世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

次は…

2008年04月29日 21時41分10秒 | Weblog
「僕、次はこれが観たい!」
と、吉熊。

『ウルビーノのヴィーナス』(国立西洋美術館)
5月18日まで。

来月、行ってみよう。
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煙草2本分の一期一会

2008年04月29日 21時40分47秒 | Weblog
博物館を出たら、もう夕暮れだった。

舂づく空が綺麗で、思わず見とれる。

「あー。一服するか」
長時間立っていたので腰が痛い。しかもヤニ切れ。

ベンチに腰かけて煙草を吸っていたら、隣の青年がいきなり話しかけてきた。

「けっこう若いカップルが多かったですね」

と。

それから本展の感想を述べ合い、
「もう少し日本史を勉強していたらもっと楽しめたかも」
という話に至った。


映画でも演奏会でもそうなんだが、今観た、今聴いた感動を分かち合えるのって良い。

2本目の煙草を灰皿に押し当てて、
「じゃ、さようなら」
と、私はその場を去った。

この一期一会が、私のソロ活動の糧となるである。
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はじめての二人旅

2008年04月29日 21時39分53秒 | Weblog
東京国立博物館で開催されている「国宝薬師寺展」に行った。

昨夜、NHK特集「日光月光菩薩 はじめての二人旅」を観て、ぜひ実物を見たくなったんである。
薬師寺とは天武天皇が奥さんの持統天皇にプレゼントした愛の建造物である。(ちなみに持統天皇の歌は百人一首にも選ばれている。
「春過ぎて
 夏来にけらし
 白妙の
 衣干すてふ
 天の香具山」
衣替えシーズンの今の季節にぴったりの歌だ)

番組では薬師寺にある「日光・月光菩薩立像」が、はじめて二体揃って東京にお出掛けする模様が放送されていた。
旅立ちの前、イケメンなお坊さんが菩薩を一生懸命に磨きながら
「東京にお行きになり、様々な人に見てもらいたい」
と言っていたのが印象的で…行ってみた。

番組の翌日だった為、館内は激混み。

レンタルした説明イヤホンから流れてくる市原悦子の声が、日本昔ばなしちっくでおどろおどろしい。


月光菩薩(向かって左)…背中の滑らかさからすると、やや女性らしい。ウエストにくびれがある。
日光菩薩(向かって右)…背中が隆々としていて、やや男性らしい。お腹も月光菩薩よりもメタボ。
蛇行する通路の果てにある二階から二人を見たとき、私の目には涙が浮かんできた。
目の前にいる二人には、1300年分の様々な人の願いまでもが詰め込まれているように見えたからだ。
古来から、そして昨日の番組のイケメンお坊さんの願いに至るまで。


日光菩薩の前に佇み顔を見上げるとわずかに口角が上がっているように見えた。
私の願いも、赦しを乞う心も、全てを彼に託した。
託されるだけではなく、
「じゃあ、願いを叶えたいのならば、何からするべきかな?」
といった問いかけもくれる。
無言の心療内科医のようだ。

自然と両手が前で合わさる。


スポットライトに照らされて、二人は少し恥ずかしそうだった。
「1300年を以て、はじめての外出でして…」
と言っているかのようだ。


二人の間に佇み、薬師如来のポジションを全身で感じてみた。
globeでいうとKEIKO、昔のドリカムでいうと吉田美和の立ち位置だ。

…なるほど。

心の安寧を感じる。


いつもは光背を背負っている二人。
光背を外された二人は日本史の教科書で見たよりも遥かに人間的な姿だった。
彼らの艶かしい背を拝み、「次、この背を見ることはあるのだろうか」と思ったりした。

本展では、吉祥天像や聖観音菩薩立像など、国宝てんこ盛りである。
あと、水煙。
部屋に置きたいぐらいの完璧なフォルム。
よく見てみると天女がダンスしている様子が分かる。初めて知った。



数年前に同じ場所で開催された「唐招提寺展」と同じぐらい満腹になれた。


日光&月光菩薩、あの二人に会えて良かった。