最高に忙しかった。
他部署への根回しをし、また他部署のお姉様方に嫌味を言われ、頭下げまくり。
しかし、これは仕事なのだと割り切ったので、そんなに凹まずに済んだ。
それに私が愚痴ったら、大好きな吉熊上司は良い気がしないはず。彼には気持ちよく仕事をしてもらうのが部下である私の仕事でもある。たぶん。
最後の最後、重い荷物を持つときに私の長い爪が折れるという、流血事件が勃発。
肉とかべろ~んと剥けちゃって、マジで痛かった。
それよりも吉熊上司を心配させてしまったことが残念。
私には美容師をしている弟がいる。
彼が美容専門学校時代に使用したネイルの教材が何故だか我が家にあるので、風呂上がりにそれで修復を図ってみよう。
けっこう本格的な道具がそろっている。
弟、ありがとう。
肉と爪が定着したら、後輩女子の行きつけのネイルサロンで何とかしてもらおうと思う。初ジェルネイル。ちょっち楽しみ。
図書館に行こうと思ったが、残業があり、行けず。
喫茶店で、読書。
「戦争特派員」(林真理子)、何度めかの読了。
主人公・日向奈々子は、代官山に一人で暮らし、南青山にある有名デザイナーの奥山裕子事務所に勤める企画室サブチーフと言う肩書きを持つマーチャンダイザー。20代後半であるが、20代前半にしか見られず、すんなりと足が長く、ミニスカートがよく似合うファッショナブルで肌の美しい明るく可愛い女性だ。
主人公の奈々子は、シンガポールへの出張帰りの飛行機のエンジントラブルで、台北に一泊を余儀なくされた。そこで出会った男は、ベトナム戦争の取材経験を持つフリーのジャーナリストだった。梶原基治という名の40代半ばのその男は、アメリカ東部の大学を卒業し、その後新聞社に就職。新聞社に入ってすぐ、香港の支局に行き、それからベトナム勤務になり、ベトナム戦争に戦争特派員として従軍するが、その後従軍後遺症に苦しみ、離婚もし新聞社も辞め、今は事務所を開きフリーで雑誌に固めの記事などを書いている。
「自分は所詮洋服屋の女」だといじけながらも、大好きな梶原の為にステップアップしようとしたり、梶原の過去を追い求めて当時はまだ珍しいベトナム旅行をする。普段はファッション雑誌しか読まないのに、梶原のことやベトナムのことを知りたいが故、ベトナムの写真集を買ったり…。
高慢ちきで生意気な奈々子だが、実は本当にいじらしい子だ。
そんな奈々子を赤子の手を抓る勢いでじらす中年の梶原。この二人の、三歩進んで二歩下がる状態がエキサイティングで惹かれる。
梶原とステディな関係になったあと、会社でニューヨーク行きを命じられる奈々子。
刺激的な東京を離れたくない。何より大好きな梶原と離れるなんて嫌だ…。社長室で、社長や専務や経理部長に打診されながら、ふと梶原の裸体や梶原の羽毛布団を思い浮かべる奈々子がリアルだった。
恋と仕事、か。
globeの「DEPARTURES」で
「愛が夢を邪魔する 夢が愛を見つける
やさしさが 愛を探して
あなたが私を 選んでくれたから」
という歌詞がある。
この歌詞と本作品との類似点に気付く。
シンガポールの出張がなければ梶原に会わなかった。
梶原に会って、自分のレベルアップを図ったが故に、奈々子はニューヨーク行きを命じられる。大好きな梶原と別れて…。
なんという皮肉だろうか。
林真理子先生の書く女性の本音と現実は、女性であれば共感できるであろうし、男性であれば驚くと思う。
たとえば、堀田という御曹司に求愛される奈々子の心境。
…………………
「あのね、私は誰とも結婚しないの」
きっぱりとさえぎる。やっと自分の方向性が少し見えてきた。自分という女は愛されたいと思っても、結婚したいとは思っていない。ただ、どのぐらい愛しているのかのバロメーターとして、求婚してもらいたいだけなのだ。
さらに、自信をもっていえることは、目の前にいる堀田は、断じて梶原のスペアではないということだ。梶原に替わる男は、いつかきっと現れるに違いないと思う。けれど、堀田がその男ではなかった。
…………………
ここまできっぱり書く林先生のストイックさが好き。
1980年代後半の青山、麻布、表参道、六本木などといった街の様子も面白かった。ネットを片手に出てくる店やファッションを検索しながら読んだ。殆どの店が分からなかったが。
また、奈々子と同年代の同僚を見渡して、「この人が20代後半だった時、時代はこんな感じだったのか」と思わずにはいられなかった。ディスコとか、ビリヤードバーとか、都心のホテルとか。バブルの匂いがぷぅ~んと漂ってくる。
毎年、夏にこの作品をじっくり読む。
この作品を読んでいる間、いつも自分を奈々子と重ねてしまう。
本の中の梶原にも恋をする。職種は違えど、仕事もいきいきできる。
恋して相手に尽くすのではなく、相手に追い付きたいが故、自らをステップさせる奈々子に多大なる共感を持てる。
読了した今、明日から何を読めばいいのかふと悩む。
それぐらい、この作品はのめり込める。
「自信作だったのに売れなかった」と林先生は仰っていたが、私の中で一番好きな作品だ。
他部署への根回しをし、また他部署のお姉様方に嫌味を言われ、頭下げまくり。
しかし、これは仕事なのだと割り切ったので、そんなに凹まずに済んだ。
それに私が愚痴ったら、大好きな吉熊上司は良い気がしないはず。彼には気持ちよく仕事をしてもらうのが部下である私の仕事でもある。たぶん。
最後の最後、重い荷物を持つときに私の長い爪が折れるという、流血事件が勃発。
肉とかべろ~んと剥けちゃって、マジで痛かった。
それよりも吉熊上司を心配させてしまったことが残念。
私には美容師をしている弟がいる。
彼が美容専門学校時代に使用したネイルの教材が何故だか我が家にあるので、風呂上がりにそれで修復を図ってみよう。
けっこう本格的な道具がそろっている。
弟、ありがとう。
肉と爪が定着したら、後輩女子の行きつけのネイルサロンで何とかしてもらおうと思う。初ジェルネイル。ちょっち楽しみ。
図書館に行こうと思ったが、残業があり、行けず。
喫茶店で、読書。
「戦争特派員」(林真理子)、何度めかの読了。
主人公・日向奈々子は、代官山に一人で暮らし、南青山にある有名デザイナーの奥山裕子事務所に勤める企画室サブチーフと言う肩書きを持つマーチャンダイザー。20代後半であるが、20代前半にしか見られず、すんなりと足が長く、ミニスカートがよく似合うファッショナブルで肌の美しい明るく可愛い女性だ。
主人公の奈々子は、シンガポールへの出張帰りの飛行機のエンジントラブルで、台北に一泊を余儀なくされた。そこで出会った男は、ベトナム戦争の取材経験を持つフリーのジャーナリストだった。梶原基治という名の40代半ばのその男は、アメリカ東部の大学を卒業し、その後新聞社に就職。新聞社に入ってすぐ、香港の支局に行き、それからベトナム勤務になり、ベトナム戦争に戦争特派員として従軍するが、その後従軍後遺症に苦しみ、離婚もし新聞社も辞め、今は事務所を開きフリーで雑誌に固めの記事などを書いている。
「自分は所詮洋服屋の女」だといじけながらも、大好きな梶原の為にステップアップしようとしたり、梶原の過去を追い求めて当時はまだ珍しいベトナム旅行をする。普段はファッション雑誌しか読まないのに、梶原のことやベトナムのことを知りたいが故、ベトナムの写真集を買ったり…。
高慢ちきで生意気な奈々子だが、実は本当にいじらしい子だ。
そんな奈々子を赤子の手を抓る勢いでじらす中年の梶原。この二人の、三歩進んで二歩下がる状態がエキサイティングで惹かれる。
梶原とステディな関係になったあと、会社でニューヨーク行きを命じられる奈々子。
刺激的な東京を離れたくない。何より大好きな梶原と離れるなんて嫌だ…。社長室で、社長や専務や経理部長に打診されながら、ふと梶原の裸体や梶原の羽毛布団を思い浮かべる奈々子がリアルだった。
恋と仕事、か。
globeの「DEPARTURES」で
「愛が夢を邪魔する 夢が愛を見つける
やさしさが 愛を探して
あなたが私を 選んでくれたから」
という歌詞がある。
この歌詞と本作品との類似点に気付く。
シンガポールの出張がなければ梶原に会わなかった。
梶原に会って、自分のレベルアップを図ったが故に、奈々子はニューヨーク行きを命じられる。大好きな梶原と別れて…。
なんという皮肉だろうか。
林真理子先生の書く女性の本音と現実は、女性であれば共感できるであろうし、男性であれば驚くと思う。
たとえば、堀田という御曹司に求愛される奈々子の心境。
…………………
「あのね、私は誰とも結婚しないの」
きっぱりとさえぎる。やっと自分の方向性が少し見えてきた。自分という女は愛されたいと思っても、結婚したいとは思っていない。ただ、どのぐらい愛しているのかのバロメーターとして、求婚してもらいたいだけなのだ。
さらに、自信をもっていえることは、目の前にいる堀田は、断じて梶原のスペアではないということだ。梶原に替わる男は、いつかきっと現れるに違いないと思う。けれど、堀田がその男ではなかった。
…………………
ここまできっぱり書く林先生のストイックさが好き。
1980年代後半の青山、麻布、表参道、六本木などといった街の様子も面白かった。ネットを片手に出てくる店やファッションを検索しながら読んだ。殆どの店が分からなかったが。
また、奈々子と同年代の同僚を見渡して、「この人が20代後半だった時、時代はこんな感じだったのか」と思わずにはいられなかった。ディスコとか、ビリヤードバーとか、都心のホテルとか。バブルの匂いがぷぅ~んと漂ってくる。
毎年、夏にこの作品をじっくり読む。
この作品を読んでいる間、いつも自分を奈々子と重ねてしまう。
本の中の梶原にも恋をする。職種は違えど、仕事もいきいきできる。
恋して相手に尽くすのではなく、相手に追い付きたいが故、自らをステップさせる奈々子に多大なる共感を持てる。
読了した今、明日から何を読めばいいのかふと悩む。
それぐらい、この作品はのめり込める。
「自信作だったのに売れなかった」と林先生は仰っていたが、私の中で一番好きな作品だ。