実家に着くと、既に親戚が集まっていた。
床の間で、おばちゃんと対面した。
死に顔は、今にも笑いそうな大変安らかな顔だった。
「おかえり。お勤め頑張ってきましたか?」
と言っているみたいだ。
私は堪えきれず声を出して泣いた。
「亮子だよ?ごめんね」
私は、祖母に謝っていた。
彼女にはさんざん迷惑をかけた。
生前はあまり顔すら見せなかった。
でも、おばちゃんは私に毎年お年玉をくれていた。
不甲斐ない孫で、大変申し訳ない。
死んでから気づくだなんて遅すぎだ。
私はなんて愚かな人間なんだろう。
その気持ちは嗚咽となり、昼下がりの床の間に響いていた。
喪服に着替えて、出棺の準備。
葬儀屋さんが来た。
彼は、祖母の顔を剃刀で剃り出した。
その手つきが上手かったので、誰かが突っ込んだら、彼は元床屋さんということが判明。
床屋さんから葬儀屋さんって…なんか、ミナクルなとらばーゆじゃね?
親戚一同で、アルコールの脱脂綿でおばちゃんの体を拭き、死装束の準備をした。
おばちゃんはこれから49日の旅に出るらしい。
きっと
「億劫だから嫌だわ」
とか文句言ってると思う。
そういう人だった、彼女は。
棺に、私は折り鶴と手紙を入れた。
天国で読んでくれるかな。
歩いて数分の葬儀場に向かう。
受付の横はちょっとしたメモリアルコーナーが誂えてあった。
祖母が生前趣味として作っていた折り紙の白鳥や伯母が描いた祖母の絵、写真、そして極めつけは尋常小学校を卒業するときの作文が飾られていた。
彼女は首席で卒業したらしく、そのとき読んだ答辞が額縁に入れられて置かれていた。
読んでみると、私の文章にどことなく似ていた。
…回りくどい文体とか…。
通夜には250人ぐらいの人が参列した。
遠くから来た従兄弟やその子供などである。
わが親族にはいなさそうな、少しファンキーな若人も参列していた。
聞いてみると、彼らは従兄弟の遊び仲間で、生前の祖母と面識があったとのこと。
また、弟の友達も来ていた。
祖母は、若い人はみんなお腹が空いていると思っていて、孫が友達を連れてくると店屋物を取ってくれた。
通夜のあとの宴会は、ひたすら飲み食いに徹していた。
「結婚は?」
「いい人いないの?」
という質問を伯母たちがストレートに訊いてくる。
「人生ソロ活動ですから」
私が地味に返答するのを母が
「この子は忙しいんです!」
と答えていた。
タレントとマネージャーばりの連携プレーである。
本来ならば、今宵、家族は祖母の隣で寝て、線香の灯火を見張ってなければいけない。
しかし、私はマイスリーによる健忘を危惧され、実家にて留守番。
明日も忙しいらしい。
今宵は早く寝ます。
コメントをくれている皆様、必ずレスしますので待っててチョンマゲ。
床の間で、おばちゃんと対面した。
死に顔は、今にも笑いそうな大変安らかな顔だった。
「おかえり。お勤め頑張ってきましたか?」
と言っているみたいだ。
私は堪えきれず声を出して泣いた。
「亮子だよ?ごめんね」
私は、祖母に謝っていた。
彼女にはさんざん迷惑をかけた。
生前はあまり顔すら見せなかった。
でも、おばちゃんは私に毎年お年玉をくれていた。
不甲斐ない孫で、大変申し訳ない。
死んでから気づくだなんて遅すぎだ。
私はなんて愚かな人間なんだろう。
その気持ちは嗚咽となり、昼下がりの床の間に響いていた。
喪服に着替えて、出棺の準備。
葬儀屋さんが来た。
彼は、祖母の顔を剃刀で剃り出した。
その手つきが上手かったので、誰かが突っ込んだら、彼は元床屋さんということが判明。
床屋さんから葬儀屋さんって…なんか、ミナクルなとらばーゆじゃね?
親戚一同で、アルコールの脱脂綿でおばちゃんの体を拭き、死装束の準備をした。
おばちゃんはこれから49日の旅に出るらしい。
きっと
「億劫だから嫌だわ」
とか文句言ってると思う。
そういう人だった、彼女は。
棺に、私は折り鶴と手紙を入れた。
天国で読んでくれるかな。
歩いて数分の葬儀場に向かう。
受付の横はちょっとしたメモリアルコーナーが誂えてあった。
祖母が生前趣味として作っていた折り紙の白鳥や伯母が描いた祖母の絵、写真、そして極めつけは尋常小学校を卒業するときの作文が飾られていた。
彼女は首席で卒業したらしく、そのとき読んだ答辞が額縁に入れられて置かれていた。
読んでみると、私の文章にどことなく似ていた。
…回りくどい文体とか…。
通夜には250人ぐらいの人が参列した。
遠くから来た従兄弟やその子供などである。
わが親族にはいなさそうな、少しファンキーな若人も参列していた。
聞いてみると、彼らは従兄弟の遊び仲間で、生前の祖母と面識があったとのこと。
また、弟の友達も来ていた。
祖母は、若い人はみんなお腹が空いていると思っていて、孫が友達を連れてくると店屋物を取ってくれた。
通夜のあとの宴会は、ひたすら飲み食いに徹していた。
「結婚は?」
「いい人いないの?」
という質問を伯母たちがストレートに訊いてくる。
「人生ソロ活動ですから」
私が地味に返答するのを母が
「この子は忙しいんです!」
と答えていた。
タレントとマネージャーばりの連携プレーである。
本来ならば、今宵、家族は祖母の隣で寝て、線香の灯火を見張ってなければいけない。
しかし、私はマイスリーによる健忘を危惧され、実家にて留守番。
明日も忙しいらしい。
今宵は早く寝ます。
コメントをくれている皆様、必ずレスしますので待っててチョンマゲ。
昼に会社を抜け出し、夕方、雀宮駅に着いた。
私の故郷。
こんなに重い気持ちの帰省は初めてだ。
おばちゃん、もうすぐ会えるね。
待っててね。
駅の花壇にはチューリップが咲き乱れていた。
この季節が巡る度に、私は今日の日を思い出すだろう。
私の故郷。
こんなに重い気持ちの帰省は初めてだ。
おばちゃん、もうすぐ会えるね。
待っててね。
駅の花壇にはチューリップが咲き乱れていた。
この季節が巡る度に、私は今日の日を思い出すだろう。