アナログ人間の今後

2010年09月13日 | 仕事 -

  「まだ、こんな人がいたんだぁ」
  「まるで、シーラカンスみたいなスタイルだなぁ」
そういう印象をもった人と出会い、今回仕事を一緒にすることになった。

その彼は、現在、個人の携帯電話を持たず、(PCも使わないので)持っていない。
会社で共有のPCから、やっとメールが開けられるぐらいで、送信はできないらしい。
それを笑いネタにする周囲に対しても、(本人としては)頑固として受け付けず、
「今日まで来た」・・・・・という人だ。
会社設立当時からの付き合いだからこそ、許されているようなフリーの人材である。
会社の誰もが噂していたらしいし、誰もが助言をかなりしたらしいが・・・
「パソコンなんて覚える気がない」という返答を、今までは繰り返していたらしい。

この情報化社会で、一緒に仕事をすることを考えてみると、
大変手間がかかるスタイルを、今も通している人だ。

私個人としては・・・・
彼のような「アナログ主義」の考え方も、ライフスタイルも、何も悪いことじゃないし、
人にとやかく言われることでもない・・・と思っている。
皆がみんな、このテクノロジーまみれの仕組みにあわせて生きる必要なんて全くない。

本人が納得していれば、“「アナログ人間」で一生いても大いに結構だ”と感じている。
私も、そうしたいぐらい・・・アナログな生活には 憧れている。
しかし、残念なことに、仕事の現場では、そうではない流れや空気感が存在している。



私は (申し訳ないが)・・・・
誰も切り込まなかったエリアに入って、彼に、こう言った。
「あと、5年、仕事がしたかったら、そろそろ限界なのではないでしょうか。
 せめて、メールでのやりとりで情報を共有できていないと、常に貴方に対して
 説明する時間と手間と経費が必要になってくる。
 企画書一つだって、今はタイプアップして、メールで送る時代なんです。
 仕事を依頼する側としては、正直、つかいずらいと感じる人も、今後は出てきますよ。
 それは、自然と・・・あなたの仕事が減っていくということだと思います。」


個人的には、悪い人ではないが・・・・
長きにわたる自分のスタイルがあるのだろうし、それでもまだ仕事があるから、
どうにか首がつながってきたのだろう。付き合いが長いと、情もあるわけで・・・
そういう人間関係などで培ってきた歴史&経験も、ちゃんと持っている人だと思う。
だから、・・・だからこそ・・・私はあえて明確な言葉を持って対峙したのだ。
かなり真面目に助言をしたつもりだった。
そのときの反応は、「わかっているんですけれどね、どうしてもダメでねぇ・・・」。
「申し訳ないとは思っているんだけどサ~」という歯切れの悪いものだった。
実際、彼の提出書類は、すべて手書きなので、誰かがタイプアップしなければならない。
私は、それを(読みやすく、バランスを整えるために)最終的に校正する必要もある。
これらは、自分の仕事を他者に託していることであり、押し付けていることにもなるのだ。


「自分が良いと思っているわけではないのだったら、私は努力するべきだと思いますよ。
 実際は、どうなんですか。 何らかの努力みたいなものは、しているんですか?」
穏やかに、優しく、相手のプライドを傷つけないように話したら・・・話し続けていたら、
徐々に前向きになってくれた。



私から見れば、現在は、“かなり頑張っていらっしゃるのではないか”と 感じている。


周囲の人は、私に対して、このように言う。
 「誰もが、何を言っても、全然やる気がなかったのに・・・
  以前はね、言い訳ばっかりだったんです。
    一体、どんな手を使ったんですか?」
 「すごいびっくり!」
 「人が変わったみたい!」


私自身は、何も不思議がることではなく、周囲の驚きの方が意外だった。

人は、「変われる」のだ。 
変わらないと思い込んでしまっていること事態、その人の可能性をつぶしていると思う。
自律型人間になるための“きっかけ”なんて、とても簡単なことだ。
  本質をついて助言をすること。
  相手のために、骨を折ること。
  当方の意見を、一方的に おしつけないこと。
  自分で自発的行動を起こす気持ちを持ってもらうように、丁寧に話すこと。
  努力の結果が見えたら、完璧ではなくても、必ず賛美をおくること。
  そして、何よりも・・・・あせらないで、時間をかけて見守っていくこと。