お店の生き残り作戦

2010年09月12日 | 食事 -

暑いときこそ、何故か食べたくなるのが、「カレー」。

まぁ、私の場合は、一年中、食べているような料理だけれども・・・。
というのは、我が家の冷凍庫の中には、ほとんど365日、
味や具材の違うカレー(添加物混入なしのお手製)が、入っているからだ。
(つくりおきをして、即座に冷凍し、いつでも食べられる状態にしている)




昨年だっただろうか・・・、
近所にできた(インド人が経営する)本格的なカレー専門店には、今もよく通っているが、
最近はめっきりと感動が減った。

感動が減った理由は、(頻繁に食べて)飽きたからではなく・・・・
ちょっと違う味になってしまったからなのだ。

あまりにも初めて食べた時の記憶が鮮烈で、美味しかった(本格的だった)から、
余計に、そう感じるのだろう。



たとえば、「野菜カレー」。
日本人ごのみにあわせたのか、具材の価格の問題だろうか・・・
ジャガイモなど全く入ってなかったのに、今はゴロゴロとしたジャガイモやニンジンが
使われるようになった。 それも、大きめにカットして、いかにも日本風である。
(日本の家庭料理のカレーと言えば、ジャガイモやニンジン、タマネギだろう)
野菜の種類が変われば、スープやカレーそのもののテイストが変わってきてしまう。
   

または、「チャイ」(インド風ミルク紅茶)。
以前のチャイは、(あくまでも想像だが)自家製かと思わせるぐらいに、細かい香辛料が、
カップの淵につく ぐらい 浮いていた。
風味も最高で、味は“言うことナシ”で、とても美味しかった。
「これぞ!チャイじゃん!」というスパイスのバランス感があった。
しかし、最近では、市販のチャイを使っているかのような味で、飲んだ後に・・・
香料などを(身体に)取り入れた後のような感覚が、舌に残るようになった。
煮出しだす紅茶も、フレイバーティーになったような気がした。
もちろん、シナモン、カルダモン、クローブ、ジンジャーなど(?)の香辛料が、
巧妙なバランスで、ふんだんに香ることも・・・・全くない。
パウダー状になった香辛料が、以前のようにチャイに浮かんでいないので、
つくり方は確実に変えたのだと思う。



このような「ちょとした変化」が、あらゆるところに感じられるようになってしまった。
だから、私のイメージが崩れていく。
お店に対する信頼感や親近感、そして、私の「食べたい」という欲求が、薄れていく。

たとえ、ナンが手焼きでも、変わらず美味しくても・・・・
主役のカレーが、微妙に変わってしまっては、どうしようもない。
チキンカレーなどは、そう変わらずとも、野菜カレーをはじめとする他の品目の味が
多少なりとも微妙に変化してきている。

こういう のどかな場所では、(本格的なカレー店などの)経営は厳しいのだろうか。
夜は、バーみたいにもなるが、店の案内ではディナータイムにも格安セットができた。
明らかに、メニューを変えて、具材(材料)を変えているのは確実である。



しかし、この店は、私の欲求をかなり満たしていてくれていたので、少しばかり哀しい。
今もって、「美味しい」のは変わらないが・・・・人間と言うものは・・・というか、
私という人間は、最初の記憶が残っていて、その味を期待してしまっている。
店を守るために、どうにか競争戦線には生き残ってほしいが・・・・
個人的には(顧客として)一定レベルの「美味しい料理」を求めている私も、確実にいる。
お客としての傲慢な期待感が、他の店に対するものとは違うからだろう。
だから、心情として、残念であり、複雑である。

スーパーの市販紅茶ボックスコーナーを見るたびに、あの「チャイ」の味がよみがえる。

料理店は、いろいろな経営戦略を持って、すぐに飽きてしまう “なじみ客” を相手に、
常に「生き残り作戦」を繰り広げているのだろう。
都会の店(レストラン、料理店)の回転率が早い理由が、わかるような気がする。