仕事が進まぬことを呪いつつの悶々とした午後、あまり長時間は出かける余裕がない我が身だが、なんと二本の芝居をほぼ間を置かず、延べ3時間半・連チャンで見ることができるということもあって、出かけた。……しかし最初に夕方5時から観た若手劇団の芝居は、いくら何でも古くさすぎる。三十年前の「小劇場」の形骸化した再生産だよ、これじゃ。なんだかネット上での評判は高いのだが。「消費」を「生活」「文化」と勘違いさせるこの長い年月の日本社会の空洞化じたいに罪はあるのかもしれない。「なんとなく描いてはいる」が「批評はできていない」のだ。……三十分以内のうちに青山円形劇場に移動して夜7時からは世評の高い『叔母との旅』初見。昨年暮れにリーディングで初めてご一緒(共演!)した松村武さん演出。俳優たちの生き生きとした動きを堪能。四人だけ二時間の芝居を一日2ステージはきつかっただろう、お疲れさまであった。なにしろ我らが『宇宙みそ汁』と共通項を感じる趣向・演出、興味深く観た。『叔母との旅』は語り部の男=主人公を四人が、『宇宙みそ汁』は五人が演じるのである。グレアム・グリーンのイギリス的世界観、これに対する批評軸を現在の私たちが持ち得ていないと感じたことも、観劇の感想とはずれた意味かもしれないが、重い。考えさせられた。……昔ウエストエンドで、1時・5時・8時の三本連チャン観劇の体験はあったが、たまには頑張って人の芝居を観るのもいいことだろう。……『叔母との旅』途中休憩で挨拶した批評家氏の演出家のご子息と帰りの電車の中でばったり出会う。お二人とも信頼できるお人柄。なんだか気持ちが暖まる。私たちは私たちの世界を今生きている、と、当たり前のように思う。……それにしても暑い。夏だからだ。逃げも隠れもできない。
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