験する気がする
そして、人のやさしさや孤独なさびしさなど
胸が痛くなるような、深とした気持ちで読んでしまう
ちょっと悲しいさびしい小説でした