心療内科デー。
祖母のこともあり、また残業続きのせいか、もうずっと眠りが浅い。
しかも漢方薬を飲み始めてから浮腫みがひどく、指輪が入らない。食生活の変化がないのに…。
その旨をクマ医師に報告した。
医学書をペラペラ捲り、カミショウヨウサンに浮腫の副作用があることを確認したクマ医師。
「カリウムがどうたらこうたらなんで、一度採血して血中濃度を確認したいんですが」
ふーん。
ん?
採血?
血を採るの?
嫌だ。
痛いじゃないか。
怖いじゃないか。
私の中で、痛みとは最大の恐怖をもたらすものと定義づけられている。
普段から痛みの無い人生を積極的に設計し、実行している。
必死に採血の不必要さをアッピールした。
亮子vsクマ医師の熱き攻防戦は暫く続いた。
「いや、浮腫みは気のせいかもしれませんし」
「いや、副作用かもしれませんよ」
あっけなく敗退し、採血することになった。
「採血って…採血って…痛いのですか?」
「…え?」
「あのぅ、痛いの嫌なんですけど」
「うーん…ふふ」
蔑笑とも困惑とも取れるクマ医師の顔。
この時、初めてクマ医師の素を見たような気がする。
(そういえば、最近、彼はテレビに出ているらしい)
採血はアシスタントみたいな青年がする。
「痛くしないでくださいね。ねッ?」
青年に再三再四懇願をする。懇願というか、むしろ命令。
少しだけ、ハナ殿の旦那さんに似ている青年は笑いながら採血の準備をした。
ゴムが腕に巻かれた。
「では、いきますよ」
と宣戦布告。
針が近づいてくる。
痛いのかな?
痛いんだろうなあ。
だって金属製の針が皮膚に入るんだぜ?
…絶対に嫌だ!
そこで…!
まさかの絶叫!
「こーわーいー!
こーわーいー!
こーわーいー!」
パニくり、過呼吸を起こしてしまった。
止まる針。
雨に濡れたチワワのようにプルプル震える私。
「辞めておきますか?」
あ、辞めることできんだ。
あっさり引き下がろうとするが、クマ医師の医療業務に支障を生じさせては申し訳ないと、急に道徳的になる私。
「…あ、いいです。はい、どうぞ」
再び針が近づく。
「あっち見ててくださいね」
青年にそうアドバイスをされ、直視を辞めた瞬間、鋭い痛みが我が右手を捉えた。血の気が引いてクラクラする。
「いーたーい!
いーたーい!
いーたーい!」
絶叫再び。
三十路女の魂の叫びは地を這い、院内中を震撼させたであろう。
「動かないでください!痛くないですよー。ほうら、大丈夫ですよ」
とハナ殿の旦那さん似の青年に言われるが、無理。…無視。
痛いんだもの。
もう嫌。
精神力の限界。
早く終わって。
しかし、それにしても長くね?
サザエさんのオープニングテーマよりも長い気がする。
♪♪♪
薬を貰いに心内まで出掛けたが
採血
怖くて
絶叫する亮子さん
みんなが笑ってるぅ
クマ医師も笑ってるぅ
るーるるるるるるぅー
三十路に見えないよー
「はい、終わりましたよ」
スポっ。
針を抜かれた瞬間も痛い。
血とともに魂をも抜かれてしまった感じ。
そして終わった安堵で、冷静になる私。
「お恥ずかしいですわ」
必死にクールな自分を装い、小首を傾げて優雅に微笑んでおいた。
痛みで気分が悪くなり、すっかり疲れてしまった。
青年曰く、採血で倒れる人もいるらしい。私なんて序の口みたい。
今日は「レインボウ城!」の公演があり、是非行きたかったが、断念した。
今日の処方に新たな仲間が加わった。
その名もデパス。
それにしても…もう二度と採血したくない。
会社の健康診断で35歳と40歳から採血があるらしいんだが、何とか免れられないかと今から真剣に考えている。
祖母のこともあり、また残業続きのせいか、もうずっと眠りが浅い。
しかも漢方薬を飲み始めてから浮腫みがひどく、指輪が入らない。食生活の変化がないのに…。
その旨をクマ医師に報告した。
医学書をペラペラ捲り、カミショウヨウサンに浮腫の副作用があることを確認したクマ医師。
「カリウムがどうたらこうたらなんで、一度採血して血中濃度を確認したいんですが」
ふーん。
ん?
採血?
血を採るの?
嫌だ。
痛いじゃないか。
怖いじゃないか。
私の中で、痛みとは最大の恐怖をもたらすものと定義づけられている。
普段から痛みの無い人生を積極的に設計し、実行している。
必死に採血の不必要さをアッピールした。
亮子vsクマ医師の熱き攻防戦は暫く続いた。
「いや、浮腫みは気のせいかもしれませんし」
「いや、副作用かもしれませんよ」
あっけなく敗退し、採血することになった。
「採血って…採血って…痛いのですか?」
「…え?」
「あのぅ、痛いの嫌なんですけど」
「うーん…ふふ」
蔑笑とも困惑とも取れるクマ医師の顔。
この時、初めてクマ医師の素を見たような気がする。
(そういえば、最近、彼はテレビに出ているらしい)
採血はアシスタントみたいな青年がする。
「痛くしないでくださいね。ねッ?」
青年に再三再四懇願をする。懇願というか、むしろ命令。
少しだけ、ハナ殿の旦那さんに似ている青年は笑いながら採血の準備をした。
ゴムが腕に巻かれた。
「では、いきますよ」
と宣戦布告。
針が近づいてくる。
痛いのかな?
痛いんだろうなあ。
だって金属製の針が皮膚に入るんだぜ?
…絶対に嫌だ!
そこで…!
まさかの絶叫!
「こーわーいー!
こーわーいー!
こーわーいー!」
パニくり、過呼吸を起こしてしまった。
止まる針。
雨に濡れたチワワのようにプルプル震える私。
「辞めておきますか?」
あ、辞めることできんだ。
あっさり引き下がろうとするが、クマ医師の医療業務に支障を生じさせては申し訳ないと、急に道徳的になる私。
「…あ、いいです。はい、どうぞ」
再び針が近づく。
「あっち見ててくださいね」
青年にそうアドバイスをされ、直視を辞めた瞬間、鋭い痛みが我が右手を捉えた。血の気が引いてクラクラする。
「いーたーい!
いーたーい!
いーたーい!」
絶叫再び。
三十路女の魂の叫びは地を這い、院内中を震撼させたであろう。
「動かないでください!痛くないですよー。ほうら、大丈夫ですよ」
とハナ殿の旦那さん似の青年に言われるが、無理。…無視。
痛いんだもの。
もう嫌。
精神力の限界。
早く終わって。
しかし、それにしても長くね?
サザエさんのオープニングテーマよりも長い気がする。
♪♪♪
薬を貰いに心内まで出掛けたが
採血
怖くて
絶叫する亮子さん
みんなが笑ってるぅ
クマ医師も笑ってるぅ
るーるるるるるるぅー
三十路に見えないよー
「はい、終わりましたよ」
スポっ。
針を抜かれた瞬間も痛い。
血とともに魂をも抜かれてしまった感じ。
そして終わった安堵で、冷静になる私。
「お恥ずかしいですわ」
必死にクールな自分を装い、小首を傾げて優雅に微笑んでおいた。
痛みで気分が悪くなり、すっかり疲れてしまった。
青年曰く、採血で倒れる人もいるらしい。私なんて序の口みたい。
今日は「レインボウ城!」の公演があり、是非行きたかったが、断念した。
今日の処方に新たな仲間が加わった。
その名もデパス。
それにしても…もう二度と採血したくない。
会社の健康診断で35歳と40歳から採血があるらしいんだが、何とか免れられないかと今から真剣に考えている。